大阪エコエリア構想4/9

更新日:2020年12月9日

第2章 京阪神圏における廃棄物処理・リサイクルの状況

 前章に記述したとおり、府域で発生する産業廃棄物は中間処理や最終処分の段階で他府県に移動している量も多く、また、従来より京阪神圏(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)では国と自治体の連携により大阪湾フェニックス計画として廃棄物最終処分場を計画的に確保するなど、廃棄物処理については近隣府県との関わりが重要な要素のひとつとなっている。このため、この章では、京阪神圏における廃棄物・リサイクルの状況を記述する。

 

2−1 廃棄物処理・リサイクルの状況 

(1)廃棄物の排出状況

京阪神圏(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)は、人口2,085万人(全国の16%)、GDP81兆円(同16%)という東京圏に次ぐ経済圏であり、平成12年度には5,862万トンの産業廃棄物(同15%)が排出され、1,021万トンの一般廃棄物(同20%)が発生している。

産業廃棄物の排出状況は、臨海部に素材系産業の集積が多くみられる兵庫県と大阪府からの排出量が多く、両府県で京阪神圏全体の75%を占めている。業種別の排出量は、産業構造を反映して全国に比較して農林水産業からの排出量の割合が少なく、製造業(全排出量の38%)、電気・ガス・水道・熱供給業(同34%)、建設業(同21%)からの排出量の割合が多くなっている。また、種類別では、汚泥の排出量が約3,400万トン(全排出量の58%)で最も多く、次いで、がれき類、鉱さいの順となっている。なお、汚泥の内訳としては、下水汚泥(占める割合53%)、建設汚泥(同7%)、上水汚泥(同5%)等となっている。

産業廃棄物の排出量は減少傾向にあるものの、今後、下水道の整備の進捗に伴う下水汚泥や都市部を中心に老巧化した木造建築物等の解体に伴う建築解体廃棄物等が多く発生することが見込まれることから、中長期的には漸増すると予測される。

一般廃棄物についても、人口比率が高い大阪府と兵庫県の両府県から京阪神圏全体の約70%が排出されている。京阪神圏からの発生量は、ここ数年は1,010万トンから1,020万トン台で推移しているが微増傾向にあり、特に、平成12年度の11日あたりの排出量は1,292gと全国の1,114g(平成11年度)よりも多くなっている。

 

産業廃棄物排出量(兵庫県44%、大阪府30%、京都府9%)一般廃棄物発生量(大阪府45%、兵庫県28%、京都府12%)

                     (産業廃棄物排出量)                                                  (一般廃棄物発生量)

図2−1 京阪神における地域別割合(平成12年度)

(2)廃棄物の処理処分の状況

京阪神圏における平成12年度の廃棄物処理の状況をみると、産業廃棄物は、排出量5,862万トンのうち、中間処理等により3,408万トン(排出量の58%)が減量され、2,033万トン(同35%)が再生利用され、最終処分量は421万トン(同7%)となっている。最終処分量が多いのは汚泥とがれき類で最終処分量の約6割を占めている。一般廃棄物については、排出量1,021万トンのうち、中間処理等により706万トン(排出量の69%)が減量され、98万トン(同10%)が再生利用され、最終処分量は217万トン(同21%)となっている。

 

(3)リサイクルの状況

京阪神圏におけるリサイクルの取組状況は、産業廃棄物、一般廃棄物ともに、ここ数年進捗しているものの、平成12年度の産業廃棄物の再生利用率は35%、一般廃棄物も10%であり、いずれも全国平均(産業廃棄物45%、一般廃棄物14%)に比べ低くなっている。

一般廃棄物のリサイクル率は高くなってきているものの、全国平均よりは低い。(平成12年度実績では京阪神圏9.6%、全国14.3%)
         図2−2 一般廃棄物リサイクル率の推移(京阪神圏)

 

(4)最終処分の状況

京阪神圏においては、昭和57年から廃棄物最終処分場を海面埋立により確保する大阪湾フェニックス事業が展開されている。

大阪湾フェニックス処分場への対象圏(京阪神圏内の195市町村)からの搬入量は、産業廃棄物は震災処理の建設廃材が大量に搬入された平成7年度以降減少傾向にあり、一般廃棄物はここ数年ほぼ横ばいとなっている。民間事業者による新たな最終処分場の設置が難しく、処分場の残容量が減少している中で、今後、フェニックス処分場の役割はこれまで以上に重要になってくると考えられる。

 

2−2 京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会

平成13年6月に国の都市再生本部において、第1次都市再生プロジェクトとして「大都市圏におけるゴミゼロ型都市への再構築」が決定され、先行して、東京圏において首都圏ゴミゼロ型都市推進協議会が設置され、平成14年4月に取りまとめがなされている。京阪神圏においても、ゴミゼロ型都市を構築する上での課題を解決し、その取組を推進するため、平成14年7月に近畿2府4県3政令市と国による協議の場として京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会を設置し、平成15年3月に「京阪神圏におけるゴミゼロ型都市への再構築に向けて」として、中長期計画が策定されている。この計画では、9府県市が全体として取り組む廃棄物の減量化目標を設定し、その目標達成に向けた「廃棄物処理・リサイクル施設整備のあり方」など循環型社会形成にむけた環境整備の方策について記載されている。

 ※ 本章2−1の記述は、平成15年3月に取りまとめられた「京阪神圏におけるゴミゼロ型都市への再構築に向けて」(京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会)より抜粋したものである。

このページの作成所属
環境農林水産部 循環型社会推進室資源循環課 施設整備グループ

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