大阪エコエリア構想1/9

更新日:2020年12月9日

はじめに

 

 ○ 大阪エコエリア構想の策定趣旨

    大阪府では、産業廃棄物については事業者処理責任のもと廃棄物管理を基本とし、産業廃棄物の発生抑制、減量化、適正処理を進めるため、多量排出事業者に対する指導、廃棄物アセスメントの実施、堺第7−3区における埋立処分事業、近畿圏における広域処分場を整備する大阪湾広域臨海環境整備事業(以下「大阪湾フェニックス事業」という。)など先見的・長期的展望に立ち諸施策を進めてきた。

 また、一般廃棄物については、府民団体・事業者団体・行政等で構成する「大阪府廃棄物減量化・リサイクル推進会議」を平成3年に発足させ、減量化・リサイクルの実践活動を内容とする「ごみ減量化・リサイクルアクションプログラム」を策定するなど、ごみの減量化・リサイクルに向けた施策を進めてきた。

 平成13年度には、廃棄物処理の目標を定め、関係者が発生抑制、リサイクル、適正な処分に取組むための規範となる廃棄物処理計画を策定した。さらに、平成14年度には、これらの取組みを更に発展していくため、府・事業者・府民の責務を明らかにするとともに、循環型社会の形成に関する施策の基本となる事項を定めた「大阪府循環型社会形成推進条例」を制定したところである。

    このような諸施策の推進等により廃棄物の排出に一定の減量はみたものの、高度に都市化が進んだ府域においては、依然、大量の廃棄物が排出され、廃棄物のリサイクル率が他地域に比べ低い状況であるにもかかわらず、新たな廃棄物処理・リサイクル施設の設置が困難な状況にある。さらに、廃棄物の多様化・質的変化の進展、廃棄物最終処分場跡地の有効活用、地球環境問題への対応としての廃棄物分野での新エネルギー活用の具体化など、新たな課題に直面している。

    これらの課題にも対応し、大阪都市圏に循環型社会の全国的なモデルを形成することを目指すとともに、環境関連産業の振興を通じ地盤沈下が叫ばれて久しい大阪産業の活性化を図るため、民間事業者の持つ高い技術力、資金力、事業意欲を最大限に活かしつつリサイクル施設の整備を図る必要がある。

 また、他都市に比べ緑の少ない大阪において、府民が自然とふれあう場を創造していく必要があり、とりわけ、高度成長期から工業地域として発展する一方で、全国に先駆け、公共関与による産業廃棄物の最終処分場が整備・運営されてきた堺第7−3区における自然創造の取組みが望まれている。

    このような認識に立ち、府域へのリサイクル施設の立地についての基本的考え方を示すとともに、廃棄物最終処分場跡地を活用し自然とふれあう場を創造するという取組みを提唱する「大阪エコエリア構想」を策定した。

 

 ○ 大阪エコエリア構想の構成等

    大阪エコエリア構想は、「リサイクル施設の整備構想」と「自然とふれあう場の整備構想」のふたつの構想から構成される。

 リサイクル施設の整備構想については第1部に詳細を記述するが、大阪及び京阪神圏における廃棄物処理・リサイクルの現状及び課題を踏まえ、リサイクル等の施設整備が必要な廃棄物種類を定義した上、既に民間事業者から提案されている事業計画について、事業化に向けたそれぞれの課題を整理し、一定の評価を行ったものである。府は、この評価を踏まえ、今後、事業者が課題を克服し、事業計画の具体化を図るための取組みを支援することとする。

なお、この事業計画に対する評価は、廃棄物のリサイクルを進め循環型社会の形成に資するとの観点から行ったものであり、都市計画や環境影響面での評価は、廃棄物処理法、都市計画法、建築基準法、大阪府環境影響評価条例等の関係法令に基づき、個別事業の実現までに経られる諸手続きの中でなされるものである。

 自然とふれあう場の整備構想については第2部に基本的考え方を記述するが、この中心となる「共生の森」構想の対象としている堺第7−3区産業廃棄物最終処分場は、平成13年12月の都市再生プロジェクトにおいて「大都市圏における都市環境インフラの再生」として緑の拠点を創出することが決定され、市民、NPO等の参画のもと整備を進めることとされている。

本構想は、これを受け、課題と基本コンセプトの考え方を整理したものであり、その事業スキームや具体の事業手法については、今後、検討していくこととなる。

第1部 リサイクル施設の整備

 第1章 大阪府の廃棄物処理・リサイクルの状況

 1−1 一般廃棄物

(1)排出・処理の現状

平成12年度における大阪府の一般廃棄物の総排出量は、435万トンである。ブロック別にみてみると大阪市が180万トン(41%)で最も多く、以下、南ブロック101万トン(23%)、東ブロック79万トン(18%)、北ブロック76万トン(18%)の順となっている。総排出量のうち、生活系ごみが240万トン、事業系ごみが195万トンとなっている。

総排出量のうち、焼却処理されている量は411万トン(94%)であり、そのうち333万トン(77%)が焼却により減量化され、78万トン(18%)が焼却残さとして埋立処分されている。また、資源化されている量は14万トン(3%)であり、減量化量と資源化量の合計は347万トン(80%)となっている。

 

表1−1 地域区分

 

ブロック名

構   成   市   町   村

大阪市

大阪市

北ブロック

高槻市、茨木市、摂津市、箕面市、吹田市、池田市、豊中市、

(豊能郡)豊能町、能勢町、(三島郡)島本町

東ブロック

東大阪市、枚方市、寝屋川市、交野市、四條畷市、門真市、守口市、大東市、

八尾市、柏原市

南ブロック

堺市、高石市、和泉市、泉大津市、岸和田市、貝塚市、泉佐野市、泉南市、

阪南市、(泉北郡)忠岡町(泉南郡)熊取町、田尻町、岬町

松原市、藤井寺市、羽曳野市、富田林市、河内長野市、大阪狭山市、

(南河内郡)美原町、太子町、河南町、千早赤阪村

※以降、本章においてはこの区分を使用する。

 

表1−2 一般廃棄物の地域別排出・処理状況(平成12年度) (単位:トン/年)

 

 

ごみ総量

 

 

処理内訳

焼却残さ

埋立量

生活系ごみ

事業系ごみ

焼却

資源化

埋立

その他

大阪市

1,795,118

764,791

1,030,327

1,711,743

26,320

57,055

0

377,619

北ブロック

760,858

445,315

315,543

713,438

37,152

9,036

1,232

98,964

東ブロック

787,730

498,688

289,042

739,961

33,204

14,325

240

134,681

南ブロック

1,008,084

690,083

318,001

944,328

46,402

17,033

321

170,266

大阪府合計

4,351,790

2,398,877

1,952,913

4,109,470

143,078

97,449

1,793

781,530

                    ※事業系一般廃棄物の資源化量156,174トンを含まない。

 

 一般廃棄物処理フロー図(処理状況は表1−2のとおり)

 


図1−1 一般廃棄物の排出・処理のフロー(平成12年度)

 

(2)経年の推移

  平成12年度の排出量は生活系ごみが240万トンであり、ここ数年横ばいの傾向になっており、事業系ごみは195万トンであり過去6年間で減少傾向にある。

  生活系ごみは横ばい。事業系ごみは減少傾向

           図1−2 生活系及び事業系ごみ排出量の推移

 (3)「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」の施行状況

 一般廃棄物の中で占める割合が高い容器包装廃棄物(容積比で6割、重量比で2から3割)については、平成7年に「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(以下「容器包装リサイクル法」という。)が公布され、これに基づく分別収集が平成9年から開始された。大阪府では、市町村による容器包装廃棄物の分別収集拡充の促進のため、3期にわたり大阪府分別収集促進計画の改定を重ねてきた。平成13年度において容器包装リサイクル法に基づき分別回収された量は大阪府全体で10万トンであり、達成率(計画量に対する実績量の割合)は66%、回収率(排出見込量に対する実績量)は16%となっている。種類別にみると、その他紙製容器包装とその他プラスチック製容器包装が達成率、回収率ともに低くなっている。

 

表1−3 容器包装リサイクル法に基づく分別収集量(平成13年度) 

 

排出

見込量

(t)

収集量

回収率

(%)

計画量

(t)

実績量

(t)

 

 

 

 

達成率

(%)

大阪市

北ブロック

東ブロック

南ブロック

 

66,040

41,014

32,710

5,879

8,469

7,519

10,842

79.8

49.5

 

アルミ除く

(スチール)

47,227

30,258

27,204

5,238

7,127

6,134

8,705

89.9

57.6

 

アルミ

18,813

10,756

5,506

641

1,342

1,385

2,137

51.2

29.3

ガラス

126,680

62,513

41,359

7,910

10,432

9,370

13,647

66.2

32.6

紙パック

19,234

1,441

832

260

122

255

194

57.7

4.3

段ボール

70,687

22,683

15,074

未計画

5,051

5,309

4,715

66.5

21.3

その他紙製容器包装

107,122

4,625

363

未計画

未実施

未実施

363

7.8

0.3

ペットボトル

20,379

6,882

6,907

2,326

1,295

1,622

1,664

100.4

33.9

その他プラスチック製容器包装

(トレイ含む)

220,115

15,917

4,401

894

386

921

2,199

27.7

2.0

合  計

630,257

155,075

101,646

17,270

25,756

24,996

33,624

65.5

16.1

 

(4)「特定家庭用機器再商品化法」の施行状況

   平成13年4月の「特定家庭用機器再商品化法」(以下「家電リサイクル法」という。)の本格施行以来、対象4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)の廃家電品の回収・リサイクルは概ね順調に推移している。平成14年10月における全国の指定引取場所が引き取った台数は約74万台で前年同月比5万台増となっている。

 

表1−4 家電リサイクルの実施状況(全国:平成13年度)

 

エアコン

テレビ

冷蔵庫

洗濯機

指定引取場所での引取台数(千台/年)

1,334

3,083

2,191

1,930

再商品化処理台数    (千台/年)

1,301

2,981

2,143

1,882

再商品化等処理重量   (トン/年)

57,634

79,978

127,596

54,041

再商品化重量      (トン/年)

45,019

58,814

76,359

30,783

再商品化率       (%) 

78

73

59

56

 

(5)「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」の施行状況

  一般廃棄物排出量の約3割(重量比)を占める食品廃棄物のリサイクルを推進するため制定された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(以下「食品リサイクル法」という。)が、平成13年5月に施行された。同法に基づき国が定めた基本方針により、食品関連事業者の再生利用等の実施率を平成18年度までに20%以上に向上させることと定められた。

 

(6)「使用済自動車の再資源化等に関する法律」の施行状況

  全国で年間約500万台排出される使用済自動車は、金属部品などは価値が高く、解体業者や破砕業者において売買され、有用部品のリユースが行われてきた。しかし、大量に発生するシュレッダーダストの減量化・リサイクルが必要となるとともに、鉄スクラップ価格の低迷などによる使用済自動車の逆有償化が進展しており、不法投棄・不適正処理の懸念も生じている。このような状況の下、平成14年7月に「使用済自動車の再資源化等に関する法律」(以下「自動車リサイクル法」という。)が成立し、リサイクル料金の前払いと自動車製造業者等、引取業者、フロン類回収業者、解体業者、破砕業者等の関係事業者の役割分担のもと、使用済自動車の不法投棄の防止とリサイクル・適正処理の推進を図ることとなった。同法の施行は段階的に行われることとされており、平成17年1月までに使用済自動車の再資源化とリサイクル費用の負担等が開始され完全施行されることとなっている。

 

 

このページの作成所属
環境農林水産部 循環型社会推進室資源循環課 施設整備グループ

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