平成24年8月24日(金曜日) 知事と教育委員の意見交換 議事概要

更新日:2019年4月9日

教育振興基本計画について、知事と教育委員で意見交換を行いました。

日時

平成24年8月24日(金曜日) 午後2時30分から午後3時30分

場所

大阪府庁本館3階 特別会議室(大)

出席者

松井知事

隂山教育委員長、小河教育委員、中尾教育委員、立川教育委員、木村教育委員、

中西教育長、新井政策企画部長、福田府民文化部長

議事概要

<中西教育長>

それでは、知事と教育委員との意見交換会を始めさせていただく。

松井知事が就任されてから初めての意見交換会となるが、今日は教育振興基本計画を中心に意見交換をさせていただきたい。

[松井知事]

 本日は、意見交換の場を設けていただき感謝申し上げる。日頃から、大阪の教育行政に教育委員という立場からそれぞれ精一杯やっていただいている。ただ、一般的には教育委員会組織の形骸化というものが問題視されている。大阪は、自治体としては初めて、選挙で選ばれた首長自身が、教育目標を教育委員の皆さんと協議して、責任を持って定めさせていただく。もちろん議会の議決をいただくことになるが、最終的には、首長が民意をくみ取りながら教育のあるべき姿を作り上げていく。

 詰め込み教育はどうかという話もあるが、世界標準では良いも悪いも含めて、例えばアジアの国々でも、詰め込まれる。そのような子たちと同じ時代を生きていく、その時に、計画の中にもあるように、チャレンジしていくためには何が必要か、自立するためには何が必要なのかということに着眼して、教育振興基本計画を皆さんと議論して作り上げたい。

 自分自身でいうと、今大学を卒業したとして、世界の人とは、おそらくチャレンジする前に負けていると思う。昔だったからなんとか自立できたが、今の時代では自分が持っている知識では全くダメ。橋下市長とも話をしているのだが、語学力は最低レベルだと思っている。今22歳で大学を卒業したとすれば、徹底した教育をアジアの能力のある人たちと同じスタートラインに立てるのかというと、なかなか厳しいのではないか。そういうグローバル化社会の中で、今の小学生や中学生が生き抜いていかなければならないというのが現実。

日本の将来を担う子どもたちが、自立し、リーダーシップをとって、この国を支えていく。そして、そういう人たちが、どうしても自立できない人たちを支えていく。そういう人材を作り上げていくのが我々に与えられた役割だと思っている。各委員の様々なご意見を聞かせていただいて、日本の教育が変わるきっかけになるような計画を作りたいと思っているので、よろしくお願いする。

<中西教育長>

 今の知事のお話をきっかけに、これから自由に議論をお願いしたい。

[松井知事]

 偏差値至上主義の教育、それがいいとは思っていないが、すでに必要なものになってしまった。

 自分の若い時は、売り手市場で就職できた。企業も余裕があって、2年から3年は人材育成をやってきた。だが今は即戦力が求められており、新卒でも即戦力に近い人を採用することになってしまっている。

<木村委員>

 私は学習塾をやっていて、競争や結果を非常に求められるが、子どもには色々な個性があり、競争一辺倒ではうまくいかない事例も多々出ていて、詰め込み主義ではうまく機能する生徒と、そうでない生徒がいるのは事実。いろんな選択肢のある特色のある学校を作っていくのが喫緊の課題であり、私学であれば自己努力で広報活動など一生懸命やっていていい学校を作ろうと頑張っており、公立も学ばなければならない部分や発信力ももっと研究しないといけない。いい学校、上の学校に行くことだけが全てではないという視点が大阪の教育を考えていく上では必要だということを感じている。

[松井知事]

 学力が高い学校だけがいい学校だとは言っていない。選ばれる学校となるように切磋琢磨してもらいたいと思っている。学力が高いからといってそれだけで選ばれるとは限らない。校長のマネジメントで選ばれる学校かそうでないかは変わってくると思うので、特に高校は、できる限り現場に任せていきたい。ただし、選ばれなかったら責任も取ってもらうというのが私の考え方。

<隂山委員長>

 私事だが、仕事で頼りにしている人は大阪の人が多い。大阪は学力が低いと言われているが、ある経済雑誌では大阪の公立高校の評価は非常に高い。ところが、高校生の就職率は全国平均を大幅に下回っている。大阪府の高校新卒者の有効求人倍率は全国平均より相当いいにも関わらず、大阪の子どもたちが就職し損ねているということは、他府県の卒業生に持っていかれているということになるのだが、大阪は、二極化が進んでいるのではないかという気がしている。

 また、大阪は中学生の暴力事件が多い。私が教師になった頃は校内暴力が最もピークを迎えていた兵庫県にいた。当時はものすごい中学入試の競争だったが、大阪では起きていなかった。大阪は理屈通りにはいかない何か不思議なところがあるような気がするが、いずれにせよ、二極化の中では中位から下位にいる子に手を差し伸べていかないといけないのではないかということを4年間ずっと思ってきた。全国学力テストも平均点では80点ぐらい取れており、どんなに賢い子も100点以上は取れないので、下位層の着実な学力向上というのが実は色んな意味でも重要であるということを考えてきたし、小学校ではいけるのだけれども中学校ではなかなかうまくいかない。暴力事件も小学校と高校はそれほど目立ったものはないのに、中学校は多い。大阪は中学校が鍵になるのではないかと最近思うようになってきた。

 就職率の問題と中学校のところ、高校入試の競争面を強化するのがいいのかどうかについては、ちょっと我々としては考えるべき点があるのではないかと思っている。

[松井知事]

二極化しているというのは、そうだろうと思っている。どちらもサポートしていく必要があり、世界で戦う知識を付けたいという子にはしっかりやれるようなシステムを作るべきだし、厳しい子ども、学力の低い子どもたちは、暴力を起こしてしまったり家庭の事情があったりするのだろうが、そこをどうサポートしていくかは分けて考えていくべき問題なのかと思っている。学力の厳しいところだけに重心を置くのではなくて、両方をしっかりと支えられる、両方が納得いただけるような制度を作り上げないといけない。

<隂山委員長>

 それはその通りなのだが、大阪の中学の問題は、我々が分析しきれていない特殊性が何かあるのかなという問題意識を持っていて、全ての若者に学びと職を提供しなければいけないというのは当然の責務。

論点は少し違うが、我々自身の反省として、選挙の時にも話題になったけれども、やはり、教職員がこの厳しい現状に向き合うという点では、大津のいじめの問題もあったが府教委としてはかつて似たような問題があったこともあり、以前から自覚的、自律的にやってきてはいるが、色んな心配・不満・不信などを保護者から突き付けられているということは感じているので、教職員が今後、誠実に真摯に教育活動に取り組んでいくということについては、真剣にやっていかないといけないと思っている。

<木村委員>

 校長先生で学校は決まると思う。心意気というか勢いというか、学校を改革するぞという思いのあるところとそうでないところの空気は全然違うので、教職員もそれに引っ張られて頑張っているというのが学校現場を見ていて感じること。

[松井知事]

 学校の教職員は必ずしも教員免許を持っている人でないといけないのか。私としては、現場の校長のマネジメント力に期待するところがあって、今の厳しい現状の子どもたちに対応するときに、免許のない人でも学校現場に入ってこれるように校長の権限を強化していくことが必要ではないかと思っている。

<隂山委員長>

 それは政治とか国の問題だろうと思う。私自身は中教審委員などをしていて現行制度を是として動いているのだけれども、学校現場を預かる身としては、おっしゃるように免許の有無で決まるものではないと思うし、形だけいい恰好をして入ってきて問題を起こしてしまうという事例もなくはない。教員免許の件は、維新の会がもし国に行かれたとき、例えば教員臨時免許を都道府県の分権制にするなどすれば、賛成する。

[松井知事]

 本当にそう。

<隂山委員長>

 例えば、大阪府として校長塾とか教員塾とか、教育委員会が主催するかどうかは別にして、それなりの公的に担保されたカリキュラムをもとにしてそういう人を養成して、幅広い人に入ってきてもらうということについては、大いにやってもらったらいいと個人的には思う。

<中尾委員>

 私は民間企業から学校に入ってきたが、何が違うのかというと、学校の現場と社会が連動していないこと。社会がどのように動いているのかということを校長先生以下、教職員がつかんで教育に反映させるということが薄いのではないかということ。

 韓国の仁川の市長にお会いして話をしてきたのだが、すごいことを考えていて、人材育成についてお考えをお伺いすると、2020年までに国際大学を10校持ってくるとのことで、既にニューヨークの州立大学が設置されている。

 先ほど知事からグローバル人材というお話があったが、今は企業がグローバル化しているので、採用するのは日本人でなくてもいいし、今後もっとそうなってくると思う。したがって、グローバル人材を絶対育てていかなくてはならなくて、単に語学力だけじゃなくて、日本の伝統や文化というものもしっかり押さえているということも必要。このようなグローバル人材とはどういう人なのかということについては、一度議論をしなければいけないと思っている。

 公立と私立の学校の校長をやらせていただいて、中学校と高等学校しか分からないが、学力・いじめ・生活習慣・学校崩壊など、いろいろな問題は根っこが全部つながっていると思っている。今は単発で色んなことをやっているが、根本原因は何なのか、それは学校現場だけで解決すべき問題なのか、それとも社会や家庭が総がかりでやっていかなければならないのか、計画にもそのあたりを入れていかないといけないと思っている。

 学校はやはり校長で決まると思う。校長がしっかり学校をマネジメントして職員に自分の考え方を浸透させていく。これはOJTで、いくら研修会をやっても人は育たない。

[松井知事]

 今後、校長を公募していくときに、あまり任期にこだわるべきではない。社会に出て社会の厳しさが分かった上で、40歳で教育現場に入ってきていただいて、5年の任期で働き盛りの45歳で終了というのでは、一番いいところでおしまいとなってしまう。公募校長については年数を区切らない制度が必要と思っている。

<隂山委員長>

 その点について、我々も議論してきている。

<中西教育長>

 任期を区切らないという形ではなく、再任なり次の道が開けるような仕組みにしていくつもり。

<隂山委員長>

 通常の公務員校長みたいな道を開くということも含めて検討お願いしているところ。むしろ、これは人事制度が壁になっていると聞いている。

<中西教育長>

 制度的には人事委員会との協議などあるが、我々としてはやるつもり。

<小河委員>

 校長が重要だということは同感だが、校長の概念として、上意下達ではなく、組織者として職場のたくさんの方々の意見の中から方向性を打ち出してジャッジしていくというビジョンを持った人、皆の意見を汲み出す力を持った人、そういう能力を持った人というのが非常に重要だと思う。そういう意味では色んな人に来てもらうのが大事だとは思うが、一方で、学校で教師が教える内容、教科の専門性というのは絶対に崩してはいけない。その面でいうと、資格という大きな枠組みで決められている枠は重要。それ以外の部活動や様々な領域で、色んな方々の力をうんと活かして助けてもらうというのは大事だとは思う。

<中尾委員>

マネジメントというとすぐにトップダウンということにつながるが、私は、衆知を集めた学校づくりだと思っている。会議をたくさん開くということではなく、色んな先生の意見を聞いて、社会の動向を見て、自分の考えをまとめてビジョンを出していくということ。

<小河委員>

 それでなければ、企業も成功しない。

[松井知事]

 企業はそれが全て。トップダウン、あまりにも独裁的な企業は、余程のことがないともたない。ここでしか作れないとか、ここでしか売れないとかでないと。普通の企業はどんな経営者でもリーダーシップで決めているように見えるが、そこに至るまでは情報収集を徹底的に行っている。

<立川委員>

 校長の権限というか、校長の予算が増えてきているが、使えるのが備品や設備費など。先ほどの専門性を持った外部人材、例えば私などがキャリアコンサルタントとして入るような場合に、校長裁量予算で雇ってもらえるかというと、そこまでは予算がついていない。校長先生に期待する部分は大きいので、人件費として使える予算があってもいいのかなと思っている。生徒が多様化しているので、課題が多い生徒には丁寧にやっていくという部分では少人数でやっていくという学校があってもいいと思う。

[松井知事]

 法律上での色々なハードルがあるが、本音で言うと各学校でかかっているお金を全て校長に預けたい。給与や修繕費や何から何まで1校ごとに計算して、校長にどんと預けてその範囲で校長に全部やってもらいたいと思っている。

<隂山委員長>

 最終的には各学校を独立行政法人化してしまうということか。

 教育振興計画というのは、安倍政権の教育再生会議の中で、大阪のように首長が教育に興味関心を持っているところばかりではなく、他所は追いかけていっても話し相手になってもらえないというところを、振興計画というものを作ることによって互いに議論をしようというもので、元はと言えば予算。それと同時に教育のダイナミクス。例えば韓国では、廃校になった高校全部を英語専門の学習センターにして、各部屋が大学や病院になっていて、子どもがそこで実際に英語を使ってコミュニケーションをするという、キッザニアの英語版のようなことをやっている。そして、市内の小学校5,6年生は必ず年に2回は使わなければいけないことになっていた。そういう大胆なことができるのも、選挙で選ばれた教育委員長のような職の人が、教育税という目的税を持っていることが大きいのだが、要するに、責任のある人が教育ということについて大胆な施策を考えていくことが大事なのではないかということ。それでこそ教育振興計画が生きていく。英語教育は、今後、大阪がアジアの中で生きていく上で非常に重要なファクターになると思うので、施設面も含めた大胆な提案を教育委員会とともに提起していただければ、知恵を絞りたいと思う。

[松井知事]

 予算の話でいくと、普通は教育委員会と私学というのはお互いの縄張り意識が強いが、今日の会議に私学を所管する府民文化部も入っているように、大阪府では、公私共通の土俵で予算議論ができる。これは大阪だけだと思う。ご存知のように、他の46都道府県を圧倒するだけの私学無償化を実施している。公立と私学の壁を無くした中で、語学教育の予算をどう使うのかということを全庁的に考えていきたい。今も「使える英語プロジェクト」に予算をつけているが、これをどう使いたいということは、現場の声を上げてもらいたい。先ほどの空いている学校があるからこう使いたいというのがあればどんどんと取り組んでいきたいと思っている。

<隂山委員長>

個人的なアイデアだが、今後、仮に府大と市大が統合したとして、空いた跡地に大学の国際化もあるので留学生をたくさん受け入れることになると思うが、そういう留学生たちを先ほどの学習センターのティーチャーとして活用していくとか。このような話は、教育委員会の枠組みの中だけでは考えられないので、小学校の英語教育のために大学の留学生が出かけていくという発想を全国に先駆けて大阪でやっていただけると、今回の条例も生きてくるのではないか。

<木村委員>

私学の授業料無償化について、保護者の方は非常に喜んでおられる反面、いつまで続くのかという不安の声もある。もし無くなると公立に子どもたちが戻ってくることになると思うが、そうなると私立の経営が難しくなってくる。各学校の方針を3年後を見据えてどうしていく必要があるかを考えていけるよう、財政上の事も考慮しながら、現段階から府として制度設計をして高校側に示していく必要があると思う。

[松井知事]

 府民文化部とも色々と話をして、5年間は継続していく方向。ただ、この制度は、民主党政権で公立が無償化になったので、子どもたちが自由な学校選択をできるように、私学も無償化にということで始まった。教育の受益を受けているのはその子ども自身なので、やはり負担も必要だという社会の判断があるかもしれないし、公立が有償化したときには、競争条件を整えることが切磋琢磨の考え方なので、変えていかなければならない。ただし、できるだけ家庭の所得の格差が子どもの教育を左右しないようにやっていくべきとは思っている。

<立川委員>

 公教育の一番大事なところはセーフティネットだと思う。中退率も全国で抜きんでて多い中で、ニート・フリーターという若者支援は商工労働部で教育委員会ではないということになるのだが、生徒が中退した後はどこにも接続されないという現状があり、そのまま引きこもりやニートになったり、フリーターになるとそのまま非正規雇用で低所得のままになったりしていく。グローバル教育で伸びしろのある生徒はどんどん伸ばしていただいて、支援の必要な生徒をじっくり見ていくというような施策が必要だと思っている。東京都のエンカレッジスクールや、アメリカのオルタナティブスクールのような課題があるときだけ通って課題が解決すれば元の学校に戻っていくというようなシステムなど、今後、高校の再編整備にあたり、色々と研究して、大阪の教育のグランドデザインを作るときだと思う。

[松井知事]

 世の中はハイテクに目がいっているが、ローテクのいいところもいっぱいある。東大阪などローテクの分野は人材が不足してきているところがあるので、そういう分野につなげていけないものか。

<隂山委員長>

 工科高校の改革には力を入れてやっている。まさに、そこを退職された方を工科高校の講師に迎えるとかは、教員免許の問題などをクリアしたいという話は随分している。

<中西教育長>

 我々としては、リーダー育成と合わせて、しんどい層の底上げに一番力を入れないといけないと思っている。今回の計画でも、「セーフティネットの整備」の中に定時制や通信制も含めているし、セカンドチャンスということでやり直しがきくようにもしていかないと。

<木村委員>

 通信制高校のニーズが増えているのは事実。通信制のやり方も色々あるので、そのあたりも検討して公立の中でもセカンドチャンスを与えていけるような新しい学校も考えていくということも底上げの一環ということになるのでは。

<立川委員>

 先ほど知事の言われてた自律と自立は、社会的自立という事だと思う。学校と社会の接続をうまくしてやらないと卒業した時点で所属するところが全く無くなってしまう。ハローワークは10代では非常に敷居が高いので、学校に外部の専門家が入っていかないと、学校の先生の技量だけでは太刀打ちできない状況になってきている。

<隂山委員長>

 個に応じた教育という点、教育の未来化という面も含めて、コンピューターを使ったICT教育が大きな課題になってくると思う。大阪市では大胆にコンピューターを取り入れるということになっているが、府立でもとりあえずネットワーク化は一段落しているが、生徒一人一台PCというのを見定めて、府内でシステム的にやっていかなければいけないと思うのだが。小中のことになると、市町村の経済状況や個々の判断になっていくので、府域全体でやれるかなという心配はあるが。そういう予算付けはできるのか。

[松井知事]

 高校生は自分でだいたい持っているので、それを使うというのはどうか。

<隂山委員長>

 同じものでないと。今のハードディスクであれば、小1から高3までの教科書や教材を全部入れ込んで子どもに渡すということができるので、そうすると、小6の子が小3のやり直しをしたり、小学生が中学生の勉強をすることが可能になってくる。そういう点で言うと、ICT教育は個に応じた教育をものすごく開いていくし、突き詰めていってしまうと学年という枠組みが消えていってしまうし、メール等によって学級の枠組みも緩やかに崩れていって、個々の一人ひとりの活かされ方みたいなものができるような気がしている。

ただ、現段階ではコンテンツや著作権や教科書問題が非常にややこしく入り組んでいるので、逆に、大阪市の動きが早すぎるのでハラハラしながら見ているのが、しかるべき段階で予算執行し、最初の成功を大阪がやるというのはいいシナリオだと思っている。IT系には大阪出身の方が多い。さすがはシャープや松下が生まれたところ。

<中尾委員>

 グローバル化というと外に出ていくイメージがあるが、内なる国際化ということで、国内もそうなってくる。ここをよく見ておかないと、就職先がないということも出てきてしまうのではないか。

<隂山委員長>

 指導要領的な指導内容も重要だが、英語やICTなど間違いなく5年10年先に必須になる学力も今と違うし、ある学者によると今の小学生が就くことになる職業は半分ぐらいがまだこの世に存在していないものになるということで、クリエイティブな発想をしないと職に就けないということもあるので、やはりそのあたり5年後10年後に生きてくる学習・学力とは何かということをイメージしておかなくてはならない。

[松井知事]

 基本になるのは、やはりコミュニケーション力。言葉が通じるかということと、それを使う勇気を持ってもらわないと。

 それから、大阪特有の問題として、様々な在日の子どもたちも多いということがある。今の世界情勢の中で、不利益を被らないように注意をしてあげたいと思っている。

<隂山委員長>

 領土問題を契機として雲行きが怪しくなっているので、少し心配をしている。

[松井知事]

 その子どもたちに関係のある話ではないので、注視をしてもらいたい。

<隂山委員長>

 大人の問題で子どもが嫌な思いをしたというのが、10年後20年後の日本の外交の在り方にも大きく影響するという思いを持っておかないといけない。

 一方で、日本の学校教育の中で領土問題がきちんと扱われていないということがある。

<中尾委員>

 これから学校の特色づくりが非常に大事になってくる。公立と私立があり、工科高校、総合学科、支援学校など色々とあるが、公立としてここは絶対にやらなくてはいけないというところは、集中と選択でやっていかないといけない。

 今後、公立中学校卒業者数が3,600名ほど減少することが見込まれ、単純計算で90クラス分が公立と私立を合わせて淘汰されることになるが、その予算をどこに持っていくか。

[松井知事]

 子どもが減るという推計は出ているので、教育委員会事務局でも検討に入ってくれている。

<中西教育長>

 中間とりまとめにあたって、具体の記述についてのご意見は。

[松井知事]

 特にはない。色々と今お話しさせていただいたとおり。

今回、高校においては校区を撤廃するということも決めたし、隂山委員長もやっていただいているが、調査書を相対評価から絶対評価に変えようとしている。そうなると、高等学校の入試制度改革。ここはまさに府教委がしっかりやっていく部分だと思っているので、具体的には、高校入試制度をぜひお考えいただきたいと思っている。

教育行政基本条例は大阪府と大阪市で成立している。教育振興基本計画は、義務教育を担う大阪市教育委員会と府の教育委員会が同じ方向性で、全く同じになってもらわなくてもいいが、小・中・高と上がっていく中で子どもがどうあるべきかということで、市教委と壁を作らずに議論をしてほしい。大阪市以外の各市町村の教育委員会は自主的に判断されると思うが、情報だけはしっかりと届くようにお願いしたい。

<隂山委員長>

 今の大阪市とそれ以外の他の市町村との関係は、どう考えたらいいのか。

[松井知事]

 政令市制度を背景に、大阪市は府からの指導助言を受けることなく、独自の権限を持ってやってきた。

<隂山委員長>

 政令市ということでは堺市もある。大阪都を前提にするということか。

[松井知事]

イメージしていただければ。要するに、大阪市教委は、今までは府教委何するものぞというスタンスで、自分のところの教育だけを独自で決めてきた。教職員の府費負担があるとはいえ、政令市の権限の中で教育行政を進めてきた。今回は私と市長の間で教育についても連携していこうと話しており、府教委と市教委が議論のできる状況にあるので、情報交換を密にしてしっかり連携してくださいということ。

<隂山委員長>

 まずは情報交換ということで、両者で決定機関を作ってというわけではないということか。

[松井知事]

 それはそう。今の制度では、府教委と市教委がそれぞれで決定することになっている。ただし、高校については、これから府市統合本部で議論していくが、市立高校はもう府立高校の枠の中でやってくださいという話にもなっている。

<隂山委員長>

 詳細は、これからまた相談させていただきながらやっていきたい。

<中西教育長>

 本日の議論を踏まえ、来週中に中間まとめとして整理を行いたい。

[松井知事]

 本日はどうもありがとうございました。

このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 教育政策グループ

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