大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第191号)

更新日:2010年7月28日

大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第191号)

〔建設業許可申請受付等業務委託関係文書部分公開決定異議申立事案〕

(答申日 平成22年7月28日)

 

第一 審査会の結論

 本件異議申立ての対象となった部分公開決定において、公開しないことと決定した行政文書のうち、「情報セキュリティ基本方針(個人情報管理規定、セキュリティ管理規定)」を除く「各種マニュアル(業務マニュアル、運営管理マニュアル、危機管理マニュアル)」、「オペレーションマニュアル」、「エスカレーションマニュアル」、「情報セキュリティ基本方針(委託業務遂行編)」及び「社内研修資料(個人情報保護の重要性と日常のセキュリティ対策、ビジネスマナー実践講座)」については、公開すべきである。

 実施機関のその余の判断は妥当である。

 

 

第二 異議申立ての経過

 1 平成21年6月1日、異議申立人は、大阪府知事(以下「実施機関」という。)に対し、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、「建設業許可申請受付等業務委託仕様書、業務管理マニュアル(業務マニュアル、オペレーションマニュアル、運営管理マニュアル、危機管理マニュアル等一切マニュアル)、オペレータのスキルアップを目的とした勉強会の報告、日次報告、月次報告、随時報告」についての行政文書公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。

 

2 同年6月11日、実施機関は、本件請求に対応する行政文書として別表に掲げる行政文書(以下「本件行政文書」という。)を特定の上、本件行政文書に第三者である株式会社A(以下「第三者」という。)に関する情報が記録されていることから、条例第17条第1項の規定により、意見書提出の機会を付与するため、「第三者意見書提出機会通知書」を送付した。

 

3 同年6月17日、第三者から、次の文書について公開に反対する旨の内容の意見書の提出があった。

 本件行政文書のうち、各種マニュアル(業務マニュアル、運営管理マニュアル、危機管理マニュアル)、オペレーションマニュアル、エスカレーションマニュアル、情報セキュリティ基本方針(委託業務遂行編、個人情報管理規定、セキュリティ管理規定)、社内研修資料(個人情報保護の重要性と日常のセキュリティ対策、ビジネスマナー実践講座)、研修スケジュールについて、新型インフルエンザへの対応(提案)についての文書 

 

4 同年6月30日、実施機関は、条例第13条第1項の規定により、本件行政文書について、別表に掲げる公開しないことと決定した部分を除いて公開するとの部分公開決定(以下「本件決定」という。)を行い、公開しない理由を別表のとおり付して異議申立人に通知した。

 

5 同日、実施機関は、本件決定を行った旨及び本件非公開部分を除いて公開することとした理由を付して第三者に通知した。

 

6 同年8月26日、異議申立人は、本件決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、本件決定を一部取消し、非公開とした行政文書の公開を求める異議申立てを行った。

 

第三 異議申立ての趣旨

 本件決定を一部取消し、公開しないことと決定した下記の公開を求める行政文書等について、公開を求める。

 

・公開を求める行政文書等

  建振第1122−13号別紙記載の行政文書のうち条例第8条第1項第1号を非公開理由とする以下の文書(以下、「本件係争部分」という。)

1.業務管理マニュアルの内

  ・各種マニュアル(業務マニュアル、運営管理マニュアル、危機管理マニュアル)

  ・オペレーションマニュアル

  ・エスカレーションマニュアル

  ・情報セキュリティー基本方針(委託業務遂行編、個人情報管理規定、セキュリティー管理規定)

2.オペレーターのスキルアップを目的とした勉強会の報告の内

  ・社内研修資料(個人情報保護の重要性と日常のセキュリティー対策、ビジネスマナー実践講座)

 

 

第四 異議申立人の主張要旨

 異議申立人の主張は概ね次のとおりである。

 

1 異議申立書における主張要旨

(1)条例第8条第1項第1号を適用し非公開としたことについて

法人情報といえども、大阪府庁が保有する一般の法人の情報と異なり、府行政と一体化・密接不可分の行政事務を行っている場合で且つその事務に関する法人の情報については、同条例を適用すべきではなく、府庁が従うべき情報公開の原則に業者もまた従うべきである。

イ 仮に保護の適用を受けるとしても、その競争上の地位や正当な利益を害することについ て蓋然性が認められ、いつ、どこで、どのように害される恐れがあるのか、またその被害の態様や程度がどれだけ重要なものであるのかを客観的に示し得るものでなければならない。単にそのような恐れが想定されるというだけで、非開示とすることはできない。

〔補足説明〕

 業者のする委託業務は、繰り返し述べるが実施機関の事務の補助業務であり、全く独立した業務とは言えない。そうだから、実施機関は事務の運用にあたり、事前に業者に対し、マニュアル等を提出させ、或いはそれを承認することとしている。よって業者は、提出されていない基準や方法=マニュアルにより業務を行う事は出来ないと解される。さらに言えば、実施機関の了承、言い換えると“お墨付き”を得て行われる業務手順や方法は、業者のノウハウであったとしても、十分行政行為の一部分となっているに他ならない。

 本件のように実施機関と業者との間で、密接不可分・一体化し、補助業務として行われている行政手続の一部を民間に委託したとしても、申請がどのように取り扱われ、いかように審査されるかの基準や方法が一部でも公開されないことは、手続について定めた法令の求めに応じていないばかりか、申請者の利益、言い換えると府民の「知る権利」が満たされていないと言わざるを得ない。

 大阪府の行政手続は、行政手続法第5条第2項並びに大阪府行政手続条例第5条第2項に基づき審査基準を(申請者が)出来るだけ具体的に知り得るように措置するのは言うまでもないことであるが、これは同条例の目的にある透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が府民にとって明らかであることをいう。)の向上を図ることで、府行政への信頼をつなぐ為でもある。とすると、非開示の理由として示されている民間のノウハウやアイディアを守ることで、業者の競争上の地位やその他正当な利益を害しないためとしているが、つまりは府民の「知る権利」よりもこれらの業者の利益を優先させることとなり、「私益」が「公益」に勝るとの判断に基づくものであると言わざるを得なくなる。このようなことが許容されるならば、今後も拡大するであろう府行政の民間委託事務によって、次々と「業者の利益」が府民の「知る権利」を凌駕し、府行政は益々不透明なものに変容してしまう危惧を持つ。

 また仮に、本件公開により業者の競争上の地位やその他正当な利益を害する恐れがあるとしても、「行政文書は開示されるのが原則であり、一定の事由に該当しなければ不開示とすることができないとされていることに照らすと、利益侵害情報として不開示情報に当たるといえるためには、主観的に他人に知られたくないという情報であるというだけでは足りず、当該情報を開示することにより、当該事業者の権利や、公正な競争関係における地位、ノウハウ、信用等の利益を害するおそれが客観的に認められることが必要であり、上記のおそれが存在するといえるためには、単に事業者の利益が侵害され得るという抽象的な可能性が認められるだけでは足りず、法的保護に値する程度の蓋然性をもって利益侵害が生じ得ると認められることが必要と解するのが相当である(大阪地方裁判所平成19年1月30日判決(行ウ)126号行政文書不開示決定処分取消請求事件)」との判例もあり、どうしても非開示とするのであれば、客観的な蓋然性について情報公開請求者にその理由を示す必要があるのではないか。

 同時に、民間事業者が行うものであったとしても、これら委託業務が、公務員の業務を代行してするみなし公務員の業務であるとすれば、「(行政機関の保有する情報の公開に関する法律 注:異議申立て人)5条1号ただし書ハの文言及び趣旨に照らせば国又は地方公共団体の公務員等の職務の遂行に係る情報については、そのうち当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分は同号の不開示情報に該当せず(大阪地方裁判所平成19年6月29日判決(行ウ)92号公文書一部不開示決定取消請求事件)」との判例も参考とされるべきである。

  他方、上記理由ア、イとは別に、業者職員により申請者に対して行われる「補正連絡」等の指示行為が、行政手続法第2条第6号(行政指導)に当たる行為であるかを検証するためにも、非公開とした行政文書の検証が必要である。本年4月実施機関において民間委託業務が開始されたのち、「従来に比して待ち時間が長くなった」、「従前指示されなかった補正連絡を求められた」等の府民の声を異議申立人においても掌握しているが、業者職員の業務の正確な検証に基づいてこそ、初めて申請者保護の視点から民間委託業務に対する客観的で適切な判断が行えるからである。そのためには、進んで業者の業務がどのように執り行われているのか、その業務マニュアルや研修について内容をよく調べてみることが重要なプロセスである。即ち、手続の透明性をより一層確保するために本件対象文書を公にすることによる利益が、これを公にすることによって害される利益を上回るものと判断される。実施機関は、条例第8条第1項第1号を単純に適用し、同条例第11条第1項の定めるところの公益上の必要性については、十分な検討を行っていないのではないかとの疑問を抱かせる。

(2)全部非公開としたことについて

   仮に(1)の主張が全く受け入れられないとしても、業者の秘匿すべきノウハウやアイディア以外の部分については、侵害する恐れは全くないのだから公開されるべきであり、全部非公開とする理由は見当たらない。

    

2 反論書における主張要旨

(1)はじめに

 条例制定の重要な意義の一つは、住民による府政の監視であり参加である。府行政のほとんどすべては適正に執行されている。がしかし、ごく一部にそうではない若しくはその疑いのある執行があれば、それを適正なものに改善することは、住民の権利でありまた自治の原則からすれば義務でもある。府行政が適正に執行されているかどうかを審議するのは、その多くは議会に委ねられるが、住民そのものが自ら行うことも許容される。そこで、その手立てとして或いは適否の判断のため、行政文書の情報公開を求めることになるが、そこに府の恣意があれば、意味を成さなくする場合もあろう。すなわち情報の開示・不開示処分は、府行政の適正執行を住民が判断する上で重大な影響を持つ。このことを十分認識した上で、為されることが望ましいことは言うまでもない。そう述べるのも、大阪府においては、これら処分を行う上で透明で公正な判断をもたらす審査基準が設けられておらず、このため住民は容易にまた明確にその判断ができないのである。速やかに開示・非開示にかかる審査基準を定め、公開するべきである。

(2)条例第8条の解釈と適用について

 本条は、裁量規定であり義務規定ではない。

 ところが、実施機関が述べていることは、要約すれば第1項第1号に該当するから、即ち「競争上の地位を害するもの」に当たるから単純にそれだけの根拠で非公開としたと述べているに過ぎない。

 掲げるならば、「しかしながら、本府が保有する行政文書については、条例に基づき公開するものであり、条例第8条第1項第1号において、公開しないことが出来る行政文書は、「公開することにより、当該法人又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの」と規定されており、法人等の行政への関わり合いの深度により左右されるべきものではなく、社会通念上、競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるか否かをもって判断されるべきものである」と述べているとおりである。ここでは異議申立人の言う「府行政と一体化、密接不可分の行政事務」と記した意味がほとんど理解されていない。

 情報公開にかかる制度や政策を振り返ると、独立行政法人に対する情報公開については、行政機関情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)成立の2年後に制定されたが、その附帯決議に独立行政法人と同様の情報公開を行うべきであることが多数意見であったことが背景と考えられる。しかしながら、法令の義務規定は存しなくても、法律により行政の一翼を担うのだから、今でも情報公開の対象組織とする考え方もある。公益法人等の見直し等の理由により、指定法人の情報公開にかかる法律化が遅れているのが惜しまれる。

 指定管理者制度の導入に伴い、一部市条例で指定管理者を実施機関に加えたりしている先進的な例(藤沢市、尼崎市)もあるが、大阪府の場合はそのような取り組みは見られない。行政機関そのものに限らず、行政から派生した機関、法律により定められた業務を行う組織にも情報公開が及ぶのは、当然の流れであり、今後も更なる推進が図られることが期待される。

 この共通の考え方として、公益法人制度改革に関する有識者会議において、議論の中間整理として平成16年に出された取りまとめの中で、「透明性の確保については、情報開示を充実し、利害関係者に対する情報開示にとどまらず、いわゆる社会監視の考え方により、適正運営を図ることの必要性」について述べているが、このような考え方に基づくべきと考える。

 行政と関わる組織として、市場化テストなどにより委託された事業者の情報公開がどのようにあるべきかが、最後に残された問題の一つである。

 前述したとおり、実施機関の主張においては、府行政と関わる機関、組織の情報公開がどうあるべきかという考察がほとんど為されていない。そうだから、裁量規定である第8条の「できる」という規定ぶりを見逃し、「しなければならない」ものと解釈したのではないか。同様の発意から、別の説明でも、「条例第8条第1項第1号に該当すると判断し、条例第11条に規定する公益上特に公開する必要がある情報とは認められない」としたのである。第8条に該当すれば、第11条は関係ないと判断できたのは、それが義務規定と解したからと思われるが如何であろう。

 当然第三者の意見を聴取したのであるから、実施機関は、その余の裁量分野も探るべきであり、その一つが、異議申立人の述べる「府行政と一体化・密接不可分の行政事務」を行うものは、独立行政法人、指定法人、或いは出資法人と同様の措置を講じるべきか否かについて、少なくとも検討した上で判断すべきであったと主張する。府行政と密接不可分の事務を担う機関、組織、法人の情報は、行政そのものの情報或いは行政と関連する情報を内包しているからである。本件公開請求は、まさにその部分についての開示を求めているのであり、第三者のそれ以外の私的情報を求めているものではないのである。仮にそう理解すれば、実施機関は非公開とする結論を導かなかったものと推察する。

 

3 建設業許可の事務について

  建設業許可については、建設業法の定めるところに依拠している。法律の規定に基づく審査事務であるから、行政手続法の適用を受けることは相違ない。建設業法は、その事務を国又は委任した地方自治体が行うことを予定しており、民間が行うことは想定していない。当該プロポーザルは、事務を区分けし発注し、実施機関と第三者との協働で事務を完了することを目的としている。このような事務委託に多額の府税が支払われているからという理由ばかりではなく、建設業法上或いは行政手続法上も適正に執行が為されているのかどうかを知ることは、府民或いは申請者にとっては重要な問題である。何故なら、要件具備している申請書を窓口に提出しているのに、必要のない添付書類の補正指示をされ、受付できないと第三者の職員より主張されたケースがある。それではと、行政手続法第35条に規定する口頭で為された行政指導に対する書面の交付を求めたところ、そのまま受け付けられた例がある(窓口で保留扱いとされ、その後、府担当者の判断で受け取りされた)。補正指示をしたのは、第三者の職員であり、府職員ではない。

  異議申立人は、このような例がある以上、マニュアル等の文書を閲覧し、適正な執行が為されているのかどうかを確認するため、「知る権利」が府民或いは申請者に認められるべきであると強く主張する。併せて、行政手続法は、行政庁の窓口に申請書が到達してから審査の終了に至るまでの過程が透明で公正になされることを求めており、審査事務にかかる基準等を公にすることを義務としている。かかる観点からすると、情報公開請求に対し、一部分でもこれを非公開とすることは同法の趣旨に反することになると言わざるを得ない。もちろん個人情報の保護にかかるもの、審査に著しい支障をきたすおそれがある定性的要素や検査事務などの事項的要素については、この限りではないとしても、本件第三者の情報は該当しないと判断する。

 そもそも、ノウハウ等の事業者権益は、知的財産や著作権と異なり、法律で保護されるべき対象ではなく、第三者に対抗するものがあるのかどうかも判然としないものである。時間的要素によっては、消滅するものであり、他の事業者が同様以上のものを有している可能性もあるものであり、知的資産としては認められても、社会通念として、どうしても守られなければならない権利として認められているものではない。また職員の独立などの事情により容易に他に広がるのも珍しくはないものである。

 

 4  プロポーザル応募要綱と業者決定後の対応について 

 異議申立人は、情報公開請求をする際に、本件プロポーザル募集要項を閲覧したところ、応募事業者に対し「ノウハウ」について秘匿するとしていた。このような募集は通例のことと思われるが、そうだからといって契約後もそれを継続するとは限らない。募集時は秘匿することを前提としたとしても、契約時には行政事務を担うことによる、他の要素も加えてすればよいのである。非開示とした理由の背景には、ノウハウは契約後も公開しないという実施機関の私的契約観によるもので、本来行政事務に関わる組織が負うべき責務についてはないがしろにした事を、そのまま引きずってしまったからではないかと推測する。正当な理由がなければそれは恣意に基づく処分となる。

 契約成立後は、第三者は行政事務を行うのであるから、府が行うのと同様の或いは準じた様々な責務が発生するのである。新たな責務を加えた内容を含む契約(委託)を為すべきではなかったか。その一つとして、委託成立後はノウハウは情報公開の対象となる旨をあらかじめ第三者に通知して募集するべきであったと考える。そうしないと、第三者に行政事務を委託することにより、建設業法や行政手続法が及ばない空白地帯を作り出してしまうことになり、行政の透明性や公正が確保されなくなるのではないか。また住民による行政の監視、建設的な参加という情報公開の理念も損なわれることになる。第三者の競争上の利益を守ることよりも、はるかに守られなければならない公益がここに存すると主張する理由である。

 小泉政権下で推進された市場化テストであるが、民間化を推奨するあまり、情報公開も含めた行政法分野への配慮が欠けた、やや強引・拙速な面もあったように思われてならない。本件の事例に接してみて、行政手続を民間に委託する場合の留意点としてのそれが、やや欠けている面がありはしないかと思われる。民営化する場合の落とし穴のようなものがあるように思われる。

 

5 最後に

 府民或いは申請者は、建設業許可を取得して或いは更新許可を取得して直ちに現場の仕事に取り掛かりたいのである。一日たりとも余裕がないぎりぎりの仕事をしているのが、現実の姿である。手続にともなう煩雑さをできるだけ少なくしたいと考えるから、建設事業者は、申請事務が透明で公正であり、審査基準や申請書の扱いが明確であることを期待している。ある日突然、正当な理由なく、意味不明の補正連絡があったり、受付時間が遅くなったりすることもおかしいと思うし、そのことにともなう不利益に対し、解明もしたいと望む。おかしいと思うことは、確認できる府政であらねばならない。その手立てとなるのが情報公開制度である。その情報公開制度の抵抗勢力となるのが府庁自身であってはならないし、ましてやその理由が、府税を使う民間事業者への委託事業であり、しかもその事業者のノウハウを守るためということであれば、到底納得はいかないであろう。

   

 

第五 実施機関の主張要旨

 実施機関の主張は、概ね次のとおりである。

 

1 建設業許可申請受付等業務委託の概要

(1)業務委託の目的

 建設業許可申請受付等業務委託は、実施機関の所管する建設業許可申請に係る一部の業務を民間業者へアウトソーシングすることにより、府民サービスの向上と業務の効率化を同時に実現することを目的に実施しているものである。

(2)業務委託の内容

 ア 準備のための業務

  準備業務として、業務を円滑かつ適切に遂行するために必要な業務設計、マニュアルの作成、業務実施体制の構築、従業員の教育等を実施する。

 イ 運営のための業務

  建設業法に基づく建設業許可及び経営事項審査並びに建設工事に係る資材の再資源化などに関する法律に基づく解体工事業登録に関する業務のうち、受付窓口における申請書類等の受付、形式的なチェック、疑義内容や不足書類等についての連絡等、事務室内部における申請内容の再確認、各種台帳や管理簿への記帳等について実施する。

(3)業務委託の選定

  委託業者の選定については、プロポーザル方式を採用し、価格面での評価は20%、業務実施に係る企画面での評価は80%と、業務実施の実効性に重点を置いたものとなっている。プロポーザルには第三者を含め7社が参加し、各社は独自のアイデアやノウハウを提案書にまとめ、実施機関はこの提案書に基づき委託先を選定した。

  なお、プロポーザル方式による当該業務の委託は、全国に先駆けた取組みであり、他の都道府県からの問い合わせも多くある。

 

2 本件係争部分について

 本件請求に係る行政文書は、建設業許可申請受付等業務委託に係る仕様書、当該仕様書に基づき第三者が作成し本府に提出するべきマニュアル、業務に関する報告等であり、本件係争部分は次のとおりである。

(1)各種マニュアル(業務マニュアル、運営管理マニュアル、危機管理マニュアル)

   各種マニュアルのうち業務マニュアル及び運営管理マニュアルには、大阪府の概要や建設業許可申請受付等業務に関する一般的な内容のほか、業務の運営体制、職階ごとの業務内容、業務運営や管理のルール等が記載されており、これらは仕様書で示す項目に第三者の独自のアイデアに基づく内容を加えたものとなっている。

  また、危機管理マニュアルについても、管理体制、教育や訓練の方法、災害・情報流出等の具体的な危機への対応方法、事後対応の方法等について詳細に記載されており、第三者の独自のアイデアに基づき検討した内容となっている。

(2)オペレーションマニュアル

   オペレーションマニュアルには、職階ごとの業務内容の詳細等が記載されており、各種マニュアルと同様に、仕様書で示す項目に第三者の独自のアイデアに基づき検討した内容が加えられたものとなっている。

(3)エスカレーション

   エスカレーションには、適法に委託業務を遂行するための実施機関と第三者間の協議や連絡に関する方法、クレームや事故が発生した場合の対応方法等が記載されており、第三者の独自のアイデアに基づく内容となっている。

 (4)情報セキュリティ基本方針(委託業務遂行編、個人情報管理規定、セキュリティ管理規   定)

  情報セキュリティ基本方針には、第三者が受託業務全般を行う上での情報セキュリティの取扱いが詳細に定められており、第三者の情報セキュリティに関するノウハウに係る内容が記載されている。

 (5)社内研修資料(個人情報保護の重要性と日常のセキュリティ対策、ビジネスマナー実践講座)

  社内研修資料には、第三者が受託業務全般を行う上での個人情報の取扱いやビジネスマナーの実践方法等、人材コンサルタントとしての第三者の独自のアイデアやノウハウに係る内容が記載されている。

 

3 本件決定の適法性

(1)条例第8条第1項第1号に該当することについて

 条例においては、その前文にあるように、「府の保有する情報は公開を原則とし、個人のプライバシー情報は最大限に保護しつつ」、「府が自ら進んで情報の公開を推進する」ことを制度運営の基本的姿勢としている。よって、府が契約等の事務事業を通じて事業者から収集したものについても、原則として公開することとしている。

 しかしながら、事業者の適正な活動は、社会の維持存続と発展のために尊重され、また、保護されなければならないという見地から、社会通念に照らし、競争上の地位を害すると認められる情報その他正当な利益を害すると認められる情報は、営業の自由の保障、公正な競争秩序の維持等のため、公開しないこととできるとすることが、条例第8条第1項第1号の趣旨である。

 同号では、ア.法人等に関する情報であって、イ.公にすることにより、当該法人等の競争上の地位を害すると認められるものは公開しないこととできると規定している。「競争上の地位を害すると認められるもの」とは、生産技術上又は営業上のノウハウや取引上、金融上、経営上の秘密等を公開されることにより、公正な競争の原理を侵害すると認められるものをいうと解される。また、法人等の情報が明らかになることによって、当該法人等に具体的な不利益が及ぶことや社会的評価の低下につながるなどの事実が存在し、それが社会通念に照らして競争上の地位を害すると認められる程度のものである必要がある。

  このことについて、本件係争部分に関して見ると、本件行政文書は、建設業許可申請受付等業務に当たり第三者から入手した情報であり、アの要件に該当することは明らかである。また、イの要件にも該当することを次に述べる。

  まず、非公開とした各行政文書は、公開するとした業務実施マニュアルやチェック業務マニュアルなどの府と協議の上作成したマニュアルや日次報告などの業務に関する各種報告とは異なり、その構成から内容まで、第三者が人的・時間的に多くの投資を費やし作成したものである。マニュアルの作成に係る投資は、プロポーザルに際して応札価格に反映されることとなるが、類似業務のプロポーザルへ参加する競合業者が、これらのマニュアルを流用しプロポーザルに参加することとなれば、価格面において、第三者の競争上の優位性が失われることになる。

  次に、建設業許可申請受付等業務のプロポーザルにおいては、企画面として業務の指令・命令や危機管理、個人情報の保護などの評価基準が挙げられており、第三者を含むプロポーザル参加業者はこれらに関してアイデアやノウハウを駆使し提案書を作成し、実施機関へ提出したところである。第三者によって、この提案書の内容をより具体的かつ詳細に作成されたものが、非公開とした各行政文書である。そのため、これらの行政文書を公開した場合、第三者の競合業者が、他の類似業務のプロポーザルへ参加する際に当該行政文書を用いて提案書を作成する可能性が生じる。こうした場合、第三者の競争上の地位が害されることは明らかである。

  なお、類似業務のプロポーザルの具体的な可能性の例として、宅建業免許申請受付等業務が挙げられる。当該業務は、本年9月10日に開催された大阪版市場化テスト監理委員会において民間開放されることが決定したものであるが、この民間開放の判断のための事業提案の募集に対して、第三者等が応募したところである。

 さらに、非公開とした行政文書のうち情報セキュリティ基本方針や社内研修資料については、建設業許可申請受付等業務だけでなく、第三者の業務全般の情報セキュリティやビジネスマナーの実践に関する内容が記載されたものである。人事コンサルタントや人材派遣を業とする第三者にとって、情報セキュリティに関する資料やビジネスマナーに関する教材を公にすることは、競合他社との差別化を図る上で大きな損失となり、第三者の競争上の地位を害するものとなる。

 以上のことから、第三者の競争上の地位を害することなく、公正な競争秩序を維持するため、条例第8条第1項第1号によりこれらの行政文書を非公開とすることとしたものである。

 なお、この非公開の判断に当たっては、より的確な判断を行うため、条例第17条第1項により第三者の意見を聴取したところである。

(2)異議申立人の主張に対して

ア 異議申立人は、第三者が「府行政と一体化・密接不可分の行政事務」を行っている場合は、その事務に関する法人の情報については条例を適用すべきでないと主張する。

  しかしながら、本府が保有する行政文書については、条例に基づき公開するものであり、条例第8条第1項第1号において、公開しないことができる行政文書は、「公開することにより、当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの」と規定されており、法人等の行政への係わり合いの深度により左右されるべきものではなく、社会通念上、競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるか否かをもって判断されるべきものである。なお、本府と第三者が実施する業務については、公開する行政文書にある仕様書及び業務実施マニュアルに示すとおり明確に区分して実施しているところである。

イ 異議申立人は、非公開決定に関して、「競争上の地位や正当な利益を害することについて蓋然性が認められ、いつ、どこで、どのように害される恐れがあるのか、またその被害の態様や程度がどれだけ重要なものであるかを客観的に示し得るものでなければならない。単にそのような恐れが想定されるというだけで、非開示とすることはできない」と主張する。

 実施機関は、部分公開決定通知書において別表のとおり非公開の理由を適法に通知したところである。より具体的な非公開の理由については、上記3(1)のとおり弁明するものである。

ウ 異議申立人は、「申請がどのように取り扱われ、いかように審査されるかの基準や方法」が公開されないと主張する。

  申請者から提出のあった申請書の取扱いについては、公開する業務実施マニュアルに詳細に記載されており、また、審査基準については、本府ホームページに公開されているところである。異議申立人は、公開決定した業務実施マニュアルを未だ受け取っておらず、当該主張は当たらない。

エ 異議申立人は、実施機関が「府民の「知る権利」よりもこれら業者の利益を優先させ」ており、「「利益」が「公益」に勝るとの判断」を行っていると主張する。

  条例前文において知る権利の保障は謳われているところであるが、上記3(1)のとおり、条例第8条第1項第1号に該当すると判断し、条例第11条に規定する公益上特に公開する必要がある情報とは認められないため非公開としたものである。

オ 異議申立人は、異議申立人の主張が全く受け入れられないとしても、「業者の秘匿すべきノウハウやアイデア以外の部分については、侵害する恐れは全くないのだから公開されるべき」、「全部非公開とする理由は見当たらない」としている。

 非公開とした行政文書である各種マニュアルにある本府や建設業許可申請受付等業務に関する一般的な内容等の記述自体は、第三者のノウハウやアイデアと言えないものがあるが、上記3(1)において示したとおり、第三者は、マニュアルの内容だけでなくその構成を含めて作成しているものであり、類似業務のプロポーザルへ参加する競合業者が部分公開されたマニュアルを流用し作成することとなれば、第三者の優位性が失われることになる。

 

4 結論

  以上のとおり、本件請求についての実施機関の決定は、条例に基づき適切に行われたものであり、何ら違法や不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。

 

 

第六 審査会の判断理由

 

1 条例の基本的な考え方について

 行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を促進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。

 このように「知る権利」を保障するという理念の下であっても、一方では、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。

 このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、実施機関は、請求された情報が条例第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除いて、その情報が記録された行政文書を公開しなければならない。

 

2 本件行政文書について

 実施機関の説明などから以下のとおり認められる。

 本件行政文書は、大阪府が公共サービスの質を向上するとともに、効率化を実現する取組みとして「大阪版市場化テスト」の導入を進める中で、全国に先駆けて民間開放を実施することとされた建設業許可申請受付等業務(以下、「本件業務」という。)に関する業務委託仕様書、マニュアル、報告書等の資料である。

  本件決定の詳細は別表のとおりであり、異議申立人は対象文書の全部を非公開とした本件係争部分に係る情報について公開を求めており、その概要は以下のとおりである。

(1)各種マニュアル(業務マニュアル、運営管理マニュアル、危機管理マニュアル)

 ア  業務マニュアル

  大阪府の基本的事項や本件業務に関する一般的な内容、業務の運営体制、職務定義等の本件業務を遂行する上で必要とされる基本事項をまとめたもの    

 イ 運営管理マニュアル

  実施体制に関するルールや業務手順、要員体制等、本件業務を運営する上で必要とされる事項についてまとめたもの

 ウ  危機管理マニュアル

    危機管理・緊急対応業務に関する運用管理ルールやシフト体制、問題発生時の業務手順等をまとめたもの

   なお、本件業務の委託業者は、マニュアル作成についての基本的な考え方及び手順等について評価の上、選定されている。

 (2)オペレーションマニュアル

  オペレータ等、各職階の業務手順や府民からの問い合わせ対応に関するルール、手順等をまとめたもの

 (3)エスカレーションマニュアル

   実施機関と委託業者との役割分担、協議、連絡体制に関する事項、クレーム等への対応方法等についてまとめたもの

(4)情報セキュリティ基本方針(委託業務遂行編、個人情報管理規定、セキュリティ管理   規定)

   個人情報の取扱いについて、個人情報保護法、大阪府個人情報保護条例の趣旨に従い、厳密かつ適正に事務を行うにあたっての取扱い等をまとめたもの

  なお、本件業務の委託業者は、個人情報の保護に対して特に厳しい基準で社内体制の構築を始めとした取り組みを行っているかについて評価の上、選定されている。

(5)社内研修資料(個人情報保護の重要性と日常のセキュリティ対策、ビジネスマナー実践講座)

  委託業者が業務を遂行する能力を要員に習得させるために実施した教育に関する資料

  なお、本件業務の委託業者は、要員教育についての考え方や実施計画、教育内容とその目的、教育体制等について評価の上、選定されている。

 

3 本件決定に係る具体的な判断及びその理由

  本件係争部分の情報について、実施機関は、条例第8条第1項第1号に該当すると主張し、異議申立人は、同号に該当しないと主張しているので、以下に検討する。

(1)条例第8条第1項第1号について

  事業を営む者の適正な活動は、社会の維持存続と発展のために尊重、保護されなければならないという見地から、社会通念に照らし、競争上の地位を害すると認められる情報その他事業を営む者の正当な利益を害すると認められる情報は、営業の自由の保障、公正な競争秩序の維持等のため、公開しないことができるとするのが、条例第8条第1項第1号の趣旨である。

 同号は、

ア 法人(国、地方公共団体、独立行政法人等、地方独立行政法人、地方住宅供給公社、土地開発公社及び地方道路公社その他の公共団体(以下「国等」という。)を除く)その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、

イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの(人の生命、身体若しくは健康に対し危害を及ぼすおそれのある事業活動又は人の生活若しくは財産に対し重大な影響を及ぼす違法な若しくは著しく不当な事業活動に関する情報(以下「例外公開情報」という。)を除く。)に該当する情報が記載されている行政文書を公開しないことができる。

と定めている。

  なお、本号の「競争上の地位を害すると認められるもの」とは、生産技術上又は営業上のノウハウや取引上、金融上、経営上の秘密等公開されることにより、公正な競争の原理に反する結果になると認められるものをいい、「その他正当な利益を害すると認められるもの」とは、公開されることにより、事業を営む者に対する名誉侵害、社会的評価の低下となる情報及び団体の自治に対する不当な干渉となる情報等必ずしも競争の概念でとらえられないものをいうと解されるが、これらの具体的な判断に当たっては、当該情報の内容のみでなく、当該事業を営む者の性格や事業活動における当該情報の位置づけ等も考慮して、総合的に判断すべきものである。

(2)条例第8条第1項第1号該当性について

  本件係争部分は、本件業務を受託した第三者が、委託契約締結後、本件業務を開始する前に委託準備業務の成果物として実施機関に提出し、承認を得ることとされたマニュアル、その他資料であり、(1)アに該当することは明らかである。

  次に、本件係争部分が(1)イに該当するかどうかを検討する。

   実施機関は、本件係争部分に係る情報が、受託事業者を選定する際の評価対象となった提案内容が具体化された情報であり、受託事業者選定時の提案内容は非公開とされていること、また、大阪府において「宅建業免許申請受付等業務」など、当該業務と同種の複数業務においても民間開放を進め、プロポーザルで業者を選定する動きが実際にあることから、類似事業に参加する競合業者が係争部分に係る情報を流用すれば、価格面等において第三者の競争上の優位性が失われるとして、条例第8条第1項第1号に該当すると主張するところである。

   そのため、本件係争部分に係る情報は、プロポーザル方式で選定された第三者が実施機関の業務を担う上で作成した資料ではあるものの、係争部分に記録されている内容に条例第8条第1項第1号に規定されるところの「競争上の地位を害すると認められるもの」が含まれている場合もあることから、営業の自由の保障、公正な競争秩序の維持等のため、公開しないことが認められるものかどうかについて、以下検討する。

  ア 「情報セキュリティ基本方針(個人情報管理規定、セキュリティ管理規定)」を除く本件係争部分について

  本件係争部分のうち、「各種マニュアル」、「オペレーションマニュアル」、「エスカレーションマニュアル」、「情報セキュリティ基本方針(委託業務遂行編)」、「社内研修資料」については、本件事業の契約上、委託準備業務完了時に府へ提出する納入成果物の「業務マニュアル一式」、「本業務に係る教育資料一式」に位置づけられているものである。

   条例の行政文書公開についての基本理念「大阪府が行っている業務に関して府が保有する情報については「知る権利」を保障し、府民の府政参加を促進するとともに府政の公正な運営を確保すること等により府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与する」を踏まえると、本件係争部分のうち「情報セキュリティ基本方針(個人情報管理規定、セキュリティ管理規定)」を除く情報は、第三者がプロポーザル方式で選定され、大阪府と契約し、大阪府に提出されたものであるが、上記対象文書について内容を個別にみたところ、受託事業者を除いては発想することができないような独創的な内容、ノウハウが含まれるとして事業者の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは必ずしも認めがたいところである。

 よって、「情報セキュリティ基本方針(個人情報管理規定、セキュリティ管理規定)」を除く本件係争部分については、受託事業者が実施機関の業務を担っている現状からすると、事業者の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められず、(1)イの要件に該当するとは言えない。

 イ 「情報セキュリティ基本方針(個人情報管理規定、セキュリティ管理規定)」について

    本件係争部分のうち、「情報セキュリティ基本方針(個人情報管理規定、セキュリティ管理規定)」については、実施機関がプロポーザル提案時に、府施策との整合性を確認するために提出を求めた第三者の社内規定であり、これらの内容については、まさに第三者が作成した独自の情報であり、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められることから、(1)イの要件に該当し、条例第8条第1項第1号に該当すると認められる。

 

 4 結論

  以上のとおりであるから、本件異議申立てには理由があり、本件行政文書の全部を非公開とした行政文書のうち「情報セキュリティ基本方針(個人情報管理規定、セキュリティ管理規定)」を除く文書については全て公開すべきであるので、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。

別表 [Wordファイル/77KB]

 

(主に調査審議に関与した委員)

 鈴木秀美、松田聰子、山口孝司、細見三英子

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室情報公開課 情報公開グループ

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