大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第139号)

更新日:2009年8月5日

大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第139号)

〔高等職業技術専門校選考試験関係文書部分公開決定異議申立事案

(答申日 平成19年6月12日)

第一 審査会の結論

実施機関の決定は妥当である。

第二 異議申立ての経過

1 平成18年3月6日、異議申立人は、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、大阪府知事(以下「実施機関」という。)に対し、「大阪府立守口高等職業技術専門校木工科の平成18年4月入校の選考試験(新規中学校卒業者優先を除くいわゆる一般枠に限る。)に係る合否決定のプロセスで使用され、及び作成された文書(判定会議に提出された文書及び校長が合否を決定したことを証する文書等)ただし、それら文書に記載されたすべての事項の公開を請求するものではなく、請求者の公開請求に係る目的等に沿う箇所の公開で足りる。」についての公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 平成18年3月20日、実施機関は、本件請求に対応する行政文書として、別表に掲げる行政文書(以下「本件行政文書」という。)を特定の上、同表に掲げる公開しないことと決定した部分(以下「本件非公開部分」という。)を除いて公開するとの部分公開決定(以下「本件決定」という。)を行い、公開しない理由を次のとおり付して、異議申立人に通知した。

(1)公開しない理由

ア 条例第9条第1号に該当する。

本件行政文書(非公開部分)には、入校選考における受験者の氏名、受験番号、性別、年齢、選考における点数等が記載されており、これらは個人のプライバシーに関する情報であって、特定の個人が識別されうるもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる。

イ 条例第8条第1項第4号に該当する。

本件行政文書(非公開部分)に記録されている面接評価における評価事例や面接票は、高等職業技術専門校の試験等の事務に関する情報であって、公にすることにより、受験者が面接に臨む際に事前に準備をすることが可能となり、受験者との自由な質疑応答等を通じて受講意欲等を面接者が的確に把握するという入校選考の目的を達成できなくなるなど、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる。

3 平成18年5月11日、異議申立人は、本件決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に異議申立てを行った。

第三 異議申立ての趣旨

本件決定を取り消すとの決定を求める。

第四 異議申立人の主張要旨

異議申立人の主張は概ね以下のとおりである。

1 異議申立書における主張

以下のことから本件決定には理由がない。

なお、異議申立人は、行政文書公開請求において「請求者の公開請求に係る目的等に沿う箇所の公開で足りる」としたので、その目的等に沿う箇所の本件決定の不当性について理由を述べ、本件決定の一部(受験者の解答用紙及び受験者の面接票)については異議を申立てない。

(1)「入校選考合否基準(内規)(案−1)」及び「入校選考合否基準(内規)」の「備考(面接評価におけるE:20点評価の事例)」(以下「E評価点の事例」という。)について

【公開をしない理由】には、条例第9条第1号該当及び条例第8条第1項第4号該当が併記されているが、標記事例の非公開の理由は、条例第8条第1項第4号によるものと判断される。

条例第8条第1項第4号に該当するとの記述に続き、「本件行政文書(非公開部分)に記録されている面接評価における評価事例や面接票は、高等職業技術専門校の試験等の事務に関する情報であって、公にすることにより、受験者が面接に臨む際に事前に準備をすることが可能となり、受験者との自由な質疑応答等を通じて受講意欲等を面接者が的確に把握するという入校選考の目的を達成できなくなるなど、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる。」としているが、受験者は面接に臨むにあたって、何らかの準備を行うのが通例であり、公にされている労働省通達(平成9年3月11日付け能発第55号)などから準備をすることが可能であること及び標記事例は一事例にしか過ぎないことから、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすと認めることは、実施機関が一事例を過大に評価し、恣意的に条例第8条第1項第4号に該当するとしたといわざるを得ない。もとより、条例第8条は「公開しないことができる」のであって、「公開してはならない」のではない。つまり、実施機関には、条例第8条第1項第4号の適用にあたっては、条例の府民の「知る権利」の保障と個人の尊厳の確保に資するという理念の下では、該当事項が具体的かつ実質的に当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすことを厳格に明らかにする責務がある。

(2)面接票(案)及び面接票の全部について

標記面接票は、異議申立人が請求した行政文書の公開及び大阪府個人情報保護条例に基づき同日に請求した個人情報の開示の趣旨(評価項目及び評価基準並びに請求者の受験結果の受験者中の相対位置が把握できる情報が開示され、その情報からどの点が合格に及ばなかったのか認識することにより、今後の努力目標とする)の中核の基盤をなす情報である。

標記面接票の非公開の理由は、条例第8条第1項第4号によるものと判断される。

(1)と同様に、標記面接票を過大に評価し、恣意的に条例第8条第1項第4号に該当するとしたといわざるを得ない。とりわけ、異議申立人の行政文書の公開及び個人情報の開示請求の趣旨の中核の基盤をなす情報であることから、実施機関は、条例の府民の「知る権利」の保障と個人の尊厳の確保に資するという理念の下では、条例第8条第1項第4号の適用にあたって、該当事項が具体的かつ実質的に当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすことを(1)にも増してより積極的かつ厳格に明らかにする責務がある。

(3)選考結果一覧(木工科(一般枠に限る))について

標記一覧の非公開の理由は、条例第9条第1号及び条例第8条第1項第4号によるものと判断し、記述する。

本件決定は、以下のことから不当である。

条例第9条第1号に該当するとの記述に続き、「本件行政文書(非公開部分)には、入校選考における受験者の氏名、受験番号、性別、年齢、選考における点数等が記載されており、これらは個人のプライバシーに関する情報であって、特定の個人が識別されるもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる」としているが、標記一覧は、受験者の総合順位により並び替えられていると推定され、「受験番号」、「生徒氏名」、「年齢」、「性別」、「安定所名」、「学歴」、「出身校」、「指示区分」欄を伏せた状態では、特定の個人が識別されず、「国語」、「数学」、「その他」、「合計」欄を公開することに問題が生じる余地はない。

条例第8条第1項第4号に該当するとの記述に続き、「本件行政文書(非公開部分)に記録されている面接評価における評価事例や面接票は、高等職業技術専門校の試験等の事務に関する情報であって、公にすることにより、受験者が面接に臨む際に事前に準備をすることが可能となり、受験者との自由な質疑応答等を通じて受講意欲等を面接者が的確に把握するという入校選考の目的を達成できなくなるなど、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる。」としているが、前述したように標記一覧の「国語」、「数学」、「その他」、「合計」欄は、「受験番号」、「生徒氏名」、「年齢」、「性別」、「安定所名」、「学歴」、「出身校」、「指示区分」欄を伏せた状態では、特定の個人が識別されず、かつ受験者の受験結果でしかなく、「受験者との自由な質疑応答等を通じて受講意欲等を面接者が的確に把握するという入校選考の目的を達成できなくなるなど」ということはない。また、「国語」、「数学」、「その他」、「合計」欄を公開することが、特定の個人が識別されるものでなく、かつ受験者の受験結果でしかないことから「これらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる」ということはない。

2 反論書における主張

(1)条例第9条第1号の該当性について

実施機関は、「国語」、「数学」、「その他」、「合計」の公開が『誰のものであるかを識別されることであり』とする一方で、同時に『知り得るのは受験者本人であるが』としており、個人情報の開示を請求した上で本人しか知り得ない情報が「特定の個人が識別され得るもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる」との要件を満たさない。他人が特定の個人を識別することができない限りにおいて、それらの情報は単に受験結果の一覧であり、条例第9条第1号には該当しない。

もとよりプライバシーの保護は厳格であらねばならないが、条例第9条第1号に該当するとの弁明は、条例前文の「府が保有する情報は、本来は府民のものであり、これを共有することにより、(中略)府は、その諸活動を府民に説明する責務が全うされるようにすることを求められている。」ことを放棄するものである。

 (2)条例第8条第1項第4号の該当性について

ア 「E評価点の事例」及び「面接票」について

実施機関は、「E評価点の事例」及び「面接票」の公開が『評価方法や基準』を公開することと同じであり、今後の面接試験の意義が失われる等としているが、この弁明自体が不当である。面接試験を公正かつ適切に実施しようと考えるならば、これらの情報を公開することにより、面接試験が公正かつ適切に実施されたことが、受験者のみならず府民にも明らかになり、条例前文の「府が保有する情報は、本来は府民のものであり、これを共有することにより、(中略)府は、その諸活動を府民に説明する責務が全うされるようにすることを求められている。」に合致する。

また、反復継続的に実施する入校選考の公正かつ適切な執行に著しい支障をもたらすものになるとしているが、『評価方法や基準』があらかじめ受験者に明らかになることで著しい支障をもたらす面接試験とは一体何であろうか。入校させたい者の資質や意欲を『評価方法や基準』としてあらかじめ明らかにし、それに対して受験者が準備して面接試験に臨むことが、むしろ結果として高等職業技術訓練校の設置の趣旨に適う人材を受け入れることになるのではないだろうか。評価方法や基準、面接得点の算出方法などを秘匿しなければ、面接試験に著しい支障をもたらすとの弁明は、実施機関が面接試験を公正かつ適切に実施していないのではないかとの疑念を抱かせるに十分であり、条例の趣旨に反する。

したがって、「E評価点の事例」及び「面接票」の公開が、条例第8条第1項第4号に該当しない。

イ 「選考結果一覧」について

実施機関は、「選考結果一覧」の公開が、受験者の自己の面接の評価点と自身の面接時の応答内容を比べ合わせることにより、ある程度の面接基準を判断することが可能となり、初めて受験する者と2度目以降の受験者と公平性に欠けるとしているが、『評価方法や基準』があらかじめ受験者に明らかになっていれば、公平性に欠けることはない。また、受験経験の有無に拘らず、高等職業技術訓練校の設置の趣旨等からある程度の面接基準を推定することは不可能ではなく、弁明の根拠は極めて脆弱である。

したがって、「選考結果一覧」の公開が、条例第8条第1項第4号に該当しない。

第五 実施機関の主張要旨

実施機関の主張は概ね以下のとおりである。

1 高等職業技術専門校について

高等職業技術専門校は、職業能力開発促進法第15条の6第1項に基づき、労働者が段階的かつ体系的に職業に必要な技能及びこれに関する知識を習得することができるよう職業訓練を行う公共職業能力開発施設として大阪府が設置した施設である。本件請求の対象となっている守口校をはじめ、東淀川校、芦原校、東大阪校、夕陽丘校、南大阪校の6校の高等職業技術専門校を設置している。

職業訓練は、労働者に対し、職業に必要な技能及びこれに関する知識を習得させることによって、労働者としての能力を開発し、向上させるために行う訓練である。

大阪府立守口高等職業技術専門校では、本件請求の対象となっている木工科をはじめ、建築設計製図科、測量・不動産実務科、インテリアリフォーム科、住環境設備科、建築科の6科の職業訓練を実施している。

2 高等職業技術専門校の入校選考について

平成18年4月入校生の入校選考は、選考日が2月23日であるA日程募集、選考日が3月22日であるB日程募集(募集科目において、それぞれの合格者の合計が募集定員に満たない場合は、選考日が4月6日である追加募集を実施し、更に欠員がある場合は、第2次追加募集(4月26日選考、4月28日入校)を実施)について、6校の大阪府立高等職業技術専門校において同一の選考日で実施した。

入校選考は、毎年度実施されており、仮に不合格になった場合も次回の募集があれば、再度、受験することが可能である。

守口高等職業技術専門校の木工科の定員は、30名であり、うち10名を新規中学校卒業者の優先として、A日程募集のみで入校選考を行った。

入校選考は、国語と数学の学科試験と面接試験により実施している。

なお、選考結果については、受験者本人から開示の申し出があれば、学科試験の国語及び数学の点数について開示を行っている。また、学科試験の試験問題及び模範解答(配点も含む)については、入校日の2か月後に公表することとしている。

3 本件行政文書について

(1)公共職業訓練を受講する者の選考について(平成9年3月11日付け能発第55号 労働省職業能力開発局長通達)

本件行政文書は、公共職業訓練を受講する者の要件とその選考についての国の通知である。

当該行政文書は、すべて公開した。

(2)入校選考合否基準について(伺い)(平成18年2月16日起案)

本件行政文書は、入校選考の合否基準を定めるための決裁文書である。伺い文、「入校選考合否基準(内規)」、「繰上合格及び割り増し合格の取り扱い(内規)」、「繰上合格の取扱いについて」から成る。

当該文書のうち、非公開とした部分は、「入校選考合否基準(内規)」のうち「E評価点の事例」の部分である。

(3)平成18年度入校選考における面接試験について(伺い)(平成18年2月20日起案)

本件行政文書は、入校選考の面接試験で使用する面接票を定めるための決裁文書である。伺い文と「面接票」から成る。

当該文書のうち、非公開とした部分は「面接票」である。

(4)平成18年度生入校選考(A日程)における合格者の決定について(伺い)(平成18年2月24日起案)

本件行政文書は、学科試験と面接試験の結果を基に、合格者を決定する決裁文書である。伺い文と「選考結果一覧」から成る。

「選考結果一覧」の表頭の項目名称及びその内容の概要は次のとおりである。

郵送……合否結果について、郵送を希望するかどうかを示す。

受験番号、生徒氏名、年齢、性別……受験者の受験番号、氏名、年齢、性別を示す。

安定所名……受験者の入校願書を公共職業安定所で受け付けている場合、その公共職業安定所名を示す。

学歴、出身校……受験者の最終学歴とその出身校を示す。

募集区分……募集日程の区分(A日程募集、B日程募集、追加募集、第2次追加募集)、又は新規中学校卒業者枠への応募かを示す。

指示区分……公共職業安定所長の受講指示予定者である場合、その適用条項をコードで示す。

国語、数学……国語及び数学の学科試験の得点を示す。なお、それぞれ100点満点である。

その他……面接試験の得点を示す。200点満点である。

合計……国語及び数学の学科試験と、面接試験の得点の合計点を示す。

面接結果……面接結果を入力する欄であるが、守口高等職業技術専門校では面接試験の得点は「その他」欄を使用しているため、使用していない。

合否……合否の結果を示す。

繰上順位……不合格となった人から繰上合格候補者を定め、入校辞退者が生じた場合に繰上合格者を決定している。繰上合格候補者である場合、その繰上げ順位を示す。

転科……使用していない。すべて「1」としている。

備考……使用していない。

なお、表外の先頭列に行順の番号を付している。(表頭の項目名称にはないが、一般に「番号」と表現している項目。)

当該文書のうち、非公開とした部分は、「選考結果一覧」のうち「受験番号」、「生徒氏名」、「年齢」、「性別」、「安定所名」、「学歴」、「出身校」、「指示区分」、「国語」、「数学」、「その他」、「合計」の各欄である。

なお、異議申立人は、このうち「受験番号」、「生徒氏名」、「年齢」、「性別」、「安定所名」、「学歴」、「出身校」、「指示区分」については、特に公開を求めていない。

(5)平成18年度生入校選考(A日程)木工科(一般枠に限る)における受験者の解答用紙

本件行政文書は、学科試験で使用された受験者の解答用紙である。

当該文書は、非公開とした。

なお、非公開についての異議申立ては出されていない。

(6)平成18年度生入校選考(A日程)木工科(一般枠に限る)における受験者の面接票

本件行政文書は、面接試験において面接官が使用した面接票である。

当該文書は、非公開とした。

なお、非公開についての異議申立ては出されていない。

4 本件決定の適法性について

(1)条例第9条第1号について

条例は、その前文で、府の保有する情報は公開を原則としつつ、併せて、個人のプライバシーに関する情報は最大限に保護する旨を宣言している。また、第5条において、個人のプライバシーに関する情報をみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならない旨規定している。

本号は、このような趣旨を受けて、個人のプライバシーに関する情報の公開禁止について定めたものである。

同号は、

ア 個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報であって、

イ 特定の個人が識別され得るもののうち、

ウ 一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる

情報が記載された行政文書を公開してはならないと定めている。

(2)条例第9条第1号に該当することについて

本件行政文書のうち、条例第9条第1号に該当するため非公開としたのは、本件非公開部分のうち、別表の4(2)の選考結果一覧のうち、「受験番号」、「生徒氏名」、「年齢」、「性別」、「安定所名」、「学歴」、「出身校」、「指示区分」、「国語」、「数学」、「その他」、「合計」の各欄、5の受験者の解答用紙及び6の受験者の面接票である。

異議申立人は、本件非公開部分のうち「国語」、「数学」、「その他」、「合計」欄の公開を求めている。

ア 上記(1)のア及びウに該当することについて

「選考結果一覧」の「国語」、「数学」、「その他」、「合計」欄は、平成18年4月入校の選考に係る個人別の学科試験及び面接試験の評価点及びその合計点を記録したものであり、個人の能力や評価に係る具体的な情報であって、個人のプライバシーに関する情報の中でも、とりわけ機微にわたる情報であることから、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められ、上記(1)のア及びウに該当することは明らかである。

イ 上記(1)のイに該当することについて

入校選考においては、これまでより希望する受験者本人に対しては、「国語」及び「数学」の評価点を情報提供することとしており、「国語」、「数学」、「その他」、「合計」欄が一列に並べられていれば、同一人物の評価結果であることは推測される。仮にランダムに並べられているとしても、「国語」及び「数学」の評価点を認識している者は、どの列の「その他」及び「合計」が自分の評価点であるかを推測することは容易なことである。このことは、公開した情報が誰のものであるかを識別されることであり、上記(1)のイに該当することは明らかである。なお、「国語」及び「数学」が同一評価点の者は事例としてないことはないが、それ以上に一例でも推測されることは、本条例が厳格に求める個人のプライバシーの保護という基本原則から照らして、認められるものではない。

また、知り得るのは受験者本人であるが、あくまでも、実施機関としては、「一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるものをみだりに公開することのないよう最大限の配慮をしなければならない。」という情報公開の基本原則を尊重し、大阪府立高等職業技術専門校の入校選考試験における個人の「面接評価点」という極めてプライバシー性の高い情報を公開することはできない。

以上のことから、「選考結果一覧」における「国語」、「数学」、「その他」、「合計」の各欄については、条例第9条第1号に該当するものであり、公開することができない。

(3)条例第8条第1項第4号について

行政が行う事務事業に係る情報の中には、当該事務事業の性質、目的等からみて、執行前あるいは執行過程で公開することにより、当該事務事業の実施の目的を失い、又は、その公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼし、ひいては、府民全体の利益を損なうおそれのあるものがある。また、反復継続的な事務事業に関する情報の中には、当該事務事業実施後であっても、これを公開することにより同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるものがある。このような支障を防止するため、これらの情報については、公開しないことができるとするのが、本号の趣旨である。

同号は、

ア 府の機関又は国等の機関が行う取締り、監督、立入検査、許可、認可、試験、入札、契約、交渉、渉外、争訟、調査研究、人事管理、企業経営等の事務に関する情報であって、

イ 公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの

が記録された行政文書を公開しないことができる旨定めている。

(4)条例第8条第1項第4号に該当することについて

条例第8条第1項第4号に該当するため非公開としたのは、本件非公開部分のうち、別表の2(2)及び(5)のE評価点の事例及び3(2)及び(3)の面接票、4(2)の「選考結果一覧」のうち「受験番号」、「生徒氏名」、「年齢」、「性別」、「安定所名」、「学歴」、「出身校」、「指示区分」、「国語」、「数学」、「その他」、「合計」の各欄である。

本件行政文書に係る事務事業は、大阪府が行う高等職業技術専門校の入校選考に係るものであることから、上記(3)のアに該当することは明らかである。

以下、上記(3)のイに該当することについて弁明する。

ア 「E評価点の事例」について

「E評価点の事例」については、以下に述べる理由から、これを公開すれば入校選考の公正かつ適切な執行に著しい支障をきたすものである。

まず第1に、E評価点は、「入校選考基準(内規)」に定めてあるとおり、面接評価時の最低点であるが、「E評価点の事例」にはその事例を具体的に列挙している。

このような情報を公開すると、入校選考における評価方法が受験者の知り得るところとなり、誰もが、面接官の質問に対し、E評価に陥らない回答を用意することが可能となり、入校選考を適切に執行することが困難となってしまう。

第2に、異議申立人は、本件非公開部分における「E評価点の事例」は、一つの事例に過ぎないと主張するが、面接試験に関しては、労働省(現厚生労働省)職業能力開発局より出されている平成9年3月11日付け局長通達「公共職業訓練を受講する者の選考について」(以下「局長通達」という。)など限られたものにより選考基準を作成していることから、毎年同じような基準とならざるを得ないものがある。そのため、本件非公開部分における「E評価点の事例」と同様の基準が、今後、実施される面接試験においても用いられることは十分に考えられるところであり、このような情報を公にすることは、入校選考における評価方法や基準を公開するのと同じであり、今後の入校選考における面接試験の意義が失われてしまうこととなる。

したがって、「E評価点の事例」については、入校選考の公正かつ適正な執行に著しい支障をきたすことから、条例第8条第1項第4号に該当するものである。

   イ 「面接票」について

     次に「面接票」については、以下に述べる理由から、これを公開すれば入校選考の公正かつ適切な執行に著しい支障をきたすものである。

「面接票」は、先の局長通達並びに本校の「入校選考基準(内規)」をより具体的に質問項目として整理したものである。このため、同一科における面接項目は、切り口に多少の変更はあるものの、必然的に毎年同じような内容の項目とならざるを得ない。

また、具体の面接項目や評価方法などを記載しているという点で、「E評価点の事例」以上に選考試験における評価方法を具体的に表したものといえる。

したがって、これを公開すると、評価方法や基準、面接得点の算出方法などが察知されることになり、今後反復継続的に実施する入校選考の公正かつ適切な執行に著しい支障をもたらすものとなることから、「面接票」については、条例第8条第1項第4号に該当するものである。

ウ 「選考結果一覧」について

「選考結果一覧」のうち「受験番号」、「生徒氏名」、「年齢」、「性別」、「安定所名」、「学歴」、「出身校」、「指示区分」、「国語」、「数学」、「その他」、「合計」の各欄については、先に記載したとおり条例第9条第1号に該当するとともに、条例第8条第1項第4号にも該当する。

先に記載のとおり、ここでは「国語」、「数学」、「その他」、「合計」欄を非公開とすることについて弁明する。

「選考結果一覧」の「その他」は面接評価点であるが、「選考結果一覧」の「国語」、「数学」、「その他」、「合計」欄を公開することで、受験者が「その他」を認識することができることについては、先に記載したとおりである。

「選考結果一覧」の「国語」、「数学」、「その他」、「合計」については、以下に述べる理由から、これを公開すれば入校選考の公正かつ適切な執行に著しい支障をきたすものである。

情報提供により受験者が知り得た自己の面接の評価点と自身の面接時の応答内容とを比べ合わせることにより、ある程度の面接基準を判断することが可能となる。これでは初めて受験する者と2度目以降の受験者に明らかな差が生じることとなり、公平な面接試験を実施できなくなる。

面接試験は、学科試験では推し量れない「就職意欲」や「訓練意欲」等を評価する重要な試験であり、その評価は、学科試験の「国語」と「数学」の合計点に等しいものとなっている。その面接試験において、公平性が欠けるようなことがあれば、本件事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすことはいうまでもないことである。

以上のとおり、「選考結果一覧」のうち「国語」、「数学」、「その他」、「合計」の各欄については、これを公開すると、入校選考の公正かつ適正な執行に著しい支障が生じることとなり、条例第8条第1項第4号に該当するものである。

5 結論

以上のとおり、本件決定は、条例の規定に基づき適正に行われたものであり、何ら違法又は不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。

第六 審査会の判断理由

1 条例の基本的な考え方について

行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。

このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、一方では、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。

このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、実施機関は、請求された情報が条例第2条第1項に規定する行政文書に記録されている場合には、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除いて、その情報が記録された行政文書を公開しなければならない。

2 高等職業技術専門校及びその入試選考について

(1)高等職業技術専門校について

都道府県は、労働者が段階的かつ体系的に職業に必要な技能及びこれに関する知識を習得することができるように、職業能力開発校を設置して、職業訓練を行う(職業能力開発促進法第15条の6第1項及び第16条第1項)こととされている。

大阪府においては、職業に必要な基礎的な技能や知識を習得させる普通職業訓練を行う公共職業能力開発施設として、本件請求の対象となっている大阪府立守口高等職業技術専門校(以下「守口校」という。)をはじめ、東淀川校、芦原校、東大阪校、夕陽丘校、南大阪校の合計6校の高等職業技術専門校が設置されている。守口校では、本件請求の対象となっている木工科をはじめ、建築設計製図科、測量・不動産実務科、インテリアリフォーム科、住環境設備科、建築科の6科目の訓練科目を設定し、1年の訓練期間で職業訓練を実施している。

(2)高等職業技術専門校の入校選考について

高等職業技術専門校の入校選考は、毎年度、実施機関において募集要項を策定し実施されている。入校選考は、A日程及びB日程の募集枠を設定し、6校の高等職業技術専門校とも同一の選考日で実施しているところである。両日程の選考後、募集定員に満たない募集科目については、さらに選考日を増やして追加募集を行っている。

本件請求の対象となっている平成18年4月入校の守口校の木工科の入校選考については、A日程募集のみで平成18年2月23日に選考が実施されたところである。木工科の募集人員は、30名であるが、このうち10名について新規中学校卒業者を対象とした優先枠が設けられている。    

入校選考は、国語と数学の学科試験と面接試験により実施されており、学科試験200点及び面接試験200点の合計400点満点で合否が判定される。

なお、選考結果については、受験者本人から開示の申し出があれば、国語及び数学の点数について開示されている。また、学科試験の試験問題及び模範解答(配点も含む)については、入校日の2か月後に公表されている。

3 本件行政文書について

本件行政文書は、守口校の平成18年度入校選考に係る合否基準や合否決定、面接票等の文書であり、以下の文書で構成される。

(1)「公共職業訓練を受講する者の選考について」(平成9年3月11日付け能発第55号 労働省職業能力開発局長通達)(以下「局長通達」という。)

労働省から各都道府県知事及び関係団体にあてた通知文で、公共職業訓練を受講する訓練生の要件とその選考にあたっての留意点が記載されている。

(2)「入校選考合否基準について(伺い)」(平成18年2月16日起案)

平成18年度の入校選考の合否基準を定めるための決裁文書であり、伺い文、「入校選考合否基準(内規)」、「繰上合格および割り増し合格の取り扱い(内規)」、「繰上合格の取扱いについて」から構成されている。

「入校選考合否基準(内規)」には、合否決定基準及び面接実施方法が記載されている。面接実施方法には、面接においてAからEの5段階の評価を行うことについて、評価の点数や評価基準が示されている。また、「E評価点の事例」の部分には、面接評価における5段階の評価のうち、E評価点の事例が具体的に記載されている。

(3)「平成18年度入校選考における面接試験について(伺い)」(平成18年2月20日起案)

平成18年度の入校選考の面接試験で使用する面接票の様式を定めるための決裁文書であり、伺い文、各科別の面接票(案)及び面接票から構成されている。面接票(案)及び面接票は、入校選考の面接試験において使用する様式であり、具体的な質問項目や想定される受験者の応答などがあらかじめ印刷されている。

(4)「平成18年度生入校選考(A日程)における合格者の決定について(伺い)」(平成18年2月24日起案)

学科試験と面接試験の結果を基に合格者を決定する決裁文書であり、伺い文と平成18年度木工科の「選考結果一覧」から構成されている。

「選考結果一覧」は合計点の高いものから順に記載された一覧表であり、左欄外に付された一連番号に続いて、「郵送」(合否結果について郵送希望の有無を記載)、「受験番号」、「生徒氏名」、「年齢」、「性別」、「安定所名」(受験者の入校願書を公共職業安定所で受け付けている場合、その公共職業安定所名を記載)、「学歴」、「出身校」、「募集区分」(募集日程の区分又は新規中学校卒業者枠への応募かを記載)、「指示区分」(公共職業安定所長の受講指示予定者である場合、その適用条項をコードで記載)、「国語」(学科試験の得点)、「数学」(学科試験の得点)、「その他」(面接試験の得点)、「合計」(国語及び数学の学科試験と面接試験の得点の合計)、面接結果(面接結果を記載するが、守口校では面接試験の得点を「その他」欄に記入しているため、使用していない」、「合否」、「繰上順位」、「転科」(使用しておらず、すべて「1」と記載)、「備考」(使用していない)の各欄が設けられている。

(5)平成18年度生入校選考(A日程)木工科(一般枠に限る)における受験者の解答用紙

国語及び数学の学科試験で使用された受験者の解答用紙である。

(6)平成18年度生入校選考(A日程)木工科(一般枠に限る)における受験者の面接票

面接試験において面接官が使用した記入済の面接票である。

面接票は面接試験で使用した受験者別の個票であり、質問項目や受験者の応答、評価等が記載されている。

以上のうち、本件決定における非公開部分は、(2)のうち「入校選考合否基準(内規)」の「E評価点の事例」の部分、(3)のうち面接票(案)及び面接票、(4)のうち「選考結果一覧」の「受験番号」、「生徒氏名」、「年齢」、「性別」、「安定所名」、「学歴」、「出身校」、「指示区分」、「国語」、「数学」、「その他」及び「合計」の各欄並びに(5)及び(6)の全部である。異議申立人は、異議申立書においては、本件決定全体の取消を求めているようにも考えられるが、反論書の内容によれば、異議申立人が公開を求めているのは、(2)、(3)及び(4)の非公開部分のみであり、以下においては、これら部分の非公開の適否について判断することとする。

 4 本件決定に係る具体的判断及びその理由について

(1)「E評価点の事例」並びに面接票(案)及び面接票(様式)についての判断

本項の非公開部分に記録されている情報について、実施機関は、条例第8条第1項第4号に該当すると主張しているので、検討する。

ア 条例第8条第1項第4号について

行政が行う事務事業に関する情報の中には、当該事務事業の性質、目的等からみて、執行前あるいは執行過程で公開することにより、当該事務事業の実施の目的を失い、又はその公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼし、ひいては、府民全体の利益を損なうおそれのあるものがある。また、反復継続的な事務事業に関する情報の中には、当該事務事業実施後であっても、公開することにより同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるものもある。

このような支障を防止するため、これらの情報は公開しないことができるとするのが本号の趣旨である。

同号は、

(ア)府の機関又は国等の機関が行う取締り、監督、立入検査、許可、認可、試験、入札、契約、交渉、渉外、争訟、調査研究、人事管理、企業経営等の事務に関する情報であって、

(イ)公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの

が記録された行政文書を公開しないことができる旨定めている。

イ 条例第8条第1項第4号該当性について

本件行政文書は、守口校の入校選考を行うにあたり作成された文書であることから、本項の非公開部分に記録された情報がア(ア)の要件に該当することは明らかである。

次に、本項の非公開部分に記録された情報がア(イ)の要件に該当するか否かを検討したところ、次のとおりである。

本項の非公開部分のうち「E評価点の事例」には、面接評価において、どのような場合にE(20点評価)にするかが具体的な事例で記載されており、また、面接票(案)及び面接票には、面接者が行う質問の項目と想定している受験者の応答が具体的に記載されているほか、「E評価点の事例」と同じ情報も記載されている。いずれも、局長通達をもとに策定した入校選考基準(内規)の内容を具体化したものであり、その内容は、毎年、類似したものになることが想定される。

このような事情のもとで、本項の非公開部分を公開し、あらかじめ一部の受験者が知ることとなると、当該受験者が、E評価となる事項への言及を避けたり、個々の質問項目に応じた模範的な回答をあらかじめ用意するようなことが予想され、実施機関が、今後とも行う入校選考において、短時間の面接試験で、受験者の就職意欲や訓練受講意欲を適切に判断し公共の職業訓練施設としての設置目的に最も合致した受験者を選考することが困難となるとなるだけでなく、受験者間の公平性を欠くことともなって、当該選考の目的を達成することができなくなるおそれがあり、本項の非公開部分に記録された情報は、ア(イ)の要件にも該当する。

以上のことから、本項の非公開部分は、条例第8条第1項第4号の規定により公開しないことができると認められる。

(2)「選考結果一覧」の非公開部分についての判断

本項の非公開部分に記録されている情報について、実施機関は、条例第9条第1号及び第8条第1項第4号に該当すると主張しているが、まず、条例第9条第1号該当性を検討し、なお必要があれば、条例第8条第1項第4号該当性について検討することとする。

ア 条例第9条第1号について

条例は、その前文で、府の保有する情報は公開を原則としつつ、個人のプライバシーに関する情報は最大限に保護する旨宣言している。また、第5条において、個人のプライバシーに関する情報をみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならない旨規定している。

このような趣旨を受けて、個人のプライバシーに関する情報の公開禁止について定めたのが条例第9条第1号である。

同号は、

(ア)個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報であって、 

(イ)特定の個人が識別され得るもののうち、

(ウ)一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる

情報が記録された行政文書については公開してはならないと定めている。

また、「一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるもの」とは、社会通念上、他人に知られることを望まないものをいうと解される。

イ 条例第9条第1号該当性について

本項の非公開部分には、平成18年4月入校の守口校の木工科の受験者の氏名、住所等の情報や受験者の試験の得点等の情報が記載されており、これらの情報は、個人の試験結果であることから、ア(ア)の要件に該当することは明らかである。

次に、これらの情報がア(イ)及び(ウ)の要件に該当するか否かについて、条例第10条第1項の規定に基づく部分公開を行うべきか否かを含めて検討する。

本項の非公開部分のうち、「生徒氏名」については、特定の個人が平成18年度に守口校の木工科を受験したことが明らかとなる情報であり、ア(イ)及び(ウ)の要件に該当することは明らかである。

また、「受験番号」、「年齢」、「性別」、「安定所名」、「学歴」、「出身校」、「指示区分」については、当該個人と関係のない一般人を基準とすれば、特定の個人を識別することは困難ではあるが、受験番号が近い他の受験者や当該個人の年齢等を知る関係者にとっては、本件決定において公開された「合否」欄等の情報と照らし合わせることにより、特定の個人の本件選考における合否等が明らかとなり得る情報であり、ア(イ)及び(ウ)の要件に該当する。

次に、「国語」、「数学」、「その他」、「合計」の各欄に記録されている情報について検討するに、「選考結果一覧」は、選考の結果を成績の上位のものから順に記載したものであり、当該個人と関係のない一般人を基準とすれば、これらの情報のみで、特定の個人を識別することは困難である。しかしながら、平成18年度の守口校の木工科の選考では、繰上候補となった者が4名いるほか、他科においては、受験者又は不合格者が2名以下の例があり、これらの者については、当該科の他の受験者により個人が識別されるおそれがあり、また、年齢や性別、学歴、職業安定所の利用状況、試験の結果といった情報は、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる情報であることから、ア(イ)及び(ウ)の要件に該当する。

以上のことから、本項の非公開部分は、条例第9条第1号に該当し、公開してはならないと認められ、条例第8条第1項第4号該当性については、判断するまでもない。

5 結論

以上のとおりであるから、本件異議申立てには理由がなく、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。

(主に調査審議を行った委員の氏名)

   岡村周一、福井逸治、松田聰子、岩本洋子

別表

 行政文書の名称

公開しないことと決定した部分

平成9年3月11日付け能発第55号「公共職業訓練を受講する者の選考について」

平成18年2月16日起案

入校選考合否基準について(伺い)

(1)

伺い

(2)

入校選考合否基準(内規)

(案−1)

備考(面接評価におけるE:20点評価の事例)

(3)

繰上合格および割り増し合格の取り扱い(内規)(案−2)

(4)

繰上合格の取扱いについて

(5)

入校選考合否基準(内規)

備考(面接評価におけるE:20点評価の事例)

(6)

繰上合格および割り増し合格の取り扱い(内規)

平成18年2月20日起案

平成18年度入校選考における面接試験について(伺い)

(1)

伺い

(2)

面接票(案)

全部

(3)

面接票

全部

平成18年2月24日起案

平成18年度生 入校選考(A日程)における合格者の決定について(伺い)

(1)

伺い

(2)

選考結果一覧

(木工科(一般枠に限る))

選考結果一覧のうち「受験番号」、「生徒氏名」、「年齢」、「性別」、「安定所名」、「学歴」、「出身校」、「指示区分」、「国語」、「数学」、「その他」、「合計」の各欄

平成18年度生 入校選考(A日程)木工科(一般枠に限る)における受験者の解答用紙

全部

平成18年度生 入校選考(A日程)木工科(一般枠に限る)における受験者の面接票

全部

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室情報公開課 情報公開グループ

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