誰の責任?「不公平なイスとりゲーム」から考えよう(めやす90分)
動き(プログラムの流れ) | ポイント |
(40分) | • 起こったできごとは模造紙の全体を使って書くように伝えること。 |
● グループの発表の中から出てきた意見を、簡潔にホワイトボードに書きとめる。 ★次に、Aチームのグループも発表してもらいます。実は、このゲームにはBチームの人にはまだ知らされていない秘密のルールがあります。 ●先ほどと同様に、グループの中から出てきた意見をホワイトボードに書きとめる。 ★他のチームの人の発表を聞いてどう感じましたか? 不利なBチームの人はいろいろな「努力」をしても座れなくなっていき、Aチームの人は有利な条件の下で「余裕」をもって競争に参加していたといえますね。 ● ワークシート1を1人1枚配付する。 ★ではまず、「イス」について考えてもらいます。ワークシート1に従って、「イス」が社会で何を象徴しているかを各グループで5分程度話し合ってください。 ● 各グループの意見を発表してもらう。 ★「イス」が仕事や雇用を象徴していると考えてみると、A専用のイスはあるレベル以上の技術や知識をもっていないと就けない仕事と考えることができます。イスが減るごとに、全体のイスの中に占めるA専用席の割合が大きくなるようにしました。これは経済がグローバル化した中で、国内の製造業が生産拠点を人件費の安い海外に移転していることを示しました。 ● ワークシート2を1人1枚配付する。 ★次に「社会におけるチーム分け」について考えてもらいます。まず、社会ではどんな人たちが「不利なBチーム」に入ると思いますか? 5分程度話し合ってください。 | • Bチームの発表について書きとめる際に、項目として「座れるイスと座れないイス」「再チャレンジの機会」を書き、そのときの参加者の気持ちも書き込んでいく。 • Aチームの発表の際に、「情報」の項目を付け加える。 • 他のチームの意見について感じたことを何人かにインタビューするとよい。 •「イス」についてさまざまな意見が出るが、どの意見も尊重すること。 |
● 各グループの意見を発表してもらい、ホワイトボードに書きとめる。 ★わたしたちの社会には実際に様々な要因で不利なチームに入らざるを得ない人たちがいます。2008年(平成20年)に起きた世界金融危機以後、日本では多くの非正規労働者が解雇される「派遣切り」がなされました。 イスが一度に減ってしまい、多数の製造業の派遣労働者等が仕事を失い、そして住むところさえなくしてしまった人もいました。 ワークシート2の自己責任VS社会責任の上の表のカッコに「非正規労働者」と書いて、その人たちが不利なチームに入った「自己責任」の部分と「社会の責任」の点を出し合って書いてください。 ● 各グループの意見を発表してもらい、ホワイトボードに書きとめる。 ● 資料1・2を1人1枚配付し、しばらく個人で読んでもらう。 | • 出てきた項目について、不利な点について簡単なコメントをすることが望ましい。 • グループで話し合っている際に当事者が自分の思いを話しているときは話が一段落するのを待ち、具体的な事例については次のワークで話し合うことを伝える。 |
★資料から読みとれることは、労働者全体に占める非正規雇用者の割合が増加傾向にあり、特に若者と女性に顕著(けんちょ)であることです。2009年(平成21年)は「派遣切り」により失業率が増加し、非正規雇用の仕事にさえ就けなくなっていることです。 体験したイスとりゲームについて思い出してください。不利なチームに入った人は、有利なチームに入った人以上に考えて行動しようとしても「ゲームの仕組み」でイスに座ることができなくなりました。「社会の責任」を問題視せずに「努力が足りないからだ」と「自己責任」だけを当事者に押し付けていては、誰もが安心して暮らしていける社会にはならないのではないでしょうか。 ● ワークシート2の下の表を空白にしておくので他の不利なチームに入る人たちについても各自で考えていってほしいと伝える。 | • 1986年(昭和61年)に成立した労働者派遣法は対象を当初の16業務から2004年(平成16年)には製造業にまで拡げられたことを背景として押さえておくこと。 |
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府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ
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