人権学習シリーズ 同じをこえて その「ちがい」は何のため? 女性専用車両で考える特別な措置/解説資料1から7

更新日:2016年2月12日

解説資料

1.教材作成にあたっての視点

【教材作成の視点として作成した座標軸の図】BとEは「背景に差別の実態は無い」「不必要」の座標に位置し、1つの丸でくくられている。CとE、AとFは「背景に差別の実態がある」「不必要」の座標に位置し、それぞれ1つの丸でくくられている。AとFはCとDより、より「背景に差別の実態がある」「必要」な位置に置かれている。

●第1グループは、BとE
 企業収益のための集客サービスグループ

●第2グループは、CとD
 格差是正のための特別措置グループ

●第3グループは、A・F
 痴漢等の性犯罪防止グループ

※教材作成の視点として、上記の座標軸を作成しました。
ファシリテーターの考え方によって、座標軸のAからFのカードの位置は修正して活用してください。
第1グループ、第2グループ、第3グループのそれぞれの特徴を整理し、その特別な措置が生じた背景を考えてください。

2.映画館の経営戦略 −集客を目的とした様々なサービスとレディース・デイ−

ある映画館の集客サービス
●毎月1日(ファーストデイ)/1000円
●毎月第3火曜日(○○○シネマの日)/1000円
●毎週水曜日(レディースデイ)/1000円
●毎週金曜日(メンズデイ)/1000円
●いつでも夫婦で50才以上なら/2000円
●高校生友情プライス3人/1000円
●大学生友情プライス3人/1000円

3.「経済的に困難な状況にある女性」とは −母子家庭の収入の実態−

【母子父子家庭と全世帯の平均収入の比較のグラフ】一般世帯より、父子世帯・母子世帯の平均収入が低くなっている。

一般家庭/563万
父子家庭/421万
母子家庭 平均収入/213万
 
資料:厚生労働省「2006(平成18)年度全国母子世帯等調査」

4.国際的にみても低い水準にある日本における女性の社会的地位 「男女共同参画白書」2009(平成21)年版

2008(平成20)年に国連開発計画(UNDP)が発表した「人間開発報告書」によると,日本は人間開発指数(HDI)が測定可能な179か国中8位であるのに対し,ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)は測定可能な108か国中58位となっている。また,世界経済フォーラムが2008(平成20)年に発表したジェンダー・ギャップ指数(GGI)は測定可能な130か国中98位となっている。

(1)HDI 人間開発指数(Human Development Index)
国連開発計画(UNDP)による指標で,「長寿を全うできる健康的な生活」,「教育」及び「人間らしい生活水準」という人間開発の3つの側面を簡略化したもの。具体的には,平均寿命,教育水準(成人識字率と就学率),調整済み一人当たり国民所得を用いて算出している。
 
(2)GEM ジェンダー・エンパワーメント指数(Gender Empowerment Measure)

国連開発計画(UNDP)による指標で,女性が政治及び経済活動に参加し,意思決定に参加できるかどうかを測るもの。HDIが人間開発の達成度に焦点を当てているのに対して,GEMは,能力を活用する機会に焦点を当てている。具体的には,国会議員に占める女性割合,専門職・技術職に占める女性割合,管理職に占める女性割合,男女の推定所得を用いて算出している。
 
(3)GGI ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index)
世界経済フォーラムが,各国内の男女間の格差を数値化しランク付けしたもので,経済分野,教育分野,政治分野及び保健分野のデータから算出され,0が完全不平等,1が完全平等を意味している。GEMが,国の開発レベルの影響を受け,必ずしも男女間格差を示せないことに比べ,性別による格差を明らかにできる。

5.大阪府立大学 学生対象の調査より −チカン被害の不安解消に、9割の女子学生は対策

◎ちかん被害の不安を解消するために、特に対策は取っていない/12.7%
◎ちかん被害の不安を解消するために、何らかの対策を取っている/87.3%
 
(下記 複数回答あり)
●女性専用車を利用する/25.3%
●不審な人がいないか目を配る/22.9%
●カバンを胸の前で持ったり、腕を組む/15.7%
●男性の近くに寄らない/14.5%
●服装に気をつける/7.2%
●誰かと一緒に通学する/6.6%
●急行から普通にするなど、電車の種類を変更する/4.8%
●ドア付近に立たない等危険な場所を避ける/4.8%
 
出典「女性専用車両の学際的研究―性暴力としての痴漢犯罪とアクセス権の保障」(大阪府立大学)

6.サンダーバード事件とは 

2008(平成20)年1月17日 大津地方裁判所判決
JR西日本の特急車内で女性に乱暴したなどとして、強かんなどの罪に問われた被告人に対し、懲役18年の刑が言い渡された。
判決によると、被告は2006(平成18)年8月3日、JR北陸本線の特急「サンダーバード」の車内で20代の女性の隣に座り「大声を出すな。殺すぞ」と脅して胸などを触った後、男子トイレに連れ込み乱暴。さらに同年12月21日夜、JR湖西線の普通電車内や大津市内の駅のトイレなどでそれぞれ別の20代の女性に乱暴した。
裁判長は「卑劣極まりない犯行で、性犯罪への常習性もうかがわれる」として、懲役18年(求刑・懲役25年)を言い渡した。

7.男女平等促進と積極的差別是正措置(ポジティブ・アクション)

女子差別撤廃条約〈女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約〉(1979(昭和54)年国連採択、1985(昭和60)年日本締結)
第4条
 1.締約国が男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置をとることは、この条約に定義する差別と解してはならない。ただし、その結果としていかなる意味においても不平等な又は別個の基準を維持し続けることとなってはならず、これらの措置は、機会及び待遇の平等の目的が達成された時に廃止されなければならない。
2.締約国が母性を保護することを目的とする特別措置(この条約に規定する措置を含む。)をとることは、差別と解してはならない。

男女共同参画社会基本法(1999(平成11)年公布、2001(平成13)年施行)
第8条
 (国の責務)国は、第三条から前条までに定める男女共同参画社会の形成についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

解説資料1から7(印刷用) [PDFファイル/506KB]

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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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