大阪府同和対策審議会答申(平成13年9月) 第2章 推進方向

更新日:2023年6月21日

第2 同和問題解決のための施策の推進方向

 

  前述のとおり、同和地区、同和地区出身者に対象を限定する特別措置としての同和対策事業から広く行政上の課題を有する人びとを対象とした一般施策への転換を図るという基本視点を踏まえ、今後の同和問題解決のための施策は、同和問題を人権問題という本質からとらえ、同和地区出身者を含むさまざまな課題を有する人びとに対する人権尊重の視点に立った取組みとして展開されるべきである。

  その際には、府と市町村がそれぞれの役割を果たしつつ、有機的な連携・協力のもと、取り組んでいくことが不可欠である。取組みにあたっては、府と市町村で各地域の実情に即したモデル事業を検討し、それに対する事業評価を加えるなど、事業の効果的な推進に努めることが重要である。

  また、同和問題解決のための施策の基本目標を達成するためには、同和地区内外の住民が自主的・主体的に参画し、〔1〕地区施設を活用した交流活動、〔2〕交流と自立・自己実現をめざす生涯学習の観点からのさまざまな学習活動、〔3〕身近なところで当事者の立場に立った相談活動、などの取組みを地区施設を中心に進めることが必要である。こうしたことから、府は、市町村と密接に連携・協力し、ノウハウを有する当事者が参画した関係機関やNPO・NGO等のさまざまな活動が円滑に推進されるようネットワークの構築を支援するなど、広域的・総合的な立場から地域の取組みを促進するための条件整備を行うことが、同和問題解決をはじめとする人権施策の効果的・効率的な推進につながるものと考える。

  さらに、府は、市町村と密接に連携を図りながら、さまざまな相談窓口による身近で当事者の立場に立った人権相談を通じて行政ニーズの的確な把握に努めることにより、課題解決のために真に必要な施策を見極め、これを有効、適切かつ効率的に推進することが必要である。その際、一般施策を同和地区に居住する人びとが効果的に活用できるよう、施策の紹介、誘導、活用への総合的な取組みができる仕組みづくりが必要である。

  また、特別措置を終了し、一般施策による人権尊重の視点に立った取組みを展開することは、同和問題の早期解決をめざす取組みの終了を意味するものではない。一般施策への転換後は、従来にも増して基本的人権の尊重という目標をしっかりみすえ、施策に工夫を加え、これを適切に活用しながら、真摯に施策を実施していくことが求められる。

 その際、府は、一般施策による同和問題解決に向けた取組みが、これまでの成果を損なうことなく円滑に進められるよう、施策の充実や地方公共団体の財政負担の軽減が図られるよう国に働きかけるべきである。

 

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府民文化部 人権局人権擁護課 人権・同和企画G

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