大阪府同和問題解決推進審議会提言(平成20年2月) 第1章

更新日:2023年6月21日

1 今日的な同和問題について


 同和問題の解決に向けた三十数年にわたる様々な取組みは、同和地区における住宅、道路、上下水道など生活環境面における改善、高校進学率の向上、就労の安定化をもたらすとともに、国・自治体における人権に関する法律・条例の制定や学校における人権教育の推進力となり、人権意識を全般的に向上させるなど、多くの成果を挙げました。その一方で、同和対策事業の意義・必要性等についての説明不足や、ハード面の改善に比べて住民の自立・自己実現に向けた取組みが不十分になってしまったことなど、特にソフト面の取組みに様々な課題を残しました。

 現状をみると、大阪府においては、同和地区に対してマイナスイメージをもつ人が今も一定の比率で存在していることが、平成17(2005)年度人権問題に関する府民意識調査によって明らかにされています。さらに、インターネット上の差別事象など、情報化社会の進展によって新たにもたらされた深刻な問題も起こっており、これらのことから依然として、差別意識が解消される状況には至っていないということができます。 また、同和地区の生活保護受給世帯率が高いこと、同和地区児童生徒の学力(平均)や大学進学率が府全体の水準と比べて低位にあることなど、今なお、同和地区に様々な課題が残っていることが、各種調査から明らかにされています。

 平成13年府答申には、「これまでの同和地区のさまざまな課題は同和地区固有の課題としてとらえることが可能であったが、同和地区における人口流動化、とりわけさまざまな課題を有する人びとの来住の結果、同和地区に現れる課題は、現代社会が抱えるさまざまな課題と共通しており、それらが同和地区に集中的に現れているとみることができる。」と述べられています。そして現在においても、上述の各種調査結果から、なお同様の状況が続いているとみることができます。大阪府は、これらの課題が新たな差別意識、社会的排除を生み出す要因とならないよう、必要な施策を適切に実施していくことが求められます。
 さらに、近年の同和地区における状況をみると、住民の転出入が多く、特に学歴の高い層や若年層が同和地区から転出する傾向にあり、こうして同和地区から出て行った人の中にも、同和地区出身であることに起因する課題を抱えている状況がみられることについて、留意する必要があります。

 同和問題解決のためには、府民の信頼と理解のもとで、平成13年府答申で示されたように「部落差別を解消し、すべての人の人権が尊重される豊かな社会の実現をめざし周辺地域と一体となったコミュニティの形成を図ること」を基本目標として施策を推進することにより、同和地区や地区住民に対する偏見の解消や地区内外住民の交流を促進し、同和地区出身者がそのことを理由に不利益を被ることなく、自立・自己実現を達成できる社会づくりをめざしていくことが必要です。



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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権擁護課 人権・同和企画G

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