第27回 審議会

更新日:2023年3月8日

第27回大阪府人権施策推進審議会

〔日時〕  平成26年2月14日(金曜日) 10時30分から12時
〔場所〕  プリムローズ大阪 2階 鳳凰東
〔出席者〕 有澤委員、大方委員、田辺委員、中野委員、前田委員、山中委員
〔議事概要〕
   1 開会
      ・大阪府府民文化部長あいさつ
      ・委員紹介
   2 議題
   (1)会長及び会長代理の選任について
   (2)大阪府人権教育推進計画について
   (3)その他
〔配布資料〕 
   ・資料2−1 「大阪府人権教育推進計画」の改訂について [Wordファイル/69KB]
   ・資料2−2 「大阪府人権教育推進計画」における主な取組み等について  [Wordファイル/32KB]
   ・資料3−1 障害者差別解消法の制定を踏まえた大阪府における障がいを理由とする差別の解消に向けた取組みについて [Wordファイル/44KB]
   ・資料3−2 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の概要 [PowerPointファイル/109KB]
 

〔質疑応答〕(○:委員、●事務局)

 【資料2−1、2−2:大阪府人権教育推進計画について】

○A  人権問題に関する府民意識調査で、啓発が成果を上げた面とそうでない面についてお伺いしたい。

●   大阪府としてもこれまで人権教育・啓発の取組みを進めてきたので、一般的に、各個別課題に対する府民の人権意識は高まってきていると考えている。府民意識調査については、調査検討会の委員から、差別の厳しさを強調しすぎると逆に差別はなくならないのではないかという悲観的なイメージを抱かせることにもなるというマイナスの成果が上がってきたとの指摘があり、差別の現実や歴史を伝えることは重要であるが、それに加え、解決に向けた方策も含めて教育・啓発していくべきとの提言をいただいた。

○B  「主な取組みと評価」で、今後は参加・体験型の学習を充実させるとの記載があるが、どういったものか。

●   参加・体験型の学習は、ファシリテーターと呼ばれる進行役がいて、40名ぐらいをいくつかのグループに分けて、グループの中で意見交換をする中で、新たな気づきを促していくという学習方法。他人と自分の意見を確認し合うことによって新たな気づきを得たり、行動できる態度を身につけることができるもので、人権学習において非常に効果的といわれている。府内市町村においては、アンケート調査の結果、約30の市町村がこうした取組みはしたことがないとのことであった。今後は、気づきや行動につながる参加・体験型の学習機会を普及・定着させていく必要があると考えている。

○A  例えば障がい者等様々な当事者に参加いただき、具体的な体験を伺いながら行う参加・体験型の学習も多くあると思う。そういうものが参加者の理解を深めるというデータもあると思うが。

●   大阪府では、府民を対象にした参加・体験型の講座として、年2回、入門編の豊かな関係づくり講座とファシリテーター・チャレンジ講座を開催している。加えて、毎年度、ファシリテーター用の人権教育教材も作成しており、様々な分野から身近な問題を取り上げている。例えば、これまでの教材の中には、外国人問題を考えたり、自分の価値観と社会意識を比べるというテーマで作成したものもある。障がい者の問題についても、日常生活に潜む力関係をテーマにした教材の中で一部取り上げたことがある。教材作成の際には、被差別当事者の方々との意見交換や実体験を学ぶ機会も必要と思っており、そういう取組みもしている。 

○C  資料2−1の「インフォーマルな差別的情報」というのは、一体何を指すのか。

●   府民意識調査の中で、例えば同和地区の方に対する偏見について、誰の影響を受けたのか尋ねた設問があり、それに対しては、父親や母親、友達や職場の同僚等、日常生活で近しい間柄の方の影響を受けたという答えが多かった。「インフォーマルな差別的情報」というのは、インフォーマルな人間関係における差別的情報とご理解いただきたい。「インフォーマルな差別的情報の影響を弱める、なくす工夫を」と書いているが、そのためには、幼少期からの人権意識を育てていく必要があると考えている。 

○D  行政サイド、中でも教育行政という観点から申すと、我々の速度を超えたネットの氾濫、ヘイトスピーチ―街頭でのヘイトスピーチならともかく―日々進化し、そして暗躍化するネット上の歯止めを、自治体においては小中学校レベルに対する取組みを人権教育推進計画の中にも包括的に含んでいると思うが、どの辺で指摘していただいているのか。それは別だということであればそれで結構だが、要望も含めて、やはり一番の手のつけられないのがそこだという視点を持っていただきたいのと、総務省のレベルでも難しい問題と思うが、大阪府独自として、それに関する条例等の制定とか、そこへステップアップするためにも、この計画の中で強調していただきたいと、質問というより要望という形でとっていただきたい。

●   ご指摘のように、インターネットやソーシャルネットワーク、2ちゃんねるへの書き込みは、一度サイトにアップされると、広がりが速く、削除することも困難であると考えている。ご指摘いただいた小中学校レベルに対する取組みもそうであるが、一般府民に対しても、人権とメディアリテラシーをテーマとした人権教育・啓発が必要といった問題意識を持っており、人権啓発スポット映像による教育・啓発を進めている。昨年度は、インターネット上の送り手としての人権意識を高めていただくものを、今年度は、逆に、受け手としても差別的な情報について排除する人権意識を持っていただくものを作成した。今のご意見については、教育委員会とも意見交換しながら、新計画においてどのような取り扱いをするか検討したい。

○E  「人権教育の推進」については、おそらく、職業に就いている方については比較的手厚くできると思う。例えば公務員、教職員、警察職員、民間の企業に勤めている方は、職場に対して研修をしなければならないという一定の義務が課されるので比較的網羅しやすいと思うが、例えば、体験型学習のような新しい取組みについて、職業に就いていない、例えば家庭に入っている方やリタイアされた方等にどのような形で参加あるいは啓発の機会を増やしていくのか、今後の計画等をお伺いしたい。

●   参加・体験型学習については、市町村で定着させるため、今年度から、府と市町村が連携して事業に取り組んでいる。今年度は、5箇所で取組みを実施したが、その中で、一般の住民に参加を呼びかけている。例えば、子育て中のお父さんやお母さん、高齢者を介護している方等が参加しやすい条件等を市町村と相談しながら、府と市町村が連携した学習機会を今後とも提供していきたい。また、今後は、市町村独自の取組みとしても参加・体験型学習に積極的に取り組んでいただき、様々な場で研修や学習の機会が提供されていくべきと思っている。 

○C  確かに、「人権研修の推進」のところでは、公務員等の職に就いている人を対象としているので、それ以外でも高齢者や子ども、子育て中の方、家庭に入っている方等、もっと広がりを持った人権教育推進も必要だと思う。色々なことを教えてくださる方に対する人権研修も必要だが、それを受ける側の人の人権研修も必要と思う。また、先ほどの要望にもあったように、ソーシャルネットワークや2ちゃんねる等の書き込みが、いじめの温床の一番根本にあるので、そうした時代の流れに沿った人権研修によってどのように直していけばいいのかについても考えなければならないと思う。 

【資料3−1、3−2】障害者差別解消法の制定を踏まえた大阪府における障がいを理由とする差別の解消に向けた取組みについて

○B  以前と違って、人権侵害の事例が、方法も含めて非常に多岐にわたってきている。資料の2−1の右下にあるように、犯罪や大事件を踏まえていろいろな法律が制定されている、あるいは今後されると思う。ところが、我々は、税金とか社会保険に関するものは直接利害が大きいので学習するが、こうした法律はどういう目的で、何が定めてあるかというのを知る機会はそんなにない。本来、国がやるべきだと思うが、障害者差別解消法と同じように、行政でできるだけきめ細かく、こういう法律が制定されたと、目的はこうだと、気をつけることはこういうことだというのを広くPRするよう、人権教育にプログラムとして加えていただけるとありがたい。

○E  それほど詳細を承知しているわけではないが、今回の障害者差別解消法の制定は、日本が障害者権利条約の批准の過程で国内法の措置をとらなければいけないということがスタート地点だったと思う。仄聞している限りでは、雇用の場での障がい者差別と教育の場でのインクルーシブ教育に関して、日本政府にとってはハードルが高くて批准に時間がかかったと聞いている。差別解消法が国際的な取極めへの対応も踏まえて作られたもので、地方自治体は国家の構成員であるから、国が制定した国内法との整合性というものも大事だと思うが、最終的には国が批准した国際的な取極め・条約との整合性というものも、視野に入れた政策づくりが必要になってくると思う。

また、今後、取組みの方針としてガイドラインを作るときに、何が差別事由に当たるかということをいろいろなケースを収集するということだが、何が差別に当たるのかを示すときに、そこに挙げられたものが例示であるのか、あるいは、それがすべてであって、それ以外のものはそれに当たらないのかなど、つまり府民にとって、逆に、それらの事例に当たらないからという誤解や混乱を招く部分が完全に無いとは言い切れないと思う。そういう意味で、今度、ガイドラインを作るときに、どういったものを最終的に想定しているのか。もちろん、部会でいろいろ決定されると思うが、今の時点で方向性について考えがあればお聞きしたい。

●   この法律が制定されたことをご存じの方は多いかもしれないが、実際の中身までご承知いただいているかというと、そうではないと思うので、我々行政としても、差別解消法の中身と障がい者差別をなくすための取組みは、広く啓発・周知をしていかなければならないことは承知しており、しっかりと取り組んでまいりたい。

 また、我が国も障害者権利条約を批准したところだが、この批准に向けて国内法の整備、一つは障害者基本法の障害者権利条約の内容に沿った改正、その次に障がい者福祉サービスの充実という点で、これまで障がい者福祉サービスを提供する法律として障害者自立支援法があったが、25年に障害者総合支援法が制定され、26年の4月に完全施行される。その後、障がい者差別の解消を図るための障害者差別解消法が制定されて、国内法の整備が一定整ったことで、我が国が批准をしたことになっている。

 そうしたことも踏まえて、条約と国内法の整備、それに基づいて地方行政の施策との整合性をとることは当然であり、取り組んでいこうと思っている。その中で、今ガイドラインの策定も検討しているが、これは差別ではないかという相談がこれまでいろいろあったわけだが、これが差別だという明確な物差し、指針がない中で、本当に差別になるのかどうかを、差別を受けた障がい当事者と差別をしたと思われる事業者との双方の意見の食い違いをどう調整するのかで行政の窓口や民間の相談・支援をやっている窓口が対応に苦慮しているという事例もあって、この法律ができたことを契機に、ガイドラインを作っていこうと取り組んでいる。

 このガイドラインのイメージだが、これが差別だということになれば、それに当たらなければ差別でないということで少し誤解も与えてしまうところもあるが、大阪府の今の考え方としては、差別の事例が552件あるので、これらを精査しながら、どういった場面でどういった要件であれば差別に当たるのかというのを、差別の定義みたいなものを位置付けたいと考えている。

 ただ、その定義をもってすべてかというとそうではなくて、その定義に対する運用・解釈の基準を示しながら、そこに事例を並べて、広く定義はこうなっているが、この基本の考え方はこうなっているよと、それに照らし合わせるとこういった事例というのがあるという整理もできるのではないかと考えている。

 ただ、これについては、現在、差別解消部会という専門家・当事者も参画している中で議論しているので、そうした中で内容についてはいろいろとご意見をいただき、方向性も確認しながらまとめていくことになると考えている。

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 企画グループ

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