平成27年度 大阪府同和問題解決推進審議会専門委員からの意見聴取(平成27年6月15日開催)議事概要・配付資料

更新日:2015年10月16日

議事概要

平成27年度 大阪府同和問題解決推進審議会専門委員からの意見聴取

1 開催日時 平成27年6月15日 月曜日 午前10時から正午
2 開催場所 大阪府新別館北館1階 会議室兼防災活動スペース
3 出席委員(敬称略)
 専門委員
 高田 一宏、灘本 昌久、西田 芳正、三浦 耕吉郎

 同席委員
 審議会会長 長尾 彰夫

4 意見聴取事次第
(1)開会
(2)意見聴取
 聴取事項 「行政データ」及び「国勢調査」を活用した実態把握の結果について
(3)閉会

5 議事録(要旨)

「行政データ」及び「国勢調査」を活用した実態把握の結果について

※発言者の記載については、次のとおり。
○:専門委員、●:事務局、発言記載中の括弧書きは事務局補記 

(冒頭、資料1から5に基づき、事務局(人権局)から、平成13年度同和対策審議会答申及び国勢調査を活用した実態把握等の概要を説明)

● 事務局から、平成13年度の府同対審答申及び実態把握の結果概要について、説明させていただいた。この答申では、同和地区に現れる課題は現代社会が抱えるさまざまな課題と共通し、それらが同和地区に集中的に現われていると指摘をされている。
 今回、大阪府では、初めて国勢調査を活用した実態把握を行い、第一次報告の中では、対象地域以外にも課題が集中しているということ、第二次報告では、対象地域の中でも、まちづくりの状況によって課題の現れ方に多様性が見られたということ、をデータとして把握できたことが調査結果のポイントとなっている。これらを前提として踏まえ、専門委員各位から、いろいろな視点で御意見を頂戴したい。
 資料6に論点、ポイントを示させていただいた。論点としては、人口の流動化が進み旧同和対策事業対象地域を取り巻く状況が大きく変化する中で、今日において、対象地域に生じている課題をどう捉えていくかとしている。
 これを大きなテーマとし、ここからさらに詳しく数回に分けて、お聞きしたいと考えている。本日、第1回目の聴取事項としては、最初の基本的な部分ということで、実態把握の結果をどのように受け止めるか、専門委員の皆様のお考えを御教示いただきたい。
 発言いただく際のポイントとしては、まず、対象地域には依然として課題はあるが、課題の集中は対象地域のみに生じているわけではなく、ほかにも見られるようになっていることをどう捉えるか。
 二つ目として、対象地域に課題が集中している要因として考えられるものはどういったものがあるのか。対象地域とそれ以外の地域で、集中する要因は異なっているのか。
 三つ目として、対象地域における人口の流動化が進んでいる中で、生活実態の課題と部落差別との関わりはあるのかないのか、こういったところにも触れながら、お話をいただきたい。
 本日は、実態把握の結果を聞いての御意見、御感想、あるいは、これまでの先生方の御研究と照らし合わせる中で、何かお気づきになる点等も交えながら、お話いただきたい。

○A委員 報告書に関して、補足的な整理をさせていただくと、まず、2002年まであった同和対策の根拠法が失効したのち、行政として実態把握の手段がなかなか執りづらくなってきた。その後、代替として、行政データを集約して、実態を確認するという試みがなされた。しかし、特に労働の面等で、それでは見えにくい課題があるということで、国勢調査のデータを使ってみてはという提起がなされたと思う。
 その過程で、対象地域以外にもさまざまな困難が集中している地域が存在しているのではないかという問題、関心が付加されて、今回の第一次、第二次の国勢調査を活用した実態把握の報告書になったと思う。国勢調査データを活用した実態把握が企画されたねらいの一つは、対象地域とそれ以外の格差の確認、(格差が)残存しているかどうかと、それから、対象地域内の多様性を確認するために都市計画法上の区分で(分析し)、さらに隣接する地域と対照することで、その状況をクリアにできるのではないかということ。もう一つは、対象地域以外の困難が集中している地域の確認である。
 その結果から何が見えてきたかというと、まずは、対象地域とそれ以外の地域、府全体と対象地域(の間)で格差が残存していること。学歴とか、失業率などの問題で、若年層で縮まっていないというところが、あらためて大きな課題ではないか。生活の根本的な条件が改善されていないということが言えると思う。
 対象地域内の多様性については、第二次報告で、細かな分析がなされていたが、多様性がある、そこに重要な問題がはらまれているというところは見えてきたけれども、なかなかこの枠組みでは、多様性の大事なところが見えてきていないのではないかということである。
 もう1点、第一次報告で示されたところだが、対象地域以外の困難が集中している地域、基準該当地域の設定の手続きについて、補足説明をさせていただきたい。
 国勢調査のデータで生活の困難さを示す手掛かりになる変数、項目が限られており、高齢単身世帯比率、母子世帯比率、高等教育修了者比率、初等教育修了者比率、完全失業率、非正規労働者比率の6本を、それぞれの物差し、指標として設定し、大阪府内の対象地域の平均を上回るかどうかというところで、対象地域以外の困難地域の存在を確認しようとした。
 6本の指標のうち、3本というところを大きな区切りにしている。なぜ3本かというと、対象地域の人口分布の中心ということである。対象地域もそれぞれ多様で、その中で6本の指標すべてで対象地域の平均値を上回っている、かなり困難が集中しているところと、そうではない、どの指標でも平均を下回るところというふうに、ばらつきがあった。そのうち府内の対象地域の人口のほぼ半分の人たちが住む(指標3本の地域が)対象地域の困難さの平均辺りを示しているのではないか、という考え方である。というわけで、府内の対象地域の困難さの集積度合いと同じくらい、あるいはそれ以上に厳しい地域が、対象地域以外にどれぐらい存在しているのかということを表したものが、基準該当地域である。
 府内の人口比で5%弱、人口で41万5,000人の人たちが、そこで生活しているということが明らかになった。対象地域の平均を物差しにした設定なので、対象地域並みに、あるいは困難さが高めに、困難が集中している地域が、対象地域以外にもあるということが、あらためて確認されたと思う。
 その対象地域内の多様性についてもう1点付け加えると、対象地域の平均を超える指標の数は、6本からゼロまで多様である。この分布から見えることは、対象地域と一括りにはできない、対象地域の中の生活の困難さというところで多様性があるのではないか、比較的困難さが軽減されているところと、逆に困難が集積しているところがあるだろう、という辺りが、この分析から見えてきたと思う。これに関しては、審議会で委員から同じような指摘があったと思う。ただ、あらためて見直してみると、これは対象地域の平均を上回るかどうかの物差しの数なので、これをもってどれぐらい困難さが軽減されているか、あるいは集中しているかは、これだけでは分からないという印象である。 

○B委員 今日の資料にお示しいただいたポイント三つに関わってお話ししたい。
 一つは対象地域のみに生じている課題について、対象地域だけの問題ではないということであるが、そもそもそういう課題が集中するであろう地域をみているわけであるから、先程A委員が言われたように、当たり前と言えば当たり前の話である。全国学力学習状況調査の市町村別の正答率を見てみると、やはり同和地区、ここでいう対象地域がない市町村でも、大きく落ち込んでいるところがたくさんある。
 市町村別の結果の公表に関しては、すべきではないと思っているが、やはり貧困や不平等の問題と学力の問題が、深く結びついているんだということが、図らずも分かったという意味では、市町村別の学力の実態というのは非常に参考になった。
 一言で言うと、低所得の人々が集中しているような地域は学力も低いという、これも当たり前といえば当たり前の結果かもしれないが。しかし、そのような中で、対象地域に課題が集中しているということもあるわけだが、これに関しては、やはり基本的にはまちづくり、住宅政策の失敗と言ってしまっていいのか、住宅政策の問題があろうかと思う。
 大阪の場合、ここの地域類型で言うと、中高層住居とか住居地域とされるような、大規模な公営の住宅を建てて、あとは環境改善を進めた地域がたくさんあると思う。そこは、やはり低所得者しか住めないような地域になってしまっている。もともと生活安定層は住めないような地域にしてしまったという問題があるということが、基本あろうかと思う。その中で、結局地域の中に住んでいるのは、高齢者、若年層でも生活困窮層ということになってしまっているということだろう。
 二つ目の住宅政策ということで言うと、同和地区以外にも公営の低所得者向けの住宅が集中している地域がたくさんあるので、おそらく同和地区外でも、そういう地域では、課題が集中する傾向は見られるのだろうと思う。
 三つ目の対象地域の流動化が進んでいる中で、生活実態の課題と部落差別との関わりの有無という話があるが、これに関して言うと、部落差別をどう捉えるかという問題である。属人的な系譜ということでいうと、今、同和地区に住んでいる人たちは、やはり外から流入してきた人たちが大半だろうと思う。そういう意味では、もともと部落差別とは関わりがない人々が入ってきているわけだが、差別する人は別に、この人はもともとどこの出だというようなことを気にして差別するわけではないので、エリアとして、あそこは怖い地域だとか、あそこの子どもが荒れているとかいうような偏見、スティグマが付与されるということがあろうかと思う。そういう意味で、部落差別が再生産されていく、どんな人が住んでいるのかどうか分からずに、再生産されていくような面があろうかと思う。
 あと、生活実態の関わりということで言うと、少し気になるのが、いわゆるニューカマーと言われるような外国人が、かなり地区内、あるいはその周辺に居住するような例が増えてきていると思う。国勢調査を活用した実態把握の中では、その辺は触れられていなかったが、比較的大きな団地があって、そこに外国人が集中するとか、あるいは、これは他県などではっきりしているが、部落の地場産業的なものがあって、そこに外国から労働者として働きに来るとか、定住していくとかいうようなことも起きていると聞いている。
 そうなってくると、そこのエリアとしての同和地区の生活課題というのは、やはり多様になってくるだろうということが考えられる。在日外国人が日本社会で暮らしよくしていくためには何が必要なのか。そういう視点も必要だろう。その辺の流動化の中で、新たな生活課題というのも出てきているということは、今後、さらに突っ込んで調べていく必要があるのではないかと思う。
 以上は3点に関わっての感想であるが、今日、配付した学会で発表した際の資料を御覧いただきたい。教育に関わって、どういう実態であるのかということが、国勢調査データでは、あまり分からないので、教育に関わる調査のデータを御紹介したい。これは2000年の大阪府全体が行った調査のあと、府教委が2003年と2006年に学力と生活の実態調査を行っていて、そこのデータを抜き出して、現状どうなっているのかということを発表したときの資料である。
 学力調査の正答率の分布を見ると、2006年のデータだが、大変な状況になっているということが分かる。完全な比較はできないが、80年代、あるいは90年代に比べて、状況はより悪くなっていると考えて、まず間違いないだろうと思われる。進学率の推移、これは特別対策の事業がなくなって以降は、府の教育委員会としての現状把握はなされていないのだが、これを見ると、だいたい90年代の終わりごろから、進学率は低下の傾向にあって、2003年でデータが途切れている。これが劇的に改善したとは、今の国勢調査データを見ても、なかなか考えにくいので、教育達成の年度の格差はさらに拡大し続けていく可能性が、おそらく高いのではないかと思われる。
 そうした中で、教育政策に関わる2回目の論点にもなるのかもしれないが、どういう政策を打つべきかということが課題になってくる。例えば教育と福祉の結びつき、スクールソーシャルワーカーをどう配置するかとか、あるいは学校選択制の導入ということが、結果的に、いわゆる教育力の高い家庭の流出を加速してしまうのではないかというようなことも心配されるところである。その辺は、また調査していこうかと思っている。

○C委員 大阪のことについて土地勘も薄くて、状況がよく分かっているとは言えないのだが、事前にいただいた資料を見る前は、大阪の状況はかなりひどいだろうという予測はしていた。というのは、全般的に全国の今までの調査などで、数字の悪いところは、だいたい規模の大きい地区だということは、経験的に分かっていたからである。例えば他府県の、ある地区の方の話を聞くと、ほかの規模の小さいところは比較的何年かで、ずいぶん改善してきたけれども、自分のところは非常に規模が大きくて、地区の中だけでいろいろな人間関係などが充足してしまって、なかなか自分たちの置かれた状況が分かっていない。もう少し小さければ世間のことがよく分かって、それぞれの関係で改善されていくことが多いのだが、自分のところは中だけで閉じてしまって、どうにもならないと言われていた。
 規模の大きいところは、外からの刺激も、小さいところに比べると少なかったり、あるいは仕事の問題でも、いろいろ問題を抱えているところが多い。大阪は全国の都道府県の中でも極度に大規模部落の多い土地柄であり、一つの学校区が同和地区だけというところもある。例えば少数点在のところであると、一つの小学校区の中で、わずか10軒、20軒しかいないというところがたくさんある。非常に大規模で同和地区の規模が大きくて、人間関係がその中で完結してもやっていけるという、大きな部落のところに、割合いろいろな問題が残っているというのが私の印象だった。
 だから、大阪のデータを見る前の予測では、状況は全国一ぐらいひどいのではないかと思っていたのだが、この資料を見せていただくと、私が思っていたよりは、はるかにいい感じはした。例えば進学率の問題も、大阪府全体と比べれば確かに相当劣るが、他府県でも、以前の一番大きな最後の全国調査が1993年だったが、そのときの数字で、確か大学進学率は当該府県の半分ぐらいではなかったかと思う。それに比べると大阪は、半分よりははるかに多くて、これだけ進学しているのかと感じた。
 母子家庭ももっと多いと思っていたが、意外に、こんなに少ないのかと。大阪府全体と比べると、数字としては確かに多いが、統計上数字を比べれば分かるけれども、この程度の差であれば体感的に分かるということではないと思う。この調査報告を見て、大阪は与えられた環境の中で、ずいぶん頑張ってきたと非常に感動した。
 まだ、問題は残っているのだが、もっとひどい状態が残っているのだろうと予想していたのだが、これぐらいで済んでいるので、行政も地域の人たちの頑張りも相当なもので、手抜きなことをしていたら、もっとひどい状態だったと思う。皆さんの苦労が非常に偲ばれて、逆に私はよくぞここまでいい数字が出ることになったと思う。
 例えば最後にB委員から説明があった資料の(5ページ)、小さいころに絵本を読んでくれたところの数字を見ると、確かに府全体よりは数ポイント下回るのだが、それほど遜色ない。私が学生時代、1970年ぐらいに他府県の同和地区で、地域の子ども会の面倒を見ていた時代があるのだが、そのときまだ小さかった子が大きくなって、その府県の、ある市内の公立の保育園の保育士になった。それが1980年代の後半ぐらい、90年前後ぐらいである。その保育士さんに、同和地区の保育園と同和地区外の保育園を回っていて何か気づくことあるか、同和地区だからこうだとか、同和地区外だからこうだという、大きな違いはあるかと尋ねると、即座に「二つある」と。一つは同和地区の子どもには虫歯が多いということ。もう一つは、保育士さんが子どもたちに、「絵本を読んであげようか」と言って、「絵本を読むからみんな集まってね」と言ったときに、同和地区外の子どもは、ほとんど例外なく遊んでいるところから、絵本を読もうとしているところに寄ってくるという。ところが同和地区の保育園で「みんな絵本を読むよ。おいでよ」と言っても、半分ぐらいが集まってきて、半分ぐらいは絵本にあまり興味を持たずに、砂場で遊んだり、ほかの遊びをしているという。
 それはなぜかと言うと、普段、家で全然、絵本を読んでもらう習慣がないので、絵本を読んでもらうことは楽しいぞと、だから先生のところに集まっていこうという習慣がないというのである。それが1990年の少し手前ぐらいである。それを聞いたときに愕然となって、これはいくら小学校へ上がって中学校へ上がってきてから、学力、学力と言っても、全然、駄目だと。そのころの調査では、確かに当該市内の同和地区の子どもの学力というのは、小学校のときはあまり差が分からないが、中学校ぐらいになったら、数学の点数なんて、がたがたがたと悲惨なまでに落ちる傾向があった。その原因は、家庭内における親の教育力の差が歴然としていたことにある。
 では、親は何でも本を読めばいいんだということであるが、その当時の親の世代も、全然、絵本を読んでもらっていないし、そのころは識字学級といって、親が、あ・い・う・え・お・から勉強し直さなければいけない時代だったので、子どもに絵本を読んでやれというのも酷な話だった。その数字が今、B委員の報告を見ると、こんないい数字が見せてもらえるとは、全然思わなかったので、昔と比べて非常によくなったものだと思った。
 全般的には、何と比べるかによる。現在の大阪府平均と同和地区の平均とを比べると、相当いろいろな問題があって、そこは個別に検証していかなければいけないと思うのだが、今から20年、30年前の状況、40年前の状況から比べると、非常に改善している、よくここまで改善してきたと、私は感動的に思う。
 それから、この調査報告は、今までにない画期的な切り口でされていて、よく分かると思う。同和地区の最後の全国調査は、今から20年少し前、1993年の辺りは、結局、問題関心としては、同和地区と同和地区外のデータを比べて、その格差を引っ張り出してくる。これだけ格差があるから、同和事業を継続しなければいけないという方向に、だいたいみんな関心が、特に運動団体の関心があったので、改善されてきたところもあったけれども、それはちょっと置いておこうかというような雰囲気が強かったのだが、今回の調査は、基準該当地域と比較とか、それからこんな仮説を立てたけれども、当たっていたとか、外れていたとか、非常に率直に書いておられる。今まで見てきた調査とは一時代を画しているというか、非常に画期的な、何か最初から目的があって、格差を抽出する型の調査でなくて、その背景にあるものを読み取ろうという意志が非常に感じられて、あまり予断をもたずに問題の中から探り出そうという、すばらしい調査ではないかと思う。
 先程B委員から指摘があったように、まだ問題が残っているところは多々あるとは思う。しかし、この基準該当地域というのが、相当、同和地区よりさらに悪い数字になっている。それが40万人いるということであるから、私が調査を見せてもらって、第一に感じたのは、先程から言っているような、意外にもっと悪い数字が出そうなところでも、そうでもない、ずいぶんいい数字が出ていることと同時に、同和地区外に、同和地区の数倍の規模で生活困難層があるということもはっきりしたと。だから、そこを含めての事業を展開していかないといけないということが、この調査で非常にはっきりしたと思う。
 ただ、従来の同和事業型のものを拡大してうまくいくのか、違う手法でやらないといけないかというのは、今すぐにどうこうというほどの知見がないので何とも言えないが、しかし、同和地区で今までやってきたことの次の段階に入っていかなければいけないということが、非常にこの調査ではっきりしたのではないかと思う。

○D委員 今、C委員の言われたスタンスとは真逆のスタンスになるかもしれないが、前半は、この実態調査の大枠に関する疑問点がいくつかあったのでそれについて、後半では、データを読み解いたところでの、どうデータを読むかという点についてお話したい。
 一般施策についての取組みをどう検証するかということが目的だということだが、ただその一般施策の中には、ある意味で生活改善のような実態改善という部分と、もう一つは、啓発という施策があると思う。今回、報告書を見ていると、実態、その実態調査の中にも、おそらく当事者の人にヒアリングを重ねて、そこからインテンシブに彼らの抱える問題を捉えるという視点ではなくて、一応データ的に、外側からそれに網をかぶせるような方法を採られていて、その効果のいい点と、やはり限界がこの調査結果には出ているのではないかと思った。ただ、先程A委員が言われたように、昔のように調査できない、同対法が終わってしまったら、旧同和地区全部に調査をすることがやりにくくなっているということは、もっともなことだろうと思うので、そこの穴をうまく埋めるような、何かデータ内容をもってくる必要があるのではないかと感じた。
 例えば、同和問題の解決の中核は、やはり部落差別がなくなることである。部落差別がなくなるというのは、結局、当事者の人たちから差別されたという訴えが出なくなることである。全く出ないのは無理かもしれないが、それが少なくなったら、この同和問題が解決に近づいたと言えるだろうと思うのだが、その部分についてのデータもないし、分析もないので、やはりこれは、一般施策全体の検証ではなくて、その一部分というか、半分の検証だということは、明確にしていただいた方がいいのではないかと思った。
 私が期待したのは、行政データと国勢調査にプラスして、相談事業を通じた実態把握という方針が(報告書の冒頭に)載っていたのだが、でもこの本文中にいくら見ても出てこない。相談事業を通じた実態把握の中には、この国勢調査とか行政データでは見られないような、どんな人が、どんな問題を抱えて、特に、例えば移入者の人がこんな相談をしてきているというような数量的なデータがあれば、これにプラスして、そういう問題に迫っていける。実際に個々の差別事象が、それぞれの地区で、今どのぐらいあるのかという、そういうデータもこの相談の中から少し推測をすることができる。という意味で、なぜ、このデータが全く使われていないのかが非常に疑問だった。
 あともう一つ、この調査の、ある意味でオリジナリティーに関わることなのだが、その対象地域を基準該当地域や隣接地域と比較するということが、そこにさらに地域類型も入って複雑に組み合わされているけれども、施策の適切性や効率性を検証することと、その比較がどのように結びつくのかというのが、論理的にもひどく分かりにくい。一体どうなったら施策が適正であったか、あるいは効率が上がったのかが分かるのかという仮説がないのが問題で、そちらの方の仮説が本当は必要だったのではないかと思った。
 基本的には、基準該当地域と隣接地域と対象地域の間の差は少ないという結果が出ているとは思うのだが、先程B委員も言われたと思うが、当たり前のことで、特に基準該当地域はそうして選んだのだから、差がなくて当たり前だろうということ。問題は、基準該当地域を抽出するその指標の中に、差別の有無に直結するようなものが与えられていないということである。
 だから同様の課題が集中はしているのだが、ではその集中している課題の中で、差別に関わるような要因をはらんだ課題とそうではない課題というのが、一体どんなふうに配置されているのかということを見ないと、ただ差がなくなったからというのでは、それは一体どういう意味をもつのかも分からないし、そこに差別の問題がどう絡まっていくのかも分からないだろうということである。
 結局、対象地域と同じ水準にある地域が、今、皆さんが言われたように、たくさんあるということは、しかもこれは大阪府の中でもまだ低水準なのだから、つまり今日の社会においては、いまだこういう一般施策を評価するに当たっても、まだ終点ではなくて、その途上にあるなというのが、ここから言えることなのかと思う。
 それから、あと隣接地域の比較についてなのだが、隣接地域との差がなくなってきたから、これは結構、施策を実施した効果かなというふうに言えるかと思うのだが、やはり結局低いところで共通しているのだから、まだまだ施策は途上段階だなという、やはりそういう結論になるのかなと思う。さらにもう一つ重要なのは、隣接地域と比較する場合には、むしろそれは隣接地域であるだけに、基準該当地域と比較する場合とは違った重要な意味がもう一つあって、それは隣接地域と対象地域の間に、今、忌避的関係が有るのか無いのか、付き合いみたいなものが普通にされているのか、その間で差別事象は起こってないのかという、その問題も本当は比較しなければいけない。やはりこういうことは、今後、何らかの形で調べる必要があるのだろうということである。
 だから結局、確かに課題は集中しているけども、その集中している課題の中で、どれが差別に絡んで、どれが差別とは比較的関係ないのかという課題を見抜かないと、同和問題の解決ということには、つながっていかないのではないかというのがここでの私の発言の趣旨である。
 あともう一つ、平成13年の府同対審答申の一部分が何度も引用されているのだが、これは、申し訳ないが全く意味不明である。具体的に指摘すると、これまでは同和地区の課題は、すべて同和地区固有の課題だったと平成13年段階で言われているのだが、なぜか特措法が終わったら突然に、人口の流動化やさまざまな課題を有する人びとの来住によって、他地域との共通の課題が集中的に現われているというふうに、それまでと(平成)13年以降とで、何か、状況ががらっと変わったかのようであるが、事実は全く違っていて、(19)50年代から混住化の進んだ部落というのはたくさんあって、もしその当時の水準で、基準該当地域の指標を作って選んだら、ほかの貧困地域も当然あったのである。在日の地域もあるし、最貧困の地域も日本の中にはたくさんあった。つまり、平成13年でも同和地区の課題には、同和地区固有の課題と他地域と共通の課題が共にあったということである。
 それから、この答申の中には、部落差別による固有の課題というものが、むしろ人口の流動化によって、なくなってきているという暗黙の仮定がある。それは、共通の課題があるということは、部落差別的な課題が減ってきている、なくなってきているという発想なのであるが、部落差別による固有の課題は、やはり当然今もある、先程も話が出たように、やはり部落の人たちの教育水準が低かったりするということがあるわけだから。この固有の課題というものを逆に見えなくさせる、見なくさせてしまう、そういう仮定が府答申には前提とされていて、今回この仮定に則って調査をされているということが、私としては大変理解に苦しむところである。

● 御意見が一巡したところで、補足意見等、あるいは、ほかの委員の御意見を聴かれて、また改めてお考えになることなどはないか。

○B委員 今、D委員が言われたようなことは、私も常々感じていたことである。例えば教育に関わっては、義務教育の無償化ということで、教科書の無償配布であるとか、学力保障とか、進路保障に関してもそうだが、課題は、確かに同和地区に集中しているかもしれないけれども、そもそもユニバーサルな格差是正策がなかったということがあって、その中でさまざまな人々が教育を受ける機会を奪われてきたという構造があったわけである。だから、2000年ごろに、いきなり同和地区固有の課題が一般的な課題に変わったというわけではなくて、(それまでの間は一般的な)課題が(同和地区に)集中していたから特別対策を同和対策として打ち出したというだけのことである。
 問題は、法律が期限切れになってしまってから、ユニバーサルな格差是正策という議論が、飛んでしまったということなのかと思う。それで、若年層の雇用の問題とか、あるいは女性の貧困化とか、子どもの貧困化という問題がクローズアップしているということなのだと思う。むしろ、本気で前の段階から、そういうユニバーサルな格差是正策の議論がもっと必要だったのではないかと思う。
 同時に、ユニバーサルなものとターゲットを絞った政策というのもまた、必要だとは思うが、その辺は次回以降の議論になろうかと考えているが、私も、もともと同和地区に限らず、いろいろな課題は、ほかの地域にも、ほかの集団にもたくさんあった。そのことが同和対策の根拠対策の失効に伴って、議論が飛んでしまったということが、最大の問題ではないか。これには、例えば運動体の責任もあるだろうし、行政の責任もあるだろうし、同和地区内外にある格差是正だけを言っていた研究者の責任みたいなものもあるかと思う。

○C委員 今、D委員が話されたことに対して、B委員が答えられたことで、だいたい特に疑問とするところはないのだが、D委員は、先程もともと部落外と共通した課題があったのは自明のことであるかのように言われたが、それは少し違うのではないか。ここ10年ぐらいは、そういう感想はお持ちかもしれないが、もともとは部落の貧困というのは一般の貧困とは違うというのは、大前提で、そのようなことを一緒に議論すること自体、差別であるという時代が長かった。
 それに対して、同和問題はいろいろな問題はあるけれども、それと似たような地域が周りにも広がっていて、そことの整合性をもった行政を進めなければいけないと言い出した一番最初は、1985年、地対協の意見具申の磯村先生のお話だったと思う。磯村先生がおっしゃっていたのは、そういうことで、同和地区に非常に問題が集中しているけれども、周辺にもそういう問題が広がっているということを指摘したのだが、そのときは、まだ、運動団体としては同和事業をまだまだ継続、推進、拡大しようとしていた時代だったので、それに対する反発は非常に強かった。
 B委員が言われたような、ユニバーサルな課題があって、それを含めての解決を図っていこうということが普通に言われるようになって、言ってもそれほど奇異な意見ではないと言われだしたのは、いよいよ特措法、地対法が切れることがはっきりした2000年以降だと思うが。それまでは、あくまで同和事業が中心である、同和地区の貧困と同和地区外の貧困は全く別物であるという意見が強く、D委員はそうではないと思っておられるかと思うのだが、全体的には同和行政なり部落解放運動の中での雰囲気というのは、そのようなことであったと私は思う。
 D委員が、そうではない(2000年以降に同和地区の固有の課題が急に他地域と共通の課題に変わったのではない)と言われるのは、まさしくそのとおりで、(2000年以前も)周りと共通した課題があるのだということは、私もそう思う。それを本当にがっちり確認できれば、それはそれで次のステップへ進む上では非常に重要なことであるし、今までこういう形で、同和地区の何倍もの似たりよったりの生活をしている人が、同和地区の数倍、十倍周りに広がっているということは、はっきり数字で確認できたので、私は、これはこれでいいのではないか思う。ただ、先ほど言われたように、では昔ながらの差別はどうなっているんだということは、国勢調査からは出てこないので、これはまた検討する、課題として私も非常に関心があるので、そこは、新たな調査をするのか、従来の意識調査を分析するのか、少し考えないといけないと思う。

○A委員 D委員の御指摘に対してであるが、一つ一つは全くそのとおりだと思うし、重要な御指摘だと伺ったが、先程C委員も言われたが、ここで国勢調査を活用した実態把握というのは、まさに生活実態をきちんと捉える、そこから課題を確認するということであったので、差別の現れに関する問題というのは、あらかじめこの土俵には乗っていなかったと認識している。 さらにその生活実態をどう考えるかというところで、従来の地区、地区外というような枠組みでは(不十分ではないか)、部落問題を考える上でも、そのほかの不平等、格差の問題を考える上でも、ここ(今回の実態把握)を切り口にして明らかにするべきだというような問題意識が、私には強くあったということも、少し付け加えておきたいと思う。

○D委員 今、A委員が言われたように、今まで中心に検証してきた部分はここだ、今回、生活実態だけなんだというように書いてあればいいのだが、今までの一般施策をこれで検証するとしながら、人権問題とかほかの部分は出てないではないか。今回は、これとこれをやりますと報告書の最初に書いておいてもらうべきだと思う。そうであれば私は十分納得できたと思う。
 それから、今度は後半の調査結果及び報告書をどんなふうに私が読んだかということについて、少し時間をいただきたいと思う。
 まず、先程の比較の点であるが、基準該当地域と対象地域を比較して、それで何が明らかになったかというところで、確かに似ている、差はないという部分もあり、そして、一方では、でもやはり圧倒的に大きな差があるという結果が出ており、基準該当地域の方が、むしろ圧倒的に問題を抱えているという部分、例えば母子世帯、高齢単身世帯、高齢夫婦世帯が多いとか、二十歳代で中卒以下が最多、高等教育修了者が最少だとか、二十歳以上で男性の完全失業率が高いとか、すべての年代でブルーカラーが多くホワイトカラーが少ないという点においては、対象地域より基準該当地域の方が、圧倒的という部分もあるし、かなりという部分もあり、基準該当地域の方がマイナスの違いがある。
 しかし、そのことは、少しも報告書の中で文章化されていない。そして、文書中には基準該当地域と差は少ないということは書かれているのだが、基準該当地域は、もっと大変だということが大事な指摘、大事な数字であるのに、それに全く触れていないというのは、どうしてだろうというのが一つである。
 二つ目は、隣接地域との比較の問題なのであるが、これも確かに結構、近似的な数字も出ているけれども、依然として、対象地域と隣接地域の間に格差があるという数字が出ているのに、この報告書の記述では、むしろそれをあまり書かず、過小に評価しようとするような記述が多いということである。
 例えば人口世帯のところで、対象地域の方が、母子世帯や単独世帯が高率なのだが、それについてどう書いてあるかと言うと、母子世帯の構成比は隣接する地域と差がない地域類型が多いと。これは事実ではないだろうということである。それから、単独世帯については、隣接地域との比較に言及が全くされていない。
 教育についてみても、対象地域の方が、男女ともそれぞれ1類型を例外として、小学校・中学校卒が多い。それに対して、どういう説明がされているかというと、母数の多い三つの地域類型にその原因を帰責する、という書き方である。だから本当は、九つの地域類型のうち、ここの八つの類型がそう(小学校・中学校卒が多い)であるのに、そのうちの三つの類型がそうなのだという書き方になっているし、さらに、本章の「トピックス」のところでは、小学校・中学校卒の構成比は、近隣商業の男女及び商業の男性の場合、それぞれ隣接する地域との差が小さいと書いているが、ほかは大きいのである。でも、そのことは書いてない。これは、私にはよく分からない。
 つまり、どういう書き方をしているかというと、対象地域と隣接する地域の差ができるだけないところに注目をした分析をして、記述もそこにとどめる。差があるところについては触れない。なぜそうなるのか、私は疑問である。
 あと、それが労働のことになると、もう一つもっと重要な問題があって、対象地域の女性に特徴的に見られるのが、年齢階層別な労働力率や就業率におけるM字型カーブの不在、へこみのなさということである。これは2地域類型を除いて、対象地域の女性には不在なのである。これがすごく重要な事実であるのに、府のみとの比較にとどまっていて、一番見たい隣接地域との比較がなされていないのは、どうしてなのかということである。府のみならず、隣接地域とも異なっているのかどうかを、非常に知りたいところである。
 さらに今の話が、「トピックス」の記述では、女性の就業率では、いわゆるM字カーブが見られない地域類型があると書いているが、見られない地域類型がいくつかあるのではなくて、見られる地域類型は僅かしかない、ということではないだろうか。これは、少し表現が誘導的というか、誤っているとしか言えないと思った。そもそも労働問題については、すべての年齢階層性グラフについて、隣接地域のものが報告書に載せられていないのがすごく不思議で、結局「トピックス」では、全体の傾向として、労働部分についてであるが、隣接する地域との間に大きな差は見られないとまとめているのだけれども、きちんと確かめたのかという疑問が生じる。
 こうした部分が、何か差をできるだけ過小に評価したいという方へ行っているのではないか、差がないということは、もしかするとこれが、施策の意義があったということを強調したいがためにというように、少し勘ぐってしまう。しかし、最初に言ったように、差がないことが本当に施策の評価につながるのかということである。低いところで差がないのであるから、まだ施策は十分ではないという結論になるべきである、というような仮説がないのが非常に不思議である。せっかくこれだけの大規模調査を行ったのだから、それを検証しないといけない。
 それから、その持ち家の問題についてであるが、やはりこれは、先程B委員も言われたように、地域の課題というより、政策のもたらした結果ではないか。それを単に同じように地域の課題と言っていいのか、そこのところはきちんと、政策上から、よかれと思ってやったが、今はそれが課題になったと書くべきだろうと思う。
 三つ目に、今回の調査で新たに導入された地域類型化という試みが皆さんから評価されているのだが、それは一体何を明らかにして、逆に何を見失わせたのかという部分を、きちんと明確にしておく必要があると思う。
 よく「課題の現れ方が一律ではない」と書かれているが、それはそうだろう。九つに分ければ課題が同じわけがない。そんなことを言えば、九つに分けた段階から当たり前ではないか。まさか同じだと思っている人はいない。だからそれが常に「トピックス」の最初にくるということがよく分からなくて、少し私はこだわりすぎだと言われるかもしれないが、やはり差別という対象地域に固有の課題もあって、そうした課題の存在を、対象地域を九つに分けることで、逆に見えなくさせてはいないかということなのである。
 それで、こういう仮定も成り立つということを一つ言いたい。「類型ごとに非常に別々の課題があるのだが、それは固有の原因、つまりは部落差別という原因が、たまたま別々の現れ方をしているだけかもしれない」。こういう仮説は十分成り立って、これはきちんと調べないといけない。ただ、これはどうやって調べるのだろうと私は思うのだが、それが言えない限り、課題は全部別々で多様でというだけに終わってしまっては、重要な部分を見失わせてしまうのだろうということである。
 最後の四点目であるが、人口流動化仮説である。先程の平成13年の府同対審答申にあった、対象地域で人口の流動化が進んでいるという説であるが、今回の調査では、流動化が進んでいるという仮説は成り立たないであろう。なぜなら、転入者について、少なくともここ5年から10年の間、量的には転入者が他地域と比べて多くないという結論が出ている。もちろん入ってきた人の範囲は、先程のように学力が低いとか、従業上の地位が低いとか、そういう人はいたけれども、量的にほかの地域と比べて転入者が多いというデータはなかったと思うが、A委員どうですか。

○A委員 そのとおり。比較すればそうである。

○D委員 それでは流動化が進んでいるというのは、一体どういう根拠で言っているのか。私も対象地域の人口流動化は進んでいるとは思っていたので、このデータには大変驚いた。
 それから、流動化を見るときには、当然、転出者を見なければいけなくて、転出者についての情報は、今回、国勢調査ではありませんと言う。でもそれは、ありませんで済む話ではないと思う。それは、ないというよりは、属地的な調査の限界なのである。ここには、そこから出ていった人はもう同和地区の人ではないのだからみたいな発想がみられるが、そもそも、それ(転出者が多いこと及び当事者にとって転出すること)がどういう意味をもつのかということが重要である。出ていった人がどんな人で、どんな理由から転出したかというところもきちんと調べないと、この流動化仮説は検証ができないが、そもそも最初にこういう流動化仮説みたいなものを基に、この調査が企画されていたにもかかわらず、調査結果がそれを否定しているという事実、これは一体どういうことなのだろうと思うが、今は何とも言えない。

● 今回、国勢調査を活用した実態把握について、かなりデータに制約がある中で、転入者(のデータ)は取れないが、移動者というところから推測するという形で分析をしてきたところである。また、基準該当地域については、一定の基準で抽出されたものをデータとして捉える、一つの物差しとして捉えているということである。その物差しが変われば、抽出されるものも変わってくるというものであるので、今回の報告書の中では、明確な比較という形では書かずに、参考値として掲載したという形を取らせていただいた。
 あとデータの見方については、隣接地域との差を過小に評価する傾向もあるのではないかという御意見もいただいたところである。データの読み方としては、資料をまとめる際にいろいろ検討したが、できるだけ分かりやすい形でと思っていたものの、分かりにくいところ等があったところは申し訳ないと思う。データ面に関してはいろいろな解釈があるかと思う。一つのデータについて、それを差が大きいとみるか、小さいとみるか、いろいろな見解があるかと思うので、その辺は委員各位の御知見を提供いただき、また、このように読み解いたらいいというところは、ぜひともアドバイスをいただきたいと思っている。
 また、差別との関わりとか、質的な部分をみるべきだというような御意見もいただいているところである。今回は、国勢調査ということで、生活実態面を把握するということを命題にしてきたところであり、それ以外に、府民意識調査とか、部落差別事象の状況も、別途把握しているので、そのようなところは、関連事項として、トータルで見ていかなければならないと思っている。委員各位には、今回、入り口のところとして、国勢調査の実態把握をどう捉えるかというところで、ぜひともアドバイス、御助言をいただければと思っている。

● 先程、D委員から御意見が出たことで、1、2点、状況の説明をさせていただきたい。まず、相談事業から出てくる実態がないのかというお話であるが、平成17年と18年には、行政データを活用した実態把握と相談事業を通じた実態把握を行った。これは2000(平成12)年に、いわゆる特措法がある時代に行っていた調査はもうできないという前提で、その中で何ができるかというのを我々なりに考えて、行政データについては、いわゆる数字的な把握なので、国勢調査に似通った部分もあるし、今回の行政データ(を活用した実態把握)もそのような形で行っている。   
 その(相談事業を通じた実態把握の)内容であるが、部落差別の実態に迫る深掘りする内容として、相談事業を活用すると、そこから見えてくるものがあるのではなかろうかということで、(平成)18年に行った。結果として何も出てこなかった。これにはいろいろ問題がある。もうすでに特措法は終わっているので、隣保館等でやっている実態把握の相談事業であっても、地区の方とは限らないし、内容は、必ずしもこちらから期待した内容でないとは思っていたが、思っていた以上に何も答えが出てこなかった。これを行政としてもう一度行うことは如何なものかということで、今回は相談事業を活用した実態把握は行わなかったということである。
 もちろん生活困窮者に関するさまざまな実態、同和問題ではなく、広く困窮者問題ということで出てくるかもしれないが、それは、我々の意図するところではないので、今回は、行わなかったということを説明しておきたいと思う。
 また、D委員の御指摘は、まさにそのとおりで、我々もこの数字を把握したから、すべて同和問題を把握できるとは思っていない。ただ、地区を特定して、人を特定して、簡単に言うと、あなたは同和地区の人ですねという形で行う調査というのは難しいとのお話があったが、はっきり申し上げてできない。
 これは個人情報保護条例の問題もあって、できないということと、我々は部落差別に関わる調査をしてはいけないという条例も持っているので、実態上できない。その中で何ができるのかという答えが、国勢調査を活用するということになったわけで、そのような自ずと限界がある中で、A専門委員に分析をお願いしたということについては、御理解をいただきたいと思う。

作成:府民文化部人権局

配付資料

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資料1 国勢調査を活用した実態把握報告書【第一次】
     ・表紙・目次 [Wordファイル/72KB]
     ・用語の定義 人口・世帯の状況 [Wordファイル/388KB]
     ・教育の状況 [Wordファイル/179KB]
     ・労働の状況 [Wordファイル/458KB]
     ・住まいの状況 [Wordファイル/99KB]
     ・移動者(転入者)の状況 [Wordファイル/316KB]
     ・仮説の検証 [Wordファイル/35KB]
     ・国勢調査で用いられている用語の解説 [Wordファイル/74KB]
資料2 国勢調査を活用した実態把握報告書【第一次】のポイント [Wordファイル/1.49MB]
資料3 国勢調査を活用した実態把握報告書【第二次】
     ・表紙・目次 [Wordファイル/69KB]
     ・用語の定義 [Wordファイル/72KB]
     ・人口・世帯の状況 [Wordファイル/296KB]
     ・教育の状況 [Wordファイル/348KB]
     ・労働の状況 [Wordファイル/1.79MB]
     ・住まいの状況 [Wordファイル/154KB]
     ・移動者(転入者)の状況 [Wordファイル/311KB]
     ・仮説の検証 [Wordファイル/267KB]
     ・国勢調査で用いられている用語の解説 [Wordファイル/74KB]
資料4 国勢調査を活用した実態把握報告書【第二次】の抜粋 [Wordファイル/2.65MB]
補足資料 各章のトピックス [Wordファイル/16KB]
参考資料1 行政データを活用した実態把握(主な傾向) [Wordファイル/23KB]
参考資料2 行政データを活用した実態把握の主要データ [Wordファイル/259KB]
資料5 実態把握の結果を受けた今後の取組みについて [Wordファイル/36KB]
資料6 論点 [Wordファイル/26KB]
専門委員からの資料 「同和地区の子どもの学力と進路」 [Wordファイル/1.73MB]

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権擁護課 人権・同和企画グループ

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