第28回 審議会

更新日:2023年3月8日

第28回大阪府人権施策推進審議会

〔日時〕平成27年3月17日(火曜日)10時から11時50分
〔場所〕プリムローズ大阪 2階 鳳凰西
〔出席者〕有澤委員、大方委員、岡田委員、金光委員、田辺委員、中野委員、前田委員、山中委員
〔議事概要〕
  1 開会
   ・大阪府府民文化部人権局長あいさつ
   ・委員紹介
  2 議題
   事務局から説明、報告の後、質疑応答を行った。
   (1)人権問題に関する府民意識調査について
   (2)その他
    ・大阪府人権教育推進計画(案)
    ・差別解消方策の解消について

〔配付資料〕
  ・資料2‐1 人権問題に関する府民意識調査について [Wordファイル/30KB]
  ・資料2‐2 「人権問題に関する府民意識調査」を今後の人権施策に生かす [Wordファイル/43KB]
  ・資料2‐3 「『人権問題に関する府民意識調査』を今後の人権施策に生かす」を踏まえた取組内容等について [Wordファイル/62KB]
  ・資料3   大阪府人権教育推進計画(案) [Wordファイル/101KB]
  ・資料4   差別解消方策の検討について [その他のファイル/115KB]

〔質疑応答〕(○:委員、●:事務局)
【人権問題に関する府民意識調査について】

<調査の概要>
○A アンケートの方法について、若年層の回答を多く得るために、郵送法ではなくネットを使った方法は検討しなかったのか。

●  従前から郵送法を採ってきたが、ご意見も踏まえて検討したい。

○B 調査対象は満20歳以上だが、現在国会で審議されている選挙権の年齢引下げから考えると、対象者の年齢を18歳からにして良いと思うがご検討いただきたい。

● ご意見を踏まえて検討したい。

○C 質問というより意見になるが、この種の意識調査をするときは、大阪府が、どういう社会を目指しているのかを提示して、そのために今このような施策を考えていて、それに対して府民の皆さんはどう思っているのかということを質問してほしい。目指す方向を伝えるメッセージとしてもらいたい。

○D 今の意見と重複するが、大阪府の方向性を提示した上で、それに対する府民の意識を得るということを同時並行すれば非常に効果が上がると考える。府の考え方を知らせる広報ツールにしていただきたい。

●  次の「実施に際して検討すべき事項」で整理している各項目とも関係しているので、全体の意見として事務局で受けとめたい。

<実施に際して検討すべき事項(これまでの取組の効果検証について「効果を見ることができる質問とは」)>

○B 評価研究の立場から申し上げると、まずは、少なくとも2回調査しないと効果があったのか、なかったのか評価が難しい。また、質問項目を変えないことが大事で、質問項目を変えてしまうと、それがどうなったのか、質問項目を変えたから変化が起こったのか、それとも、プログラムか何かの施策があったから変化があったのかが分からなくなってしまう。少なくともそういうことを検証しないといけない。それが次の「比較可能な質問、経年変化をどう見るのか」につながる。

 それから、あらゆる施策についての効果を見ることはできないので、何かのターゲットを絞る必要がある。

 私たちも高齢者虐待について様々なプログラムを実施しているが、まずは虐待の定義について知っていただくことから始まる。定義は意外と誤って理解されていて、暴力だけが虐待と思われているので、そういった構造にしなければならないと思う。

 もう一点は、評価にも幾つかの種類があり、プロセス評価とアウトカム評価がある。プロセス評価は、研修を何回実施して何人の参加者がいたのかという評価。その結果どうなったのか、どういう意識の変化が生じたのかを研修の前後で見る(アウトカム評価)必要がある。ただ、かなり込み入ったことになるので、それをどう担保するのかが、これまでの取組の効果検証になると思う。

○E 今までの経験から、フェーズ(段階)ごとに質問項目を設定するというのは分かりやすい方法だと思う。例えば、「差別事案があることを知っているか・知らないか」という段階から「自分が実際にそういう経験をしたことがあるか」という、問題発生に関する質問項目を立てる。その次に、例えば、「そのときに周囲の人はどのような反応を示したか」という、まずは自分の身近な家族エリア、あるいは近所とか友人たちがどのような意識を持ってそのことを受けとめたかという段階。その次に、「公的な機関がそれに対してどのように対処してきたか」、あるいは逆に「どのように利用したか」。例えば、「自分で相談窓口があるということを見つけて行ってみたか」や「こういう条例が府にあることを知っているか」等、いわゆる救済、問題解決に向けての段階で、その人がどのような手段を考えたか、あるいはもうその時点で諦めて全く何もしなかった方もいるかもしれない。

 また、自分自身が差別の対象になったことのない人でも、例えば、こういう窓口、機関があることを知っているかどうかを測る指標の一つになると思う。中には、裁判という事例もあるだろうし、いろいろな行政機関の相談窓口を利用したという例もあると思う。最終的にはそれによって、例えば、状況は自分が思っていたように改善されたのか、改善されなかったのか、あるいは二重の差別を受ける結果になった等、いろいろな状況があると思うが、いくつか時系列に段階分けして、質問項目を設定することも一つの方法だと思う。

 それから、調査の範囲、母数の問題になるが、大阪府の人口規模で調査対象が3,500人というのが果たして適当なのかが分からない。また、層化二段無作為抽出だが、府内66市区町村があって、その年齢層を単純に10歳刻みで考えると、一つの年齢層で何人の人が回答するのか、また、それを実際に市区町村別に分けていくと、ごく少ない人数の方しか回答しないことになるのではないか。例えばウェブ調査を組み合わせることによって、もう少し調査の母数を増やした方が良いと思う。

 3点目だが、評価方法等はいろいろ難しい問題があるという説明があったが、いわゆる客観的な数値で目に見えてくるものと、例えば利用者アンケート、研修参加者アンケート等の主観的な部分が関わる評価と、一律に扱えない部分があると思う。調査項目によっては主観的な評価に頼るしかない項目もあると思う。例えば何かの人権研修があって、そこに参加した人の評価はもちろん大事だと思う。その内容を今後練り直す意味ではとても大事だと思うが、「そんな研修があることを知りませんでした。知っていたら参加したのに」という、その研修の外からの評価がないと、本当の意味でプログラムや企画自体が大局的に見てどういう位置付けだったのかは評価しにくいと思う。そこで、大阪府内の人権関係の公的機関や専門機関、団体に調査依頼をすることも、第三者の目で公平公正に評価する意味では効果的な方法だと思う。

 最後に、実際の質問項目を立てた後に、例えば、質問項目の原案を作った段階でパブコメを実施して練り直すことも一つの方法だと思う。

○B 比較可能な質問について、全く同じ質問を見つける手法、例えば東京都が同じような人権問題の調査を実施していて、そこと比較して高いかどうかとは言いにくいが、あるいは総務省が実施しているような全国調査の平均から見てどうなのか、高いのか低いのかという検討は可能。同じ質問項目を使うことによって、大阪府はどういう位置にあるのかは一つの比較可能な手法だと思う。

<実施に際して検討すべき事項(これまでの取組の効果検証について「比較可能な質問/回答の経年変化をどう理解すべきか・・・効果は見えるのか」)>

○B 「経年変化をどう理解すべきか」については、調査設計のやり方によるということ。毎回、層化二段無作為抽出法でやっている限りは、毎回、回答者が異なる、しかも地域も異なるということになれば、これは経年変化の結果と言えるのかどうかは疑わしいというのが回答になる。少なくとも地域は特定して、同じ地域だけど、違う人が回答しているのであれば、少しは経年変化が見られるが、毎回違う地域を比較しても、地域特性が違うから変化が出たのか、それとも本当に違うのか、効果があったのかどうか分からないので、今後、地域を特定し、層化をして、二段無作為抽出をしない限り、難しいと思う。

 もう一つは、5年という長い期間で社会情勢も変わってくるので、そのことによる意識の変化ということも考えられるが、施策による効果かどうかは明確に述べることができない。行政施策の意識調査は5年が多い、少なくとも2年ぐらいの単位で検証する必要があると思う。

○F 意識調査は調査しただけでは駄目であるという気付きから、次にどうするかが今日の議論だと思う。

 調査対象の3,500人というのは、有意性があるのかどうか。少ないというわけではなくて、年齢もエリアも世代も違っていることになると思う。

 いろいろな講座について、そのときは効果があったとしても、実際に子どものいじめがなくならないとか、体罰がなくならないという実態があれば、大阪府として何をやっているのかと。その辺をクロスして、意識が変わってきたときにそういうことも減ってきたのか、意識ではどんどんポイントが上がっていて変わってきているように見えるけれども、事実としてはより増加しているとか、子育てに対しても、これだけ子育て支援と言われているんだけれども、大阪府には住みたくないという人が増えてきたとすれば、それは一体何だろうとか、いろいろなことをクロスして焦点化していかないと、守備範囲が非常に広いので難しいと思う。

 また、社会の情勢によって意識というのは急には変わらないので、年齢層によって、そのときにこういう冊子を使って学校教育を受けたのか、子どもの現場でそういうことが行われていたのかということも影響していくと思う。今の子どもたちの意識は大人が思うよりも大人っぽいところもあるので、子どもたちがどう思っているのかは、17歳じゃなくて、小学生ぐらいで聞いても良いと感じる。そうすると、大人は一生懸命に研修をしているが、現実の子どもはそう思っていないことがあれば、すごいギャップになってくる部分もあるし、手法が今の時代の子どもの教育とは違うかもしれないので、どこかですり合わせができれば良いと思う。

○C 経年変化というときに、行政の手法としてよく見るのは、5年前と同じ質問をして、例えばイエスが3割から5割に増えた等の比較。私は、この種の調査ではあまり意味があるとは思わない。

 もうひとつ、手法はいわゆる定点観測で、5年前と同じ方に同じ質問をすること。これは物理的に不可能だと思うが。

 先ほど申し上げたが、「この5年間、大阪府としてはこういう取組を実施してきた。あなたはそれについて、周囲を見て、何か変化があったと思いますか」という質問をする方が、経年変化というのなら一番効果的だと思う。特に企業では、この5年間で女性、外国人の社員、ハラスメントに対しても、あるいはこれは人権とは関係ないかもしれないが、いろいろな不正に対する対策ということでは、社会の要請も、あるいは法律的にも規制が随分厳しくなって、多くの社員は「何となく変わったな」という意識はものすごく持っているので、「こういうことをやってきたが、あなたは変化を感じますか」という質問をしたほうが良いと思う。同じ質問をやって、数字の集計だけするのは意味がないと思う。

○A 「施策が府民の人権意識を変えているのか」、ということから言えば、それ以外の影響要因は沢山あると思うので、こうした影響要因を除けないと、施策が直接どのように影響しているのかを測れなくなる。

 そうすると、反対に先ほど田辺委員が仰ったように、「府がこんなことをやっています」と提示して、「『こんなこと』を知っているのか」から質問し、「参加したことはありますか」、「それがあなたにどんな影響を与えていますか」や「周囲の人にどんな影響を与えていますか」といった、施策の認知、参加、影響を質問した方がよりクリアになると思う。

<府民意識を的確、効果的に把握できる質問について>

○B まず、大阪府としてどのような施策を展開して、どのような効果測定をしたいのかという意識がないと、縦割り的に子ども、女性、高齢者、障がい者、と無限大に広がっていく印象があり、答えにくい気がする。

○D まず、大阪府の今の状況がどうであるのか。昭和の頃や10年前と同じ質問をやっても意味がない。一つは、大阪は昔から在日韓国・朝鮮人の方が非常に多くて、生活の中で融和しながら生活している場、これは他府県に比べたら違うところ。

 それから今、外国からの観光流入人口について、非常に大きな数を発表されている状況での外国人に対する意識。

 もう一つは、悲惨な事件が川崎市等で起こっている中で、教育現場で人権意識を高揚させる、あるいは府が目指している部分というものがあると思うが、そのレベルを測れるツールでなければならない。

 まとめると、今の大阪に応じた質問でなければならないということと、やはり一番大事な教育の中での人権意識の流れがどうなっているか、変化がどうなっているか、また、大阪府民の意識はどうであるかと、この点を大事にしていただきたいと思う。

○F 調査項目を読み解かない方々の意識がどうなっているかを覚えておかないといけない。これが全ての府民の意識だと思ったら、それは判断が間違っていると思う。調査項目を読みこなすのは大変で、時間がなくて忙しい方がこれを書くというのもとても大変なこと。最近、この手の調査が増えているだけに、もう見ただけで嫌という人も多分たくさん出てくると思う。

 それから、少数意見であったとしても、その意見が存在していることに意味がある場合もあるので、「何割だった」で終わらずに「何%はまだこう思っている」と、特に人権意識に関しては少数意見もピックアップしていただきたいと思う。記述式で記入する項目があるのかは知らないが、もし「その他項目」があれば、そちらの方が真実を語っている場合もあるので、ある程度分類したり、カテゴリー分けをして、「その他何%」で終わりとしないことも大事だと思う。

○G 私も、調査の時にいろいろと意見を書いてくれることがあるので、記述式の項目も設けた方が良いと思う。分析の際、3,500もあったら大変だと思うが、意外と本音が聞けることがあるので、選択式だけではなくて、何故そうなのかを知るためにも、何か書いてもらう。最近、センター試験みたいなのをやめて、もっと記述式にした方が良いという話もあるが、同様にアンケートもパーセンテージだけで測ると、違う方向に行ってしまう。

 選択肢で「そう思う」、「大体そう思う」、それで「どちらでもいい」というのがあると、「どちらでもいい」を選ぶ可能性が日本人の場合は非常に多いと思うので、「どちらでもいい」というのが項目にあるなら、なくしてほしいと思う。

<府民意識を特に把握すべき人権課題について>

○C 人権に関する課題や問題は、沢山あると思う。私は調査を変えたら良いのではと思う。例えば、学校でいじめという問題がある場合、我々はほとんどマスコミからその実態なり情報を手に入れる。マスコミは常に言論・報道の自由を主張するが、私は言論・報道の無責任さを感じる。子どもがいじめをされると、いじめた方が悪いという見方もできるし、親が悪いということになるし、先生には何回か言ったのに何もしなかったら先生が悪いと。ある報道によると、先生は超過密勤務でそんな余裕がないと言うと、それは教育行政が悪いと。このように何とでもとれるから、何が課題と言われても偏った主観の答えしかできない。むしろ先ほど中野委員、山中委員が仰ったように、「府で今こんなことをやろうとしています。それを知っていますか」や「あなたは参画していますか」、「効果があると思いますか」等の府が進めようとしている様々な人権施策に関する調査にした方が参考になると思う。何かの人権課題に関する質問をされても、全部「問題」というだけで、「じゃ、何をするのか」と言われたら「同じことをするだけ」、という気がしてならない。

○B 暴力は身体的暴力だけではなくて、精神的、社会的、経済的と、女性、子ども、高齢者、障がい者に共通の課題であり、啓発が必要な分野。しかし、身体的暴力は駄目だということは皆さんご存じだが、子どもについては、しつけと称して、これがなかなか浸透してこない。だから、まずいろいろな暴力があることを知っているのかどうか、それがどれぐらいの浸透率なのかを測って、皆に知ってもらうためにどういう施策を打つのかという施策展開もあり得る。単に子ども等で分けるのではなくて、一つのテーマがあって、共通課題としてどのように取り上げるのかについては、府民の意識を把握すべき人権課題としてあり得ると思う。

○G 暴力は一番の人権侵害。子どもにも高齢者にも隠れた暴力があると言われているし、暴力は中々認知されていなかったが、最近は大分認知されてきているので、それは駄目だという啓発を含めた調査をお願いしたいと思う。

○F 人権について、「あなたは人を敬う気持ちを持っていますか」と質問して、その中で、「女性に対して持っていますか」、「高齢者にはどうですか」という形で、それがオールラウンドなのか、「女性には持っていません」、「何故子どもに持たなきゃいけないんですか」ということが見えてくるかもしれないので、分かりやすく、答えやすく、でも、的を射た回答というか、意識が見えてくる形が良いと思う。その中で、暴力についても、「あなたは暴力を振るったことがありますか」とか、「どういう場面ですか」とか、「暴力は良くないことを知っていますか」ということが出てくるとつながっていく。そうすると、今後の施策に対しても、どの領域がとか、どこの部分が一番重要なポイントかというのが見えてくる感じがする。それが年齢別に見ると年齢によって、もしかしたら違うかもしれない。

○A 配付資料の「ゆまにて」にある「身近な人権」について、これを全部質問するのかということについて、岡田委員が仰った暴力という一つの共通テーマのような、人権課題の中で共通の、その上にある概念みたいなものが見つけられれば、それでまとめるというのもあり得る。暴力以外に良いのが思いつかないが、考えていただければ一個一個同じようなことを聞いていくのではなく、上の概念で質問する方法になると思う。

 私も暴力は、そういう切り口で質問されることはすごく良いと思う。実際に施策や行政の支援でも、これらの人権問題は皆一つの型の中に凝縮していて、一つ一つで切り分けて行政の支援は行われていない状況だから、そういう切り口でやっていくのは現実に即していると思う。

○D 関係部局の皆さんは、我々や、あるいは人権関連団体の意見も聞きながらやっていただいていると思う。

 私は、先ほども申し上げた、時代の流れに応じたアンケート、それから、教育行政がどこまで浸透しているのか、という大きな柱を申し上げたが、現実に即した部分、様々な人権課題の中でも、まず戸籍の問題。今、本人通知制度を大変啓発されているが、府民が戸籍について、どういった意識、そして大阪府の様々な調査の関係上、自分の知らないところで触られているという意識がどれぐらい高いのか低いのかという部分、あるいは、これも現実問題だが、不動産業界の地域的な販売の状況とか、府として、やはりこれだけは府民の皆さんの意識を測って、低ければ高めていかなければならない。他の人権課題についても同じように、低かったら高めていかなければならないことを精査していただきたいと思う。

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 企画グループ

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