第26回 審議会

更新日:2023年3月8日

第26回大阪府人権施策推進審議会

〔日時〕  平成25年2月4日(月曜日) 10時30分から12時
〔場所〕  プリムローズ大阪 3階 高砂
〔出席者〕 平沢会長、有澤委員、岡田委員、金光委員、神原委員、中井委員、西端委員、畑委員、山本委員
〔議事概要〕
   1 開会
      ・大阪府府民文化部長あいさつ
      ・委員紹介
   2 議題
   (1)「『人権問題に関する府民意識調査』を今後の人権施策に生かす」について
       事務局から資料2にそって説明の後、質疑応答を行った。
   (2)その他 
       事務局から資料3について報告の後、委員から数点の質問があった。
〔配布資料〕
  ・資料2 「『人権問題に関する府民意識調査』を今後の人権施策に生かす」について
                      資料2 [Wordファイル/68KB] 参考資料 [Wordファイル/52KB]
  ・資料3  いじめ対策について 資料3 [Wordファイル/416KB] 参考資料 [Wordファイル/70KB]


〔質疑応答〕 別紙(○:委員、●事務局)

<別紙>
【資料2:「『人権問題に関する府民意識調査』を今後の人権施策に生かす」について】

○A 「これまでの取組みを踏まえた人権教育・啓発を」のうち、「子どもへの体罰など身近な事象を人権問題と認識している人は多くない」と記載しているが、子どもへの体罰ということを重点的にクローズアップすることが必要かと思うので、「など身近な事象」を削除していただきたい。
 また、昨今、学校での体罰に焦点があたっているが、府民意識調査では、保護者からの体罰も同様に6割ぐらいの府民が問題にしていなかった。学校だけではなく、保護者もあわせて体罰は人権侵害であり、子どもの人権尊重という視点からは大きく相反するんだということで、教育や啓発にぜひ取り組んでいただきたい。

● ご指摘の点については、「保護者によるしつけのための体罰、教師による指導のための体罰」についてと限定する方向で検討したい。

○会長 委員からの提案で、体罰の問題を府民意識調査の中に盛り込んだということだが、昨今の事態を見ると、これは非常に重要なポイントであったと再確認している。その点について何か補足する意見はあるか。

○A 例えば同和問題の解決のための人権教育・啓発や障がい者の方の人権の尊重など、様々な人権施策の取組みをしてきたが、人権意識の高い人が体罰は絶対反対だと思っているかというとそうでもない。同和問題に非常に意識の高い人が体罰を容認していることや、高齢者や障がい者の問題でも、相対的に人権意識の高い人が体罰については別の意識を持っている。そういう意味では、何らかの人権問題を取り上げて教育や啓発に力を入れたからといって、体罰が少なくなるかというとそうでもない。子どもの人権問題やDVなど女性の人権問題、同和問題、障がい者の人権問題など、それぞれ重点項目として、一つ一つ取り上げることも非常に重要だということが見えてきたので、この点についても配慮をお願いしたい。

○B 体罰を含むあらゆる暴力の問題、やはりDVの問題でも、子どもが親になると、しつけと称して暴力が振るわれてしまう。高齢者への虐待でも、施設でも何となく縛ってしまうことが、実は虐待なのに、それは仕方がないことだと言われてしまう。そして預ける側もなかなか言えないという難しい力関係がものすごく生じてしまう状況で、保育園でも、親が体罰をしているかもしれないが、そこに保育士が介入していけるかは難しいこともあり、暴力全般を含む社会的な取組みが何となく弱い感じがした。また、ホームレスの高齢者に子どもが暴力を振るうという事件が発生しているので、体罰だけでなく暴力全般の問題についての社会的取組みを中心に考えないと、人権問題はなかなか難しいかなと思う。

○会長 今のご意見は、体罰のほかにもう一つ、暴力や力関係による支配とかコントロールという構造があり、それが高齢者や障がい者、あるいはDVや体罰の問題などに現れているというとらえ方で、暴力そのものにどう迫っていくかが重要だという指摘かと理解した。

○C すべての人に対する暴力が差別の根源であり、人間の尊厳を卑しめるというか、なくすものだと思う。ここでは子どもの体罰だけを取り上げるのでなく、家庭内暴力や施設での暴力の問題、子どもへの虐待、女性に対するDV、高齢者に対する暴力、また、障がい者施設でも体罰とか暴力が行われているので、子どもに限らず、暴力が一番の人権侵害であるということをとらえて、まずは暴力をなくすことが人権を守ることの第一歩だということを認識していただきたい。

○会長 人権の取組みの中で個別の人権課題に即して取り組むという個別的視点からのアプローチと、普遍的な視点からのアプローチがある。これは法務省でも以前から言われているが、両者が相まって人権の取組みは効果を上げると言われてきた。個別的視点でそれぞれを独立したものと扱い過ぎたので、もっと普遍的視点、横をつないで総体として見ていかないと、個別的視点だけでは不十分かと思う。
 この調査結果を見て、今の意見も聞いて思ったが、従来、こういう教育や啓発の取組みをすると効果があるだろうという前提で、いろいろ施策を行ってきたが、必ずしも効果を上げていないものと上げているものとに分けられるということが一つの新しい気付きではなかったかと思う。そういう意味で、どういう取組みが効果を上げているのかを戦略的に伸ばしていくとともに、必ずしも効果を上げていなかったものについては、なぜそれが効果を上げなかったのかを分析していくことが次の段階につながっていくのではと思う。
 「インフォーマルな差別的情報の影響を弱める、なくす工夫を」の特に父母や家族から聞いたという情報が差別意識や偏見を強く規定しているならば、社会教育との連携をどうしていくのかが必要かと考える。
 また、「『交流』『協働』の条件整備を」の人権の視点で、被差別者の問題として交流や協働のことを考えているが、大阪府の行政の中でも、様々な部署で交流や協働は重要なキーワードとして推進されている。そういう交流や協働の中に人権の視点がどう貫かれているのかということを、人権室として全体を把握し、交流や協働が人権意識を高める方向につながる施策として展開されるということが重要かなと思う。
 さらに、「『逆差別』意識を払拭する取組みを」については、社会的弱者、マイノリティーはそのギャップを埋めるために、ある種特別な施策を受ける権利があるというのは国際法上も認められてきた。その前提でいろいろな特別施策が行われてきたが、マイノリティーであるにもかかわらず、必要な施策を受けていることを批判される、弱者いじめにつながるという構造は、例えば被災者が様々な支援を受けたりすることに対して被災者バッシングという形でも現れている。ネット上はそういう情報が随分あふれている。同和問題だけに限定された問題では全くないと思う。そういう人権の施策やある種の特別施策が正当性を持って行われているということがきちんと受けとめられるような施策の説明をしていかないといけない。

○D 「インフォーマルな差別的情報の影響を弱める、なくす工夫を」の今後の取組みのポイントの「差別的情報への気付きを促す学習を推進する」の中に、「メディアリテラシーの向上に取り組む」とあるが、具体的にどういう取組みを行うのか。

● 委託事業の中に人権総合講座というものがあり、その中でメディアリテラシー関係の講座を来年度設けられないかと考えている。

○D メディアリテラシーの必要性が一般的に認識されるようになった後、学校の先生方もゆとり教育の枠の中などで取り組もうと、メディアについて熱心に勉強されていた時期があったと思うが、今は、以前ほどには言われなくなってきているようだ。しかし、昨今の状況を見ていると、国語教育というか、コミュニケーションの教育の中で、改めてメディアリテラシーをきちんと扱っていかねばならないのではないかと思うことが多い。
 人権意識が高まることを願って書かれたニュースがネット上に流れることがあるが、それに反発する人たちのコメントが続き、すぐにネット上で炎上してしまうようなことが起こる。書き手が固有名詞で取り上げられ、身の危険を感じるような言葉を投げつけられることも多くなったようだ。ほんの10年、20年前だったら、ごく当たり前のことで納得できると誰もが思っていたような意見、たとえば在日の方々や障がい者の人権を守らなければいけない、といった意見が、ネット上ですぐに炎上してしまう。 また、同和地区の人は今も優遇され続けているのがおかしいと、なぜか確信をもって言う人が少なくない。ネット上の情報の中には正しいものもあるが、検証されていない、思い込みに基づいた情報も多く、それが感情的な反応に乗って、次々に蔓延してしまっているのかもしれない。メディアから流れてくる情報をどう受け止め、どうつき合うのかということを、新聞やテレビのみならず、インターネット上のことも含めて考えていかないと、家庭に入り込んでくる情報が、家族や友人からのインフォーマルな情報となって、若い人たちに想像以上に大きな影響を与え続けるのではないかと思う。
 また、DV問題については、携帯電話やパソコンなどのコミュニケーションのツールが、結果的に配偶者や恋人への精神的な束縛や支配につながっていて、中高生や若者たちの間で深刻な問題を引き起こしているという話をよく聞く。身近に使っている携帯電話や、そこで利用されているさまざまなソーシャル・ネットワーキング・サービスとどうつき合うのかを、きちんと生の声で伝える場をできるだけ多く設けて欲しい。

○会長 新聞社でNewspaper in EducationというNie運動を以前からやっていて、運動に加盟している学校が新聞を使ってメディアリテラシーを高める取組みをやっている。学校教育では、従来の暗記型の学習ではなく、国際標準の学力をつけるために、きちんとした言語力を身に付けて、情報やデータを批判的に考え問題解決につなぐような学力をつけるようにと一方では言われている。リテラシーを高めるとか、物事を批判的に見抜いて問題解決の様々なアイデアを提案し、プロジェクト化するような力を高めようというのは文部科学省が今、重点的に高めようとしていることでもある。しかし他方では、人権についての情報が出ると、それをバッシングするような形でブログが炎上するというようなことが起きている。インターネットによる人権侵害は、大阪府の重要な人権課題の中にも当然上げられているが、これをどうしていくのかという個別課題への対応でも極めて重要なことである。
私は昨年、北陸地方のいろんな小中学校を回って、人権教育の実情を調査したところ、教育委員会の方はインターネットや携帯電話による人権侵害に学校教育でどう対応するか、賢くつき合える力を育てないと、子供たちの人権の環境はよくならないと話されていたので、随分問題の状況や構造が変化していると感じた。

○E 私も大学で人権を教えていて、学生たちがネットに流れている情報を普通にコピー・ペーストしてレポートなどを提出してくる。ただ漠然とコピー・ペーストしたわけではなく、心の底から肯定しているようである。批判をすると、自分の表現の自由を侵害してくるつもりかと言われ、断片的な人権を勉強するとややこしい話になってしまう。そういう環境にずっとさらされ、批判なく様々な情報を受け入れてしまう柔らかさは持っているかもしれないが、まず受け入れた情報、特に文字情報を飲み込んでしまうという傾向が非常に強いような気がする。自分の中でフィルタリングしていく力をいかにつけてやれるかというのは、本当に低年齢からの教育にかかっている。私たち大学でも特にこの教育をやっていかなければいけないなと強く考えている。
 それとの関連で、「インフォーマルな差別的情報の影響を弱める、なくす工夫を」の「今後の取組みのポイント」の「「社会意識」「差別を支える仕組み」をテーマとした教材」の内容について教えてほしい。

● その件については、人権侵害につながる個人の意識が習慣や道徳、あるいは思想など社会的な関係でつくられていることを学び、偏見を差別的行動につなげない方法を考えるという教材を3月末までに作成する予定である。

○C 「「社会意識」「差別を支える仕組み」をテーマとした教材」は社会意識と差別を支える仕組みを肯定化するかのように捉えられるので直していただきたい。

● この点は訂正する。

○会長 委員の皆様に様々な意見をいただき、また具体的に文言の修正もあった。確定したものが府内各所に配布されて、これをもとに、どういう施策を実施するかの土台になるものなので、誤解を招くような表現は訂正が必要である。

○A これまでの学校教育など、人権学習などの取組みの中で、私はマイナスの効果と考えており、若年層の保守化とも関係するかと思うが、年代が下がるほど差別は、近い将来、なくすのは難しいという意識がある。差別をなくすのは難しいと思っている人ほど、同和地区や同和地区出身の人を排除する意識が高い傾向が見られる。学生たちからも、差別はなくなるのかという質問を受けるが、その時は、「一朝一夕ではなくならないかもしれないが、少しずつ無くしていくことができる、また、みんなでなくそうとする努力をしたら、無くなっていくのではないか」と答えている。社会意識や教材づくりなどについても、みんなで無くしていこうよというメッセージをぜひ発していただきたい。
 暮らし向きの良くない人のほうがそうでない人よりも「今でも優遇されている」という意識があって、自分たちも生活が苦しい、仕事も満足につけない、教育も十分に受けることができないのに、なぜ、同和地区の人だけ優遇されるのかという思いをずっと持っていたのではないかというように、暮らし向きと逆差別との関連が非常に顕著に見えた。そのため、差別と、例えば生活困難とか貧困というのが結構関連しているところもあるので、差別をなくすのと同時に、まさにコミュニティーの再生というか、みんなの暮らし向きをよくするような取組みをしていくんだという積極的なメッセージや情報をぜひ発信していただきたい。

○会長 今の意見は、ただ単に社会意識や差別を支える仕組みをなくしていく教材をつくるだけでなく、問題解決の展望を持てるようなということを表記すべきという提案だと思うが。

● はい、表記させていただく

○F 市町村では同和地区の有無により、かなり同和教育に対する温度差があるなと感じており、交流、協働、同和地区の皆さんとの関わりがあるか無いかにより、偏見の度合いが違ってくるということを市町村でもなくしていかなければならないと思っている。「みんなでなくす」という合い言葉を通じて、格差をなくすということを一番に取り上げていただきたい。

○会長 格差をなくすという、先ほどからの議論の流れでいうと、ただ差別ということだけでなく、世の中の格差の是正をしていくという大きな枠組みの中で展開しているんだということを施策展開するに当たりきちっと出していくということかと思う。

○G 私も現場で仕事をしている中で見るのは、暴力を振るう親がどういう対応をするかというと、自分は暴力を振るっていませんといって、暴力自体を否定するという方も中にはいる。しかし、多いのは確かに暴力を振るっていたが、それはしつけとしてやっていたという人である。結局、暴力がいろいろな問題の根源にあるという中に、理由がある暴力であれば許されるという認識が根深くあるのかなと思う。愛情を持った暴力であれば許される、体罰の問題もそうかと思うが、どんな理由があっても暴力を振るってはいけないという、暴力の根絶、撲滅するという意識を強く持っていただく必要があるのかなと思う。

○会長 先ほどからメディアリテラシーが話題になって、若年層の保守化傾向や差別的な情報をなかなかうまく見抜けない若者がいる中で、そういう人たちに例えば法律をわかりやすく伝えていくとか、法に基づいて思考や判断、行動できるようにするために、弁護士間での取組みや問題意識があれば教えていただきたい。

○G 大阪弁護士会では、ホームルーム活動と言って、中学校や高校に弁護士が行って授業を担当させていただいている。高校ではわりと関心高く話を聞いてくれるが、中学校では少し難しいかなというのは感じるので、それはテーマにもよるのかもしれない。弁護士がそういう授業に行く場合は、学校から依頼されたテーマで話すこともあるので、早くから法律に関する知識や人権意識を持っていただくよう取り組んでいる。

○会長 私は文部科学省の人権教育の調査研究会議の委員もしているが、文部科学省の方針の中にも明記されている弁護士と協働で人権教育の取組みの一環として法教育を推進するということ抜きにはきちんとした市民感覚や市民意識を持った大人に育っていかない。弁護士が学校で研修を行うときは、単発で実施するのか、それとも、高校の法教育の中に取り組まれて実施しているのか。

○G 学校のカリキュラムの中の取組みの一つとして実施する場合もあるが、どちらかというと単独で実施することが多い。

○H 暴力は理由があれば許されるという話があったが、特にインフォーマルな形で抱かれている信念が合理性に欠ける部分があって、感情に支配されている部分が強く、二者択一的な思考で判断されていることが多いのではないか。体罰も愛情があればいいのではと言うが、実際には体罰をしている瞬間に愛情は無く、こうあって欲しいと考えるときに愛情が介在し、そのこうあって欲しいという姿に反した時に暴力を振るってしまう。この過程には、愛情が含まれている一方で、自分の都合も含まれているということがある。結局、愛情も自分の都合も何割かあるという状況がある中で、二者択一的にすごく割り切って考えてしまうと、愛情があったからという理屈が通るのかと思うので、できるだけ合理的に考えるということと、二者択一的な単純な割り切り方みたいなものをもう少し見直す必要があるというのは、昨今感じている。

○会長 このようなことを教育プログラムの中に盛り込んでいくことは可能か。

○H 教育プログラムに取り込んでいこうとすれば、指導する教員自体の力量が必要で、それをつけさせるのが私が所属する大学の仕事なのだが、なかなかそう簡単ではないが、やっていかなければならない課題と認識している。

○会長 今まで、教員経験を持った人たちの経験値で伝えていく枠組みで行ってきた教員研修が多かった。例えば、そこに臨床心理の専門家の知見や法律の専門家の考えが入ることで、教育プログラム自体がより水準の高い効果のあるものになっていく可能性はあるかと思う。学校教育にしても社会教育にしても、プログラムを作るときにそういう幅広い異分野の専門家の知見を入れて、本当に正しいのかということを検証するところは、今、決定的に弱い気がする。広い視野で、単に体罰を体罰ととらえるのではなく、暴力という構造を愛情で正当化するような論理とどう向き合っていくのか、そういうところに共通項があるというご意見が随分多く出たので、今後こういうことを大切にしていきたいと改めて思った。

○B 虐待や子どものいじめの問題で、最終的に非常にうつの状態になってしまったり、PTSDになったり、あるいは自分が悪いと思い込んでしまったり、だんだんと自分は社会にとって無用な存在でないかと自殺に追い込まれたり、差別や暴力を受けたり、いじめに遭ったりと、被害を受ける側はどう感じているのかということをもう少しアピールしていくプログラムが非常に重要だと思う。

○会長 非常に貴重な意見をいただいて感謝する。文章の一部や具体的な修正の提案もあったので、それらも加えて活用してもらいたい。

【資料3】 いじめ対策について

○会長 相談カードが配布されて、「すこやか教育相談24」や「すこやかホットライン」等に子どもからどれぐらいの件数の電話がかかってくるのか。

●教育委員会 「すこやか教育相談24」は、昨年9月から12月までは合計905件。そのうち、いじめが85件。参考までに、昨年度の同時期が366件、そのうち、いじめが22件であり、昨年度よりも相談件数が539件、いじめの相談件数が63件増加している。
 「すこやかホットライン」は、昨年9月から12月までが合計1,142件、そのうち、いじめが84件。昨年度の同時期が881件、そのうち、いじめが32件。昨年度より261件増加、そのうち、いじめが52件増加している。
 また、「こども家庭相談室」は、昨年9月から12月で合計208件。そのうち、いじめが11件。昨年度が139件、そのうち、いじめが6件で、昨年度より69件増加、そのうち、いじめに関する相談が5件増加している。

○会長 相談があれば、どんな対応をしているのか。

●教育委員会 いじめの内容について教育委員会に情報提供していただき、その取組み内容について市町村教育委員会、府立学校に対して問い合わせ、もしそこで取組みが不十分なようであれば、指導し、支援をしていくという形で対応している。

○会長 何か具体的な課題解決につながったようなケースもその中に含まれているのか。

●教育委員会 いじめについては、今現在、相談がある前から市町村教育委員会を通じて重篤な事案等については、府教育委員会に報告があり対応しているが、実際、いじめ事案が把握されていない状況の中で、相談窓口からの情報提供により、学校に確認し、すぐに対応したという例も実際にある。

○A 今のいじめは、加害者と被害者がはっきり分かれておらず、いじめられていた生徒が、今度は加害者になったり、あるいは加害者がいじめられたりなど、関係が流動的に変化している。府の取組みの資料を見ても、今いじめられている子どもさんが相談するということについては、いろいろ取組みをしているが、いじめている子どもさんも、友達関係や家庭状況など、いろんな問題を抱えている場合もきっとあると思うので、どういう取組みをしているのかお聞きしたい。

●教育委員会 いじめの加害者については、その加害の背景にいろいろな生活の要因や生育歴がある。こころの専門家のスクールカウンセラーとともにスクールソーシャルワーカーを市町村に派遣しケース会議を行い、本人の支援だけでなく、保護者の生活環境を変えないといけない場合はケース会議を行い、関係機関とどういう支援ができるのかについて指導をしている。

○C 今聞いた件数では、いじめの事象が1割か1割未満の数だったが、電話するのはかなり勇気が要ると思うので、それ以外にどのような相談事で電話してきているのか。いじめをどういうふうに定義づけするかによって、いじめに当たるか、当たらないのかに分けているのかもしれないが、体罰や身体に対する虐待だけをいじめと解しているのか、それとも言動によるいじめも入っているのかも聞かせていただきたい。
 あと、905件ある中で、いじめが85件しかないということは、その他は何なのかを聞きたい。

●教育委員会 「すこやか教育相談」にせよ、「すこやかホットライン」にせよ、今一番相談が多いのが保護者からの相談である。その中でも多いのが不登校に関する相談や学校生活に子どもが馴染めないなどの相談が一番多い。
 子どもからの相談では、交遊関係、学校生活の悩みが続くが、保護者に比べて数は少ない。

○会長 905件のうち、子どもからの相談件数はどの程度の割合か。半分もないのか。

●教育委員会 半分もない。

○会長 保護者が多数という感じか。

●教育委員会 はい、そのとおり。

○会長 今までの説明のように、いじめの加害者、被害者それぞれに対して具体的な取組みを行っているということなので、引き続きよろしくお願いしたい。
 また、事務局においては、今後事業を進めていくに当たり、今日出された様々な意見を十分に踏まえていただくようお願いしたい。


このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 企画グループ

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