第24回審議会

更新日:2023年3月8日

第24回大阪府人権施策推進審議会

(と き) 平成23年1月27日 木曜日 午前10時から11時50分

 

(ところ) プリムローズ大阪 2階 鳳凰東

 

(出席者) 市川委員、上田委員、加地委員、神原委員、中井委員

西村委員、萩尾委員、畑委員、平沢委員、藤井委員

 

(議事概要)

1 開会

・大阪府府民文化部長挨拶

 

2 議事

事務局から、説明、報告の後、意見交換を行った。

(1)     人権問題に関する府民意識調査について(速報)

(2)     大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例の一部改正案(概要)について

(3)     その他

 人権擁護士養成事業について

 

(配布資料)

・人権問題に関する府民意識調査について(速報)
 
調査概要 [Wordファイル/81KB] 
 
「人権問題に関する府民意識調査(抜粋)」《単純集計・速報》 [Wordファイル/1.82MB]

・ 大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例の一部改正案(概要) [Wordファイル/55KB]

・ 人権擁護士養成事業について [Wordファイル/36KB] 

 

 (意見交換)
 ○:委員  ●:事務局及び大阪府関係課

(1) 人権問題に関する府民意識調査について(速報)
○A:府民意識調査のサンプル数は、これまで7,000ぐらいだったが、今回2,000ということで、かなり少なくなっているのはどういう事情なのか、また、サンプル数を減らしたことによる分析への影響ということは考えられるのか。
● :現在、庁内の調査では、サンプル数は一般的に2,000から3,000ぐらい。専門家の意見も参考に、2,000のサンプル数で府域のデータをとるには最小限可能であるということや、予算上の制約もあり2,000で行った。前回7,000のときは、枝問という形でかなり詳細に分析、さらに分析という形で深く聞いたが、今回はなるべくシンプルな構成でということで、少ないデータでも状況が把握できるように努めた。
○B: 府民意識調査のアンケートで、同和問題についての傾向を教えてほしい。また、我々はアンケートで一番関心があるのは、最後のほうの自由記述欄に市民の皆さんがどういうことを書いているのかということであり、取り上げるべき内容のものがなかったのかどうか。
●:回答者の方に「同和地区に対する差別意識は残っているとお考えですか」と聞くと、7割近くの人が「あまり変わらず残っている」とか「薄まりつつあるけど」と答えている。そういう意味では、差別意識を解消するための取り組みは今後とも必要であると。ただし、その中身を分析して、年代の高い方がそう思っているのか、あるいは若い世代の方もそう思っているのか、その辺は啓発との関連で見ていく必要がある。全体的な印象としてはやはり7割近くの方が同和地区問題に対して何らかの差別意識がある。なぜ、そうした意識が残っているのか聞くと、「昔からの偏見とか差別意識の無批判な受け入れ」という回答が多い一方、具体的にえせ同和行為とか、行政から優遇されているんじゃないかとか、そういったことを懸念してマイナスイメージを持っている方もいるので、それは行政としてメッセージの課題であると認識している。結婚についても、同和地区の人かどうかを気にしますかと聞くと、2割程度の方が気にすると回答しており、この傾向はずっと変わっていない。自由記述についても、せっかく書いてもらった生の声なので、できるだけ生かし施策につなげていきたいと考えている。
○C: 今後、これを年代とか性別等とのクロス分析をすることや、過去の調査と比較して経年変化がどうなのかとか、そういうトータルな分析をして報告書がまとまるのは大体いつ頃かということを伺いたい。また、この調査であらわれた特徴的なことに対して施策の戦略をどう立てるのか、施策へどう反映させていくのかについて、今、どんな見通しなのか。
●:3月末に単純集計プラス年代、過去、経年比較について報告をする。4月以降もデータをみんなで研究していきたいと思っている。特に人権学習であるとか、啓発対象であるとか、メッセージの出し方であるとか、確実に府民の方々に届くメッセージで人権啓発、検証を行っていく必要があるので、その辺の観点からまずは研究していきたいと思っている。
○C:同和地区の人々が地区外の人々との交流に力を入れているという点については、かなりいろんな取り組みが実際にはされていて、2年ほど前の同和問題解決推進審議会でも、地区と地区外との交流あるいは協働ということが差別意識を克服する上で非常に重要なので、大阪府として同和問題解決に向けて、特に協働という人権のまちづくりということに重点を置くと提言している。ところが、現実にはこの意識調査結果で見ると、極めてそういう認知度が低くなっているというのは、かなり重要な意味を持つ項目かなと思うので、そのあたりの実態とのずれが非常に大きいものや、府として重点的にやろうと既に打ち出したにもかかわらず、いまだにこういう認知度にとどまっていることは、かなりゆゆしき課題かと思う。
○D:アンケートのサンプル数は全く予算がない中で、ほんとうに2,000がぎりぎりということでやむを得なかった。ただ、大阪市もほとんど同じ項目で調査をしていて、大阪府と大阪市のデータを全部突き合わせをしたら、ほとんど有意差がなかった。ごくわずか基本属性で、大阪市の対象者の方がやや低年齢の方が幾分割合が高いこと、それから、未婚者の方が若干割合が高いということがあったが、回答傾向はほとんど有意差がなかった。できれば基本的な属性の男女差、それから年齢差や職業の差、居住地域などについては、大阪府、大阪市でそれぞれの分析結果や報告をまとめられたらいいと思うが、より詳細な分析、例えば先ほどの自尊感情が差別意識とどうかかわるのかとか、これまでの人権学習の体験がほんとうに差別意識を弱めて、逆に人権意識を高めることになっているのかどうか。あるいは、人権意識を高めようとすれば、どういう学習を行えば効果が上がっていると考えられるのかといったような、より詳細な分析をこれから進める必要があるが、そういった分析は双方のデータを合わせると約1,500ぐらいのデータになるので、それで分析を進めてはと提案をさせていただいている。報告書ができたらそれでおしまい。報告書がほとんど施策に生かされた形跡がないままに、お蔵入りになってしまうケースを結構見てきている。税金を費やして千何百人の方々に調査協力をしてもらっているので、できる限り協力させていただこうと思っている。同和地区の人々に対して、マイナスというか偏見の意識が悪循環として温存される何かメカニズムがありそうだと感じられるので、そのあたりのことをデータで可能な限り明らかにした上で、施策に生かしていただきたいと思っている。それから、この調査結果をぜひ今後の人権学習とか啓発に積極的に生かしていただきたい。データを読み切る、深く読むことを習得していただきたいと思う。このデータから何が読めるのか、どこに課題があるのかということをとことん研修などで明らかにし、報告書を1年かけて庁内で十分に学習しながら、啓発、研修に生かしていただきたい。
●先に指摘のあったサンプル数は以前は7,000本とか1万本とか非常に多かったので、府議会でも他の調査と比較して多すぎるのではという議論もあった。そのため、適切なサンプル数の水準について検討したところ。庁内の他の意識調査でも2,000本で実施している実績もあり、この数値が標準的かと考えている。資料を有効に活用にしていくため、ご意見を伺いながら作成していきたいと考えている。
○E: 意味のあるアンケートであるかどうかということをまず確定しなければならない。そういう学問的なステップを踏んでいるかどうか、ちょっと疑問。統計学の方に質問の順序を立体化させるということをきちっとやってもらうことが必要ではないか。また、幼い子供たちの場合は、能力の差が差別問題につながりやすいところがある。この能力差という本源的な問題と差別問題とのかかわりとか、それをどういうふうに調整したらよいかを考えていかないといけない。このアンケート調査でも、これは単なる能力差の問題ではないかという質問もある。
○D: 一応、統計学的なことは検討させていただいた。ただ、個々の質問項目について、統計学上に意味があるのかどうかということについてのふるい分けは分析の中でさせていただいて、今後に生かすように問題提起をさせていただこうと思う。
○F:自分が例えば差別される側になるであろうというふうに、自分の身に引き寄せやすいことについての人権意識は高い。実際に犯罪被害者の権利意識は高くなっていると思う。だから、なかなか自分の身に引き寄せにくい項目について、もっともっと人権意識を高めていくような取り組みというのが必要なのではないか。
○G:2000年から比べると、回収率のポイントが10%以上落ち込んでいる。このこと自体が既に人権に対する意識の変化というか、低下ということをあらわしているのか、もう少し何か物理的な広報の問題だったりという外的な理由があるのか。設問の中で自尊意識とか社会とのかかわり方というのがあり、これと今回の人権問題に対する意識ということが、自分が大事にできる人間が人権をどういうふうに考えているかということが前提になるかとは思うが、見たときにこの設問に関してはすごく違和感があった。これまでこの質問をしてきたのであれば、過去の分析の中で相関関係はあると、何か見出せるものがあったからこの質問をしているのか教えていただきたい。
●:プライバシー保護の観点から、府では誰から回答をいただいているか把握できない。本来、予算があれば回収期間中にもう1回全部の方々に、調査票も含めて改めて送れば、回収率は上がると思う。過去はそうしていたが、今回は予算の制約もありそれができなかった。今回は礼状も兼ねたはがきで、もし提出していなければお出しいただけませんかということで再送付している。自尊感情のほうは、専門的見地から過去からずっと入れている。どういう方々が人権意識が高くてアクションを起こすのか、セルフエスティームというのが1つのポイントになると聞いている。今回も継続してこの質問はあったほうがよいだろうということで入れている。
○U: 設問の内容について、整理された結果に基づいて工夫できるものなら工夫していただきたい。せっかく調査しても、それが行政に反映されないと意味がないし、回答していただいた方はもちろんだが、わかりやすくその結果を府民に知らせていただくよう広報につとめていただきたい。

(2) 「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」の一部改正案(概要)について
○B:条例改正について、関連業界が存在しているので、その関連業界の自主規制を促す意味でも、条例上に自主規制の法的根拠が必要ではと思う。届け出制は無理にしても、自主規制の法的根拠を設ける方向で検討していただけたら思う。
●:土地調査そのものが社会的責任が大きいという部分はあるが、やはり罰則までいかないという部分もあるので、その軽重から考えて、自主的な規制というのは業界みずからで取り組んでいただくのがいいのではないかということで、今回は条例までには規定しないと考えている。
○B:条例に法的根拠があるのとないのとでは、大分違うと思う。いわばその行政指導に法的根拠があるのとないのとでは業者に対する事実上の圧力とか、効果の面で違いがあると思うので、自主規制の法的根拠は設けたほうがいいのでは。
○H:コンピューターなどを利用する結婚紹介業が大変隆盛だと聞いている。結婚紹介業者は、大手から個人経営まで全国に3,800ほどあり、その業界がテレビコマーシャルを流したいということで、民間放送連盟にCM解禁の申し入れをしているそうだ。こういう業界が隆盛しているのに伴い、国民生活センターへの苦情とかトラブルの相談が非常に増えているということも聞く。高度な個人情報を扱う結婚紹介業とか、インターネットによるマッチングを行う業者の問題などについて、行政はどういう姿勢で取り組んでいるのか。
●:最近の動きとしては、中小企業の方々は、大阪府の消費者保護条例に基づいて適正な取り扱いをしますという業界の内部規制の仕組みを大阪府に届け、公開する仕組みを設けていて、一部の結婚相談業、結婚仲介業の協同組合の方々が、我々はこういうルールで個人情報を取り扱いますといったアピールをしていて、行政が規制するのではなく、我々は安心して使える業者ですという仕組みをつくり上げている。また、その他の業界の方もそれに準じた取り扱いに向けて、いろいろ作業をしていると聞いている。

(3) その他(人権擁護士養成事業について)
○U:人権擁護士は全国で大阪府が初めてつくった制度で、この活用を期待している。当制度は社会的に認知されないと、なかなか活動しにくいと思うので、マスコミにもPRをして、こういう活動をやっているというのをぜひ紹介してほしい。
○C:この審議会で2001年に人権施策推進の基本方針というものをつくっているが、10年経過して、国際的にも人権教育や啓発にかかわる体系的な考え方や研修のあり方等の状況が随分と変化したりしているので、今後、どのような段階で人権施策推進にかかわる基本方針等の大きな枠組みの見直しのようなものを考えていくのか、何か考えや見通し等があったら伺いたい。
●:この10年計画に基づいて人権施策を行ってきて、今ちょうど後半期に差しかかっているところで、この進捗状況、それから今回の意識調査とかその他、研修で見えてくる課題もあるので、国連などの状況も勉強させていただきながら、当面、この計画の着実な進捗を取り組んでいき、今後は審議会やその他議会とかそういうものを含めて、ご意見をいただきながら考えていくかと思っている。現時点では、後半につながっているこの計画の中の特に公務員の人権研修についてより一層力を注いでいきたいと考えている。
○U:国連の世界プログラムが提案しているように、私どもが基礎教育を行えといった後、国連が世界プログラムの中で基礎教育の重要性を説いた。それを受けて、中学校、高等学校、大学、公務員というように広げてきているのが国連の動きなので、学校現場の先生に世界プログラムの意義を紹介していただきたい。府立の各学校の先生もあまり知らないのではないか。国連が今、世界プログラムの第2段階を強く強調していることをぜひ学校教育関係の現場でも受けとめていただきたい。
○:世界プログラムについては、いろんな研修とか、さまざまな機会で意識して行っているが、実際、これを各学校現場でほんとうに届く形で有効にどう進めていくかということについては、ご指摘のとおり、まだまだ課題はあると認識している。今のご指摘を受けて、具体化に向けて今後も取り組んでいきたいと考えている。

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 企画グループ

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