第20回審議会

更新日:2023年5月11日

第20回大阪府人権施策推進審議会


(とき)平成18年12月19日火曜日
午後1時30分から午後3時30分


(ところ) プリムローズ大阪 3階 高砂

(出席者)入谷(桂)委員、上田委員、大國委員、加地委員、川島委員、中野委員、萩尾委員、平沢委員、
福田委員、藤井委員

(議事概要)

1 開会

・ 大阪府政策企画部長挨拶

・ 委員紹介

2 議事

(1) 大阪府人権施策の状況について

・ 事務局から、大阪府人権施策の状況について説明、報告を行った。

(2) 人権相談・救済システムについて

・ 事務局から、人権相談・救済システムについて説明を行った。

3 意見交換  〔 ○:委員 ●:事務局及び大阪府関係課 〕

  ○A:「地区別PTA指導者セミナー」は1時間につき16万9,000円かかる研修ですが、どういう内容でこんなに高いのですか。

  ●まず地区別というのは7ブロックあり、7ブロックで2時間ずつという開催になっております。ですから単純に7で割っていただいた単価で開催しています。今後は箇所数などを明記した形で書きたいと思います。

  ○A:「人権教育セミナー(社会教育編)」の場合も、全体で12時間ですからトータルと思いますが、252万円である。1時間について21万円もするが、どういう研修ですか。

  ●これに関しましても、実際の研修と同時に資料配布であるとか、その研修の修了者がブロックへ出向いていくというようなことなども入れております。この12時間の中にはそれは含まれていませんので、その辺の
記載の仕方が不十分であったこと、また今後の資料の中には反映させていきたいと思います。

  ○A:「人権啓発冊子『ゆまにてなにわシリーズ』」は、平成17年度は4万部で362万円、1部90円見当ですが、18年度の予算は、内容が左に同じ、かつ4万部の部数も変わらなくて、956万240円になっているのはなぜですか。

  ●書き方が適切ではありませんでしたが、18年度はかなり充実した中身ということで検討しておりますので、予算も上がっています。

  ○A:資料の問題として指摘しているのです。研修なども何カ所かしたせいもあるかもしれないが、1時間当たりのコストが非常に高く、全体にお金がたくさんかかっているという感じを否めないと思う。細かいところを挙げればきりはないが、一応代表というところだけ申しました。
    次は評価の件です。これは全部自己評価ですが、自己評価は意味がない。「いじめ・不登校対策事業」と「子どもサポート推進事業」、この2つの自己評価は、同じことを言っている。また、
「児童虐待危機介入援助チーム設置事業」の自己評価と、「児童虐待対策(早期家庭復帰)」の自己評価とほとんど変わらない。ただ形式的に、精神医療と専門家の意見を取り入れることができたと書いてあるだけのこと。
    それから、「児童虐待対策(緊急対応等基盤整備事業)」のところの「緊急出動用車両」というのはどんな車ですか。

  ●緊急出動用車両とは、現在大阪府内に6カ所子ども家庭センターがあり、児童虐待への対応で緊急に出ていく場合が多々ありますので、各子ども家庭センターに車を配置し、それを使って児童虐待に対応していくという事業です。

  ○A:タクシーを使ったらいいのでは。ガラスが特別に丈夫であるとか、特殊な車両ですか。

  ●車両自体は通常の公用車という扱いで、一般の車両と同じです。

  ○A:それでしたら、別にタクシーを呼んでも同じことではないですか。なぜ置かなければならないのか。

  ○B:私は児童虐待の関係で、児童虐待危機介入援助チームの委員にもなっております。ご指摘のタクシーで足りるかどうかという点については、夜間の緊急一時保護などのときに、保護者と非常にもめていたり、中には暴力的な場合もあるので、そういうときにタクシーで用が足りるのかどうかと言うと、そこは疑問です。また傷ついたお子さんをケアしながら保護の場所まで運ぶということについて、タクシーではなく、そういう人用の車両を確保することは必要ではないかと思います。この車両について、私も府のほうの実態はわかりませんけれども、ほかの施設への子どもさんの移送などにも利用されたり、子ども家庭センターでの各種の必要な場合に
使用されているのではないかと思います。

  ○A:では、徹夜で宿直要員を置いて、この車両のために特別の要員を置くほど、きちんとやっているのですか。

  ●夜間休日の体制につきましては、本年度4月より24時間通告受理体制ということで、児童虐待の通告がありましたら、中央子ども家庭センターが受けまして、その管内の各子ども家庭センターへ携帯電話等で連絡がとれるようにしております。状況によりますが、緊急に出動する場合は、各子ども家庭センターの車を使える場合は使いますし、タクシー等で対応するという場合もあります。その場その場ということで臨機応変に対応しておりますので、必ずしもこの緊急車両だけを使っているということではなくて、両方とも活用しながら児童虐待の対策に努めております。

  ○A:わかりました。車は結構ですけれども、自己評価に「緊急出動用車両などを、迅速な安全確認や児童の緊急保護に役立てることができた」とあるが、これは初めからそういうことをするということを書いてあるだけで、評価になっていない。これは一例で、ほかにもおかしな評価があります。すべきなのは第三者評価、それもこの人権関係に全く関係のない人がやるべき。客観的第三者の評価があって初めて評価となるのであり、これは自分で書いて自分で褒めているか、事業内容と同じことを繰り返し書いているだけ。評価という点を入れられたのは、私が多年言ってきたことがやっと出てきたのでよかったのだが、この点が非常に不満です。

  ○C:評価というのは、できなかったことを含めて評価をしないといけない。これでは全部総花的に
自己満足評価です。ですから厳正に反省してやるべきだと思います。

  ●委員ご指摘のとおりですので、客観的評価に耐えられるような考え方を今後整理してまいりたいと思っております。

  ○A:人権基礎教育について丁寧にやることについては大変いいと思いますが、その中で、人権教育担当者に対してまず府からいろいろおっしゃったとあるが、人権基礎教育は人権教育担当者だけの問題ではない。
教員全員が、普遍的な道徳教育をするということが人権基礎教育であるという意味で言ってきた。ですから
普遍的な道徳教育をする場合に、人権教育担当者を通すと非常に制約された形になるように思う。教科の中における、道徳教育という問題とのかかわりの中で人権基礎教育というのを考えるべきではないか。人権教育という形でしても、一つも効果が上がらない。その原因として、人権教育という非常にレベルの高い教育の前に、人間として「人の道」という、普遍的な人間の基礎的な道徳ということを養成しない限り、いくら人権教育を言ってもだめだということ。普遍的な道徳教育をどうやって行うかということをすべき。

  ●確かに人権教育は、「人の道」ということをまず基礎の段階で幼少期から教育するということが非常に重要であるというご意見があり、もっともなことと考えております。それを学校教育の中や、学校以外の教育でもやっていくことは非常に重要であると考えております。人権は西洋から入ってきたものですので、やはり日本的な考え方との整合等も考えつつ進めていくべきではないかと考えており、大阪府の人権教育推進計画の中でも、幼少期から「人の人たる道」を教えていくという言葉を入れております。

  ●そういうご指摘を昨年度もいただいており、平成16年度作成した事例集につきましては、全小・中学校および幼稚園、保育所等にも配布し、特に幼少期あるいは小学校低学年における人権の基礎づくりの部分につきまして、市町村教育委員会等にヒアリング等を通じて周知を図ってまいりました。今年度の夏のヒアリングにおきましても、そのあたりも聞き取りした中で、何らかの形ですべての小・中学校の市町村教育管内で研修あるいは周知等を図られているということを把握しております。
   それから、私学のほうは教育委員会の所管ではありませんが、人権教育の担当者のほうにお話をさせていただいております。直接的には校長研修、教頭研修、それから市町村に対します府教委の要望事項などにも、人権基礎教育の周知ということでお願いして入れていただいた部分と、人権教育として市町村の
人権教育主管課長会等での周知、それから府のほうの人権基礎教育担当者が、これは昨年度実績で言いますと20市町村ほどですが、教職員研修等に直接出向いて、人権基礎にかかわるテーマでの研修等も指導もさせていただいております。
   ただご指摘のとおり、人権基礎教育がどのように展開されているかという点については、実際には道徳の時間などの具体的な授業の中に取り入れていただくようにお願いもしており、実践の事例も少しずつ広がりを見せているのではないかというふうに把握しております。さらに今後とも具体的な実践が広まりますように、すべての学校教育の活動の中で、いわゆる道徳教育の中にも位置づけながら進展しないといけないということは認識しております。

  ○C:平成16年から人権基礎教育ということを明確に打ち出しているのは、恐らく全国で大阪府だけではないかと思う。今、低学年の児童の間で殺人事件まで起こっており、改めて、幼い子どもの心の教育、命の教育などということが言われているが、大阪府ではもう3年前からやっている。3年もやってきたわけですから、
自己評価においても何らかの成果が上がっていなくてはいけないわけで、そうした点についてもこういう場で
報告していただきたい。こういう伝達をしましたとか、研修をやりましたということだけでは成果にならない。ぜひ次回から、課題がどこにあるか、この点はうまくいかなかったとか、具体的な評価をはっきり出して報告をしていただくように。人権基礎教育ということは、画期的な人権教育の問題提起であったと思っています。せっかくの問題提起をむだにしないようにお願いしたいと思います。
   人権というのは今は北風が吹いているわけです。こういうときには全体的に、人権教育は後退していくが、こういうときこそ頑張ってほしい。今北風が吹いてるけれども、考えようによっては本来のあるべき人権教育をやるチャンスのときでもあると思うので、基礎教育などを旗印にして、ぜひ内容を充実していただきたい。

  ○D:自己評価という項目が加わったのは大変いいことだと思いますが、紋切型の表現が非常に多くて、正味の自己評価としても弱いのではないかということが1点です。自己評価は、大学等でも今、それぞれ個別に
自己評価をして、学部別でもして、第三者評価もして、といろんなレベルで評価をする時代になっていますから、やるべきだと思います。ただ、府のさまざまな部署からそれぞれの取り組みについて出されてきた
自己評価を、府の人権室あるいは推進本部などが全体を鳥瞰して、特徴的な成果や課題などを大きな視点でみる必要があるように思います。将来的には第三者評価も加えていくのはよいと思いますが、こういう個別の自己評価と第三者評価とは隔たりが大きいので、いずれ第三者評価に持っていくためには、人権室など府の中で、ミドルレベルの評価というものをする必要があると感じました。
   それから、最近私が感じている問題意識があります。1つは、2007年から団塊の世代がやめていき、大量の人員異動という時期を今から迎えようとしており、学校、府の職員、人権に関係しているさまざまな府内の
機関等でも、同じ問題があります。そういう状況の中で、ただファシリテーターを何人育てたとか、参加体験型の取り組みをいろいろやったというだけでは、非常に不十分ではないかという気がします。つまり、学校教育や府の人権行政の中で、蓄積してきた今までの知識、スキル、実践のあり方というものを、どう次に継承していくのか、という観点に立っての課題や方向性を打ち出す記述が、この審議会に出される報告の中にあってほしいと思うのです。
   もう1つは、既に人権や社会教育にかかわるさまざまな施設が民間委託されたり指定管理者に移っているという動向を府としてどう見ていくのかということです。府内でも市町村によっては、委託という形で人権関係のNPOに多額のお金を出してるところもあれば、全然出してない自治体もあり、府内の各市町村でも、
指定管理者との関係のあり方とか委託の仕方での戦略に違いがあるようです。そんな中で府として、特に
人権にかかわる指定管理者の指定や、あるいは民間委託というのを進める上で、基本線としてどういうものを持ってやるべきだと考えているのか。
   例えば、1つのアイデアとして、人権や社会教育に関するものを、仮に指定管理として民間あるいはNPOに委ねたときには、指定管理を受けたところの人は必ず社会教育主事講習や人権に関する研修を受けなさいということを条件として入れていくということがあります。コストの論理だけでどんどん民間委託されていくと、
人権とか教育の視点というものが確実に薄まっていく。協働と言えば聞こえはいいが、本当に全く丸投げしてしまって、無責任なことにもなりかねません。他方では、今までの同和行政なり同和教育などの取り組みの中でも、その地域の人々が主体的に人権の時代を担って、プロジェクトを立ち上げたり、指定管理を引き受けたりできる力量を備えた地域が府内にどれだけ育ったんだろうかと思うと、私は非常に弱いという気がします。この間起こった一連の問題というのは、とにかく運動団体にお金を出しときゃいいだろうという無責任で起こったこと。でもこれからはそういう地域の当事者をも育てて、事業を担える主体に育てていくという観点が府としては必要だと思う。そういう意味でも、2007年以降の大量の構造的な人員の入れ替わりを見越して、知識、
スキル、ノウハウをどう継承していくのかという戦略と、民間委託や指定管理者との関係においてどう考えるのかということを、この審議会で府としての考えも出していただいて議論していきたいと思いました。
   2点目は、「ゆまにて」という教材ですが、非常にいい内容だと思います。金額が急にふえて、内容の充実を一層図るという説明でしたが、これを3倍4倍のお金をかけて4万部つくるよりも、どう活用するのかということをもっと考えたほうが意味があるのではないかと思いました。この教材がいいと思ったのは、ただ個別の
人権問題についての最新情報を整理してあるだけではなく、それに先立って、生命の尊さ、気持ちを伝える、自尊感情を育てる、固定観念に気づくというような、人権を扱うときの基本となることが明示された上で
個別問題が丁寧に扱われているからです。また、個別問題の中にセクシュアルマイノリティの問題とか、最近新たに起こってきた諸問題がきっちり触れられています。ぜひこの活用を考えていただきたいと思いました。そう思い、以前つくった人権施策推進基本方針、人権教育推進計画、を見て気づいたこととして、
人権施策推進基本方針を立てたときには「労働」という項目があったのですが、人権教育推進計画には労働のことが全然出てこない。ところがこの「みんなちがって、みんないい」の冊子には労働が出てくる。あるいは
人権教育推進計画の中には、婚外子の問題とか中国からの帰国者ということが出てくるが、こちらの教材には全然出てこない。要するに基本方針を立てた時点で設定した一連の問題群から、その後随分時間がたって新たな問題が登場して、府が出される一連のものに扱われる問題群が登場したりしなかったりということが起こっている。これは精査していただいて、すべてにおいて共通で扱っていただきたい。
   もう1点は、人権ケースワーカーに関して、人権ケースワーカーを養成して設置していくということは、基本的にはいいことだと思います。さまざまな相談機関で受けた人権の相談件数、人権施策の状況の報告では
1,714件で、専門家会議の報告書では2,297件となっており、違う数字が出ていますが、ともかく年間
1,700から2,300ぐらいの件数、それにかかわって180人の相談員がいて、43の市町村、285の
相談機関のネットワーク、それだけの膨大なものがありながらこの件数というのは、余りにも少ないと感じました。少ない原因と、その中身の特徴を明確にすることと、また、それだけ少ないのにもかかわらず、なぜ新たに人権ケースワーカーというようなものを設置しなければならないのかという理由をお聞きしたい。また、その
人権ケースワーカーを何年計画で何人ぐらい育てようとされてるのか。その際に、受講資格とか養成講座について示されているが、例えば臨床心理士であれば大学院の修士課程で2年は教育を受けなければ資格が取れないが、この人権ケースワーカーは、ほかの資格と比較したときに、どの程度の水準をクリアしなければ取れない資格なのか。またこの資格を取ったケースワーカーと、例えば児童相談所などの別の人権にかかわる相談機関で相談に対応されている方と比べたときに、資格で随分ばらつきが出てくるような気がするが、その点についてはどうお考えになっているのでしょうか。

  ●飛鳥会の問題、大阪市の問題、奈良の問題、京都の問題等、旧同和対策事業をめぐりいろんな問題が起こっており、そうした中、12月1日に開催した同和問題解決推進審議会で会長からのご発議として、以下の
3つを議論していこうということになっております。
   その1は、今日的に同和問題をどうとらえるのかということ。平成13年9月同対審答申で、同和問題は
一定のものについては改善の方向であるが、まだまだ課題は残っており、解決されていないということが出まして、平成14年、行政全体で同和問題の特別対策はもう実施しない、一般施策の中で解決に向けてやっていこうということで取り組みを進めてきました。それで既に5年たっている状況の中で、同和問題を今日どうとらえるのかということが1点。
   2点目が、同和問題の解決に向けて平成14年から一般施策で取り組みを進めておりますが、その施策の効果について、同和問題の解決に向けて取り組みを進めている一般施策の効果がどうなのか、それをきちんと検証しないとだめなのではないかということ。
   3点目は、行政と解放運動など、大阪市等でも議論になりましたが、そのありようについて。これらについて審議会としても議論していかなければというご提言をいただきまして、概ね1年をかけまして、審議会としてまた報告をいただけるものと承知をいたしております。我々としては、同和問題のありよう、行政とのありようについて、それを受けて処していかなければならないと考えております。
   同和問題はそういう形ですが、さきほど「北風」というご発言がありましたが、人権をめぐる状況は、子どもの問題、高齢者の問題、親と子どもの関係、子どもと親との関係、女性、外国人問題等、いろいろな人権問題が噴出しており、少し前では考えられないことが多く起こっている。人権は最もベーシックな行政の部分であって、それをきちんと府政として位置づける中で、例えばその中の児童相談所の子どもたちの問題のケアの
行政機関の問題があり、あるいは高齢者は高齢者としての担当セクションの問題があり、その中で人権施策についてはゆるがせにしないで、きちんとやっていかなければならないと考えております。評価の問題については確かにお示しのとおりであり、第1回目として今回は自己評価を記述いたしましたが、人権室としてもう
一度俯瞰的な観点でチェックをし、さらに発展していけば第三者評価となりますが、別途、事務事業評価という府の施策全般について評価するシステムがあり、外部の目によるという議論もしておりますので、さらに評価を充実していき、よりよい形で施策展開をしていきたいと考えております。
   それから団塊の世代についてですが、行政全般をめぐりまして、団塊の世代がリタイアをしていく中で、これまでのノウハウをどう継承していくのかという問題について、例えば今回(仮称)人権ケースワーカー議論をしておりますのも、285の人権ネットワーク機関などにおいて第一線でご活躍いただいている人権相談員等の方々が順次リタイアしていかれる年齢になっていますので、人権教育あるいは人権相談というのをより充実したものにするために、どういうものがいいかを議論した結果、個々の人権相談員の方の相談に乗るべき立場、あるいは指導すべき立場、コーディネートする立場、スーパーバイズする立場、そういった人材養成が今こそ
必要ではないかということで、人権ケースワーカー事業を来年度からスタートさせたいと考えております。そうした環境の変化も受け、取り組みを進めようとしております。

  ●指定管理者の問題ですが、施設を運営するという立場ですので、大阪府では指定管理者に対しましても
必ず人権の研修を行っております。従来は、府の出資法人、外郭団体等が施設を運営しているケースが多かったのですが、指定管理者ということで民間になってまいりましたので、研修を行うようにしております。また、出資法人、外郭団体等につきましては、従来から計画をつくって研修を行っております。
   「ゆまにて」は、一番基礎的な教材ということでつくっており、より有効な活用方策について考えてまいります。
    基本方針、計画、啓発冊子等の整合性の問題については、ご指摘に基づきこれから十分精査をしてまいりたいと考えております。

  ●人権相談について、まず件数ですが、政令市と中核市は府から交付する補助金の対象外になっており、「人権施策の状況」の1,714件は、大阪市、堺市、高槻市を除いた、補助金の支給対象市町村の件数です。一方、2,297件は、補助金の支給をしていない政令市等の相談件数も合計した件数です。
    次に、180人の相談員がいながら件数が少ない点について、確かに少ないと認識しております。
相談窓口の設置事業は平成14年度からスタートし、補助金の対象の市町村の件数が543件でしたが、
17年度は1,714件になりました。市町村別に見ますと200件以上の市もある一方、規模の小さい町村では一桁というところもあり、まだまだ努力もPRも足りません。今後市町村ともども鋭意努力してまいりたいと思います。かつて法務省が調査をしており、潜在ニーズ、相談ニーズというのはまだまだあると考えておりまして、しっかりと対応をしてまいりたいと考えております。
   それからこの人権ケースワーカーが、どの程度の力量を持つかということですが、確かに
オールラウンドプレーヤーを目指していますので、どうしても限界がある。ただし、1年間、週1回、丸1日かけて学習していただくということを考えております。1時限90分授業で約140時限をこなしていただき、
人権一般論から国際人権、人権にかかわる法制度、法律、対人援助の基本、人権課題、福祉、女性、
子ども、同和問題、外国人問題、労働問題などを140時限の中で学んでいただく。先ほど申しました285の専門相談機関とのネットワークで、このケースワーカーがコーディネートする役割を果たすというのが一番の
眼目ですので、大学院修士課程を出ている臨床心理士さんなどに比べて足りない分は、そのネットワークを
縦横に連携してやっていくという構想で、この制度を構築していきたいと考えております。
   また、かなり高度な内容の授業も行うことから、少数精鋭で考えておりまして、当面3年間で各市町村には1名以上、人口規模の大きい市は複数名のケースワーカーを配置したい。したがって3年間でということになると、大体100名ぐらいは養成していくことを一定のめどとして考えております。
   また、285のネットワークや市町村にケースワーカーを置くにあたっては、福祉関係の職員とか、
社会福祉協議会との関係とか、人権担当課などとの関係で、一番適切なところにそのケースワーカーが所属して、十分適切な連携を保ちながら活動するということを考えております。

  ○E:子どもの虐待の問題は、これまで大阪を中心にして起きた問題の中では非常に大きい意味を持っていると思う。児童相談所の人が不足している問題などは、人員の配置に一定の決まりがあると思うので、今できることとして何かないかと考えたんですが、例えば回覧板です。きちんと回さないと怒られることもあるくらいですが、本当にこんなの回覧板で回す必要があるのかなと思うような記事が載っていることもある。回覧板なら
表紙もいらないのでお金もかからないし、市民や家族にとって大事なことを載せて、シーズンに1回ぐらいでも配ってはどうでしょう。「ゆまにて」に書いてある内容の10分の1でも、きれいな印刷でなくてもいいからわかりやすい内容で考えていただきたい。行政は、ご近所の力を借りたり、地域が人を育てたり支援していくということ、それに目が向いていないと思う。もっと府民や市民を信頼してくださって、地域とともにやるということを大事にして、ご利用いただいたらどうか。児童相談所の人が足りないということを、行政の現場からもっと支援してあげてもいいのではないかというふうに思います。

  ●有意義なご提案で、きちんと検討したいと思います。以前、池田小学校の事件、寝屋川の小学校の
事件等があったとき、子どもの安全、通学路の安全の問題に対して地域の力を活用させていただくということで、子ども安全の見守りに協力している家々、地域の散髪屋さん、コンビニさんなど地域全体のお力をお借りして、通学路の安全対策を議論したこともありました。ご指摘のいじめや虐待の問題、あるいは高齢者の虐待の問題等もあり、児童福祉課だけでなく府政全般にも通ずることですので、検討したいと思います。

  ○F:人権ケースワーカーの職務や任務、場合によっては権限もあるかもしれないが、内容がはっきりしない。制度の目的のところでは、コーディネーター、スーパーバイザー機能。人権相談事業と人権ケースワーカーの関係についてはスーパーバイザー機能。役割については、コーディネート、カウンセリング等。非常に範囲が広い。スーパーバイザーの下に人権相談員があって、スーパーバイズするというのはわかりますが、相談者へのカウンセリングもするし、人権相談員の心のケアまでする。こういう人を養成するカリキュラムはどういうものか。
    また、人権課題についてもそれぞれ固有の問題があり、相談者から直接聞く場合に個別的知識も持っていないといけない。特に外国人というのは、まず入り口が語学の問題で、しかもその内容が法律や医療のことになってくると、言葉の知識によって、死活にかかわること、非常に危ないことになる場合がある。だからそういう役割とカリキュラムの関係がどうなっているのか。それと連動して名前も決まってくるだろうと思う。
「ケースワーカー」と言うと、相談窓口で対応する臨床心理士が「ケースワーカー」と書いており、
そのケースワーカーとどう違うのか。また、スーパーバイザーぐらいはわかるけれども、英語の名前はお年寄りにはわかりにくく、一方外国人には本来持っているその観念があるので、日本のスーパーバイザーと自分たちのスーパーバイザーとは違うじゃないかというようなこともおこるので、日本語のほうがいいと思う。

  ○B:人権ケースワーカーについて、なかなか具体的なイメージがわかないのですが、ここに書かれていることからすれば、単に座っていて、人権相談員さんから相談されてスーパーバイズするということではなくて、関係各機関に、非常にフットワーク軽く、中には出向いていって調整をしていくという役割まで担う方なのかと思う。関係機関に働きかけたときにきちんと話が通る、あるいは調整ができるという力量をお持ちの方でないといけないとすれば、非常に難しいお仕事だと思います。実際に動いてもらうならば、予算的な部分も必要になると思いますし、その辺のイメージがわかない状況です。

  ●ケースワーカーの役割は、今端的に委員がおっしゃったとおりで考えております。予算については、
当面市町村の中でふさわしい方を養成講座に派遣していただいて、週1回1年間の研修を修了して認定され、(仮称)ケースワーカーとして市町村に帰って活躍していただくというイメージ。つまり市の職員という身分で
活躍していただき、活動そのものの予算は、市のほうで適宜その人権相談関係の事務費等の経費執行の中で考えていただけると考えております。

  ●補足ですが、(仮称)人権ケースワーカーについて、例えば児童相談所におられる児童福祉司さんのように、いわゆる措置権限等を持つ身分ではなく、また、他の専門職種と競合したり、その権限を侵したりということは考えていません。この制度は、全国的にもまだ例がない制度でして、大阪府としては、現在起こっている事象に対し、行政として事前予防、相談、ケアをするとともに、現在携わってる人権相談員の方の心のケアも含めて、また困難事例においては現場へ入っていくということも考えて、141時限の中に、座学のほかに
カウンセリングマインドという内容も考えています。教育委員会、福祉部門等の各セクションにおいてそのようなケースワーカーの仕事をしておられる方たちや285のネットワークのNPOの人たちとも十分連携をとり、
現在起こっているいろいろな人権問題の解決に寄与していきたいと考えております。
    名称については、資料に「名称については、簡潔、明瞭、覚えやすさなどを勘案して定める。なお、
児童福祉司を『児童相談所のケースワーカー』と称するように、正式名称と愛称を併用することも視野に入れる」とあります。講座を受けた方について効果測定をして、知事の認証行為にしたいと考えており、名簿に登録し、市町村のご協力をいただいて配置を考えているところ。名称に込められる意味として、1から4まで掲げてあり、それを受けて、「役割がよく表現された『人権擁護士』、広く使われやすい『人権ソーシャルワーカー』
及び『人権ケースワーカー』が候補として考えられる」ということですので、この辺につきましてもご意見を賜りたい。

  ○F:やはり職務と、どういう教育を受けられるのかということ。141時限でどういう人ができ上がるのかというイメージが浮かばないと、名称も今ここでと言われても、難しい。

  ○A:名称については慎重に検討する必要がある。人権教育をこれまで推進してきたという実績を前提に、
公募してはどうか。広く関心を持っていただき、この(仮称)人権ケースワーカーの宣伝にもなると思う。必ず
採用するとは限らないということも付言して。

  ○G:どれほど教育をしっかりしてレベルの高い方を育てても、現場に出ますと、人権相談とか虐待相談というのは、非常に厳しいことがしばしばあります。高齢者虐待などで現場では、いくら知識があってもどうにもならないということがある。現場に出た人が「もうこんな仕事やめてしまいたい」とおっしゃる声を聞くこともあるので、こういう方々を府レベルで後ろから支える後方支援サポーターのようなものを置くということを考えていただきたい。
   それとサポーターの一つの手段として、そういう方々の連絡会を作っていただきたい。「自分のまちではできなかったけど、隣のまちのやり方を聞いたらわかった」ということもある。この2つをお願いしておきたい。

  ○C:今日出た意見を踏まえて、さらにケースワーカーの任務をより明確化していただく必要がある。名称は、ケースワーカーなどの英語はやめたほうがいいと思う。権威あるものに本当にするんだったら、人権擁護士というぐらいに打って出たほうがいい。でも名前だけが大きくて内容が全然だめというのでは看板倒れになる。これをつくられることは画期的だと思うので、もっと検討していただきたい。人権問題を広げ、府がやろうとしていることを大いに知っていただくことも必要ですから、名称を公募するというのも一つの案。今日はいろいろ貴重なご意見が出ましたので参考にして、より内容のあるものにしていただきたい。

  ○G:名称の話ですが、医学の分野では、ある職種があって、それより上にしたいというときは、さらにそこに「専門」の言葉を入れます。「権利擁護専門士」という使い方をします。ご参考までに。

  ○C:長時間ありがとうございました。本日の会議はこれで終わります。委員の先生方から貴重なご意見をいただきましたので、事務局がそれをしっかり受けとめていただきたいと思います。
   それではこれで終わります。ありがとうございました。

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府民文化部 人権局人権企画課 企画グループ

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