○いのち輝く人生のため「人生会議」を推進する条例

令和四年十二月二十三日

大阪府条例第七十二号

いのち輝く人生のため「人生会議」を推進する条例を公布する。

いのち輝く人生のため「人生会議」を推進する条例

先進国でも類を見ない人口減少、超高齢社会に直面する中、生涯を通じて輝きながら暮らし続けることのできる「いのち輝く未来社会」の実現は、府民共通の願いである。

自分らしい豊かな人生を全うする上で最も優先されるべきは本人の意思であり、「終活」やリビング・ウィル(事前指示書)への関心が高まっている。日ごろから医療・ケアの選択について事前に意思表示をしておくことが重要とされているが、認知機能の低下や重篤な病態等で意思表示できない状況では、医療やケアをする人々に自分の希望を伝えることが難しい状況である。

そのため、人生の最終段階に至るまでの医療・ケアについて、自分自身で前もって考え、家族・友人など信頼する人たちや医療・ケアに関わる専門職と、思いが変化するたび、繰り返し話し合い、その内容を記録として残し、共有する「人生会議」の取組や普及啓発が大切である。

本府が掲げる「いのち輝く未来社会」において、全世代がいのちについて深く考え、全ての府民がいのち輝く人生を送ることのできる大阪府をめざし、この条例を制定する。

(目的)

第一条 この条例は、府、市町村、事業者及び関係機関が連携協力し、人生会議に関する普及啓発を広く推進することにより府民の理解を深め、本人の意思により人生会議を推進することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において「関係機関」とは、医療機関(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の五第一項に規定する病院又は同条第二項に規定する診療所をいう。)、老人福祉施設等(老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の三に規定する老人福祉施設、同法第二十九条第一項に規定する有料老人ホーム並びに介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第二条第三項に掲げる保健医療サービス及び福祉サービスを行う事業所をいう。)その他の人生会議に関係する機関、施設等をいう。

(普及啓発の推進等)

第三条 府は、リーフレットの配布、セミナーの開催等の手段により、広く府民に対して人生会議に関する普及啓発を行うものとする。

2 府は、前項の普及啓発を推進するに当たっては、次に掲げる点に留意するものとする。

 人生会議は、本人の主体的な意思によりなされるものであり、取組を行う又は行わないことを強制されるものではないこと。

 日々の暮らしの中で、誰もが日常的に話し合える環境づくりを進めることが重要であるが、知りたくない、考えたくないなど、各人の意思について十分配慮する必要があること。

3 府は、人生会議について、若者世代への理解促進が重要であることにかんがみ、児童及び生徒に対し、府立学校、市町村立学校、私立学校、PTA等と連携し、第一項の施策を実施するよう努めるものとする。

4 府は、人生会議の普及啓発に関して講じた施策の効果等を勘案し、適宜、施策の見直しその他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(人材の育成)

第四条 府は、地域における人生会議に関する普及啓発を担う人材を養成するため、市町村、事業者及び関係機関の職員等に対し、知識の習得、理解の促進のための研修等必要な取組を行うものとする。

(市町村に対する支援)

第五条 府は、地域における人生会議の普及啓発に関して積極的な取組を行う市町村に対し、必要な支援を講ずることができる。

(市町村等の役割等)

第六条 市町村、事業者及び関係機関は、府が実施する人生会議に関する普及啓発に連携協力するとともに、各々創意工夫した人生会議に関する普及啓発を行うよう努めるものとする。

2 関係機関は、本人や本人を身近で支える家族等に対し、人生会議に関する適切な情報を提供する等の支援を行うよう努めるものとする。

(施行期日)

第一条 この条例は、令和五年四月一日から施行する。

(普及啓発の目標等)

第二条 府は、人生会議に関する普及啓発の実施状況並びに府民への普及状況に関する具体的な目標及びその達成の時期について、この条例の施行後速やかに検討し、定めるものとする。

(この条例の見直し)

第三条 府は、この条例の施行後三年を目途として、この条例の規定内容について検討を加え、その結果に基づいてこの条例の見直しを行うものとする。

いのち輝く人生のため「人生会議」を推進する条例

令和4年12月23日 条例第72号

(令和5年4月1日施行)