○大阪府男女共同参画推進条例
平成十四年三月二十九日
大阪府条例第六号
大阪府男女共同参画推進条例をここに公布する。
大阪府男女共同参画推進条例
個人の尊重と法の下の平等が日本国憲法においてうたわれており、すべての人が、個人として尊重され、性別にとらわれることなく、自分らしくのびやかに生きることのできる社会を実現することは、私たちの願いである。
このため、府においては、これまでも、国際社会や国内の取組と協調しつつさまざまな施策を推進してきているが、いまだに性別による固定的な役割分担意職を背景として、男女の自由な活動の選択を妨げる要因が残っている。
このような状況の中で、少子高齢化の進展等、社会の急速な変化に的確に対応しつつ、大阪を活力に満ちた豊かな都市としていくには、男女が、互いの違いを認め合い、互いの生き方を尊重し合いながら、社会の対等な構成員として、互いに協力し、責任を分かち合い、それぞれが自らの意思で自由に生き方を選択し、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現が重要である。
ここに、私たちは、男女共同参画社会の実現をめざすことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、府、府民及び事業者の責務を明らかにするとともに、府の施策について必要な事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の実現に資することを目的とする。
一 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
二 積極的改善措置 社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、その機会を積極的に提供することをいう。
三 セクシュアル・ハラスメント 職場その他の社会的関係において、他の者に対し、その意に反した性的な言動をすることによりその者の就業環境等を害し、又は性的な言動を受けた者の対応によりその者に不利益を与えることをいう。
(基本理念)
第三条 男女共同参画の推進は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること、妊娠、出産等互いの性に関する事項についての理解が深められ、男女の生涯にわたる健康が確保されること、その他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
2 男女共同参画の推進に当たっては、性別による固定的な役割分担等を反映した制度又は慣行が、男女の社会における活動の自由な選択に対してできる限り影響を及ぼすことのないように配慮されなければならない。
3 男女共同参画の推進は、男女が、府における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
4 男女共同参画の推進は、男女が、社会の基盤である家庭の重要性を認識し、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、職場、地域等における活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。
5 男女共同参画の推進は、国際社会における取組を考慮して行われなければならない。
(府の責務)
第四条 府は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下「男女共同参画施策」という。)を策定し、及びこれを実施する責務を有する。
2 府は、男女共同参画施策を効果的に実施するための体制を整備することその他の男女共同参画の推進のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 府は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
4 府は、男女共同参画の推進に関し、市町村における取組について協力するものとし、男女共同参画施策の実施に当たっては、市町村との連絡調整を緊密に行うものとする。
(府民の責務)
第五条 府民は、基本理念にのっとり、職場、学校、地域、家庭その他社会のあらゆる場において、男女共同参画を推進するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第六条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たり、男女共同参画の推進に努めるとともに、男女共同参画施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による差別的取扱いの禁止等)
第七条 何人も、職場、学校、地域、家庭その他社会のあらゆる場において、性別による差別的取扱いをしてはならない。
2 何人も、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
3 何人も、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)に対する暴力(暴行その他の心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。以下同じ。)を行ってはならない。
(男女共同参画計画の策定)
第八条 知事は、次に掲げる事項を定めた男女共同参画施策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定するものとする。
一 総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画施策の大綱
二 前号に掲げるもののほか、男女共同参画施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
2 知事は、男女共同参画計画を策定するに当たっては、あらかじめ、大阪府男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、府民の意見を反映させるための適切な措置を講ずるものとする。
3 知事は、男女共同参画計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
4 前二項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用する。
(男女共同参画施策)
第九条 府は、次に掲げる男女共同参画施策を実施するものとする。
一 男女共同参画に関する理解を深めるため、広報及び啓発並びに教育を行うこと。
二 男女共同参画施策を策定し、又は実施するため、必要な調査研究を行うこと。
三 配偶者に対する暴力、セクシュアル・ハラスメント等の防止のための取組を進め、及びこれらの被害を受けた者に対し、必要な支援を行うこと。
四 男女が共に家庭生活、職場、地域等における活動を円滑に行うことができる環境が整備されるよう努めること。
(男女共同参画の推進状況等の公表)
第十条 知事は、毎年度、男女共同参画の推進に係る状況及び男女共同参画施策の実施状況について、その概要を公表しなければならない。
(事業者の取組の促進)
第十一条 知事は、男女共同参画の推進に関する事業者の取組を促進するため、顕彰その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 前項の場合において、知事は、必要があると認めるときは、事業者に対し、男女共同参画の推進に係る取組状況を把握するための調査について協力を求めることができる。
(苦情等への対応)
第十二条 知事は、府民からの男女共同参画施策若しくは男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策についての苦情又は男女共同参画に係る人権侵害に関する相談を受けたときは、適切かつ迅速に対応するものとする。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成十四年四月一日から施行する。
(大阪府附属機関条例の一部改正)
3 大阪府附属機関条例(昭和二十七年大阪府条例第三十九号)第一条第一号の表大阪府男女協働社会づくり審議会の項を次のように改める。
〔次のよう〕略