平成21年度第2回文化振興会議議事要旨

更新日:2009年12月21日

平成21年度第2回大阪府文化振興会議 議事要旨

 

1 と き   平成21年10月28日(水曜日)午後4時から6時

 

2 ところ   ドーンセンター(大阪府立男女共同参画・青少年センター)5階大会議室大阪市中央区大手前

 

3 議 題

(1)文化を通じた次世代育成検討部会からの報告について

部会からの報告】

○発達段階、成長段階に合わせた取り組みが必要であり、成長の段階を、就学前(0から5歳)、小学校(6から12歳)、中学校(13から15歳)、高校(16歳以上)に分けて検討した。

<就学前> 文化の感性を養う時期と位置付けられ、家族ぐるみで参加できる文化活動、地域全体で取り組める文化活動が重要。

<小学校> 高学年になると、自ら主体的に参加をする行為が見られるようになり、地域を母体としながらも、学校単位で主体的に参加を出来るような取り組みが重要。

<中学校> 思春期に差し掛かり、主体的に参加をし、主体的に選び取り、そして創造的に活動をするという発達課題を持つようになり、学校単位の支援のほかに、クラブ活動など目的別の小集団への支援などが考えられる。

<高校生> 自分で表現し、社会に向けて発信をする能力を生かすことが、発達のキーワードになってくる。就職や進学も考えた授業への支援も必要となってくる。

○地域再生に向けた取り組みとの連携が必要であり、取組案として、学校支援地域本部の枠組みの活用や、地域内外の人材活用のための人材バンクの設置、モデル地域の設定、大学生の活用や研究機関との連携が挙げられた。

○次世代育成は、地域の人々が文化力をつける中で図られるものであり、次世代育成とは、文化力豊かな地域づくりでもあると結論づけることが出来る。

 

【意見交換】

○事業例のアーティスト派遣では、文化を育てる、こどもの創造力を発露させるということを考えると、やはり本物に触れるということが大事。ハッとするような一流の人との出会いが大事で、それが将来花咲く。

○アーティストといっても美術・音楽・芸術に限るのではなくこの道一筋の職人さんでもいい。“文化だからアーティスト”ということではなく、クリエイティブに最先端で活躍をしている人たちに、なんらかの接触する機会を増やすのが重要。

○「学力を育てることが文化力を育てる」だけではなくて、「文化力を育てることが学力を向上させる」という視点をはっきりさせた方がいい。

○学力と文化力は車の両輪のようなもので、双方で支え、刺激し、高めあっていくもの。

○次世代育成では、子どものことばかり話されるが、先生がどれだけ文化的か創造的か感性を大事にしているのかということが重要。先生を文化的にフォローし、育てる方が効果的と思う。

○次世代育成では、親の指導、親の影響が大きい。

○子どもが特に小さいときは、親の文化力を育てていくという取組みが非常に重要。

○子どもたち向けに海外から質の高い演劇を呼んで来ても、親が選んだものしか子どもは観ることが出来ない。親にどう選んでもらうかが課題となっている。

 

 

(2)文化振興に関するビジョンの中間とりまとめについて

○市場性と公益性で分けてしまう図はどうか。公益性に対する言葉は、市場性ではなくて共益とか私益。市場には非市場。非営利には営利。また、ソーシャルベンチャー、コミュニティビジネス等、営利・非営利の境目が無くなってきている。

○公益=政府と決め付けるのは問題で、電力会社や鉄道会社など民間が守っている公益もある。公益性があっても市場性があるものは民間が自立的に活動するということ。

○行政はただバックヤードに下がって支援するというイメージを受けたが、市民感覚としてずるいのではないかと感じた。

○大阪府と市町村との役割分担(P13)、新ビジョンであえて言うと、後ろずさりしている印象を与えるのではないか。

○従来は、大阪府が文化振興を全部するような書きぶりだったが、そうではなくて、役割分担を示すということが必要だと思う。

○文化ビジョン、文化課は大阪府全体の総合参謀本部になるような形で、雇用も福祉も教育も全部やるんだというくらいの気持ちでやってもらえないかと思う。

○例えばコンパクトシティーとかニューコンパクトシティーなど、産業構造の変換によって文化がある意味では中心産業になっていく、文化によって雇用や教育、福祉に取組むということを打ち出してもいいのでは。

○大阪からスタートした関ジャニエイトというグループは、全国どこへ行っても超満員。コンサートが一種の情操教育になっている。これも、街を支える文化だと思う。

○『コルテオ』の効果で、大阪市内のホテルの売り上げ、美術館、中之島線のお客さんが増えた。街を支える文化として、非常に有効だったと思う。また中之島に会場を移し、集客が増。やはり南港より中之島の方が文化ゾーン。

○援助金とか助成金とかで支えなくてはいけない文化というのは、あまり意味がないのではないか。それだけやはり、大衆に人気がないのではないか。

○新しいビジョンとして、「支える文化」というのは、非常に当を得ている。

○新ビジョンの理念の4つの流れは、非常に従来から脱皮したという形を提示しているのですごくいい。

○「支えられる文化から支える文化へ」というのが一つのキャッチフレーズであれば、「社会を」はつけなくていいのではないか。

○「大阪らしい」というのは最終的に郷土愛とか郷土とか風土とかいうところで市民が持つ感覚であって、行政がおこがましくどうこうする話ではない。「文化が輝く」とか「文化が花咲く大阪を育む」とかその程度の表現がいい。

○グローバルな文化に触れ、育てることは大切だが、やはり、大阪府文化振興会議としては大阪らしさとは何なのかということも、もう一度考え、定義づけなければならないと思う。漠然と大阪の良さを体現し伝えている文化を新しいビジョンで盛り立てていくことが必要ではないか。

○今年の文化勲章、文化功労者顕彰で伝統芸能界から選ばれた4名はすべて上方芸能界の方。関西、大阪の素晴らしい文化をアピールすることは大切。

○大阪らしい文化、上方芸能についてもきちっと支援していく、ということを一方で言いながら、都市の魅力づくりという方向性を夢を持たせるような形で上手にやっていくと、納得できる形で新しいビジョンとして納まっていくのではないか。

○アイデンティティーは内向きでは光らない、外に向かって発信し外から人がやってくる、そういう攻撃性があって初めて個性が磨かれる。アイデンティティーにこだわるあまり、世界に攻めていくという志を失う必要はなく、反対にアイデンティティーを磨くためにはそうすべき。そういった戦略性をビジョンに書くべき。

○グローバルな世界になるがゆえにアイデンティティーが必要であり、大阪が好きで誇りを持つというのは大事。どこかの街がやっているから、大阪でもやろうという人まねはして欲しくない。成功例から学ぶことは大事だが、人まねでは誇りを持てない。

○文楽の手法が取り入れられた新しいミュージカルが、海外で作られて、ブロードウェイミュージカルになり、それを逆に今、劇団四季がやっていたりする。大阪、関西で生まれた文化をそのままの形で保存するのではなくて、新しいアーティストたち、新しい才能と結びつけ、新しい時代、未来につなげていくといったプロジェクトは考えられないか。

○文化ベンチャーのサポートでは、資金供給、NPOバンク、市民金融などの枠組み。次世代で、地域で立ち上がった人達をサポートできるような枠組み。

○文化の活動の場は、マクロエコノミーとミクロエコノミーの間のメゾエコノミーみたいなところにある。大前提として、文化があるからこそ都市は成長し、あるいは稼げるんだ、儲かるんだ、ということを皆が認識する必要。

○「都市魅力の向上」「人・地域のエンパワーメント」を進める戦略は、まず、人の場合は生活文化、地域だったら地域文化をエンパワーメントする。
・それによって、これからの21世紀型の経済のベースとなる文化力が出て来る。
・その文化力を基にして地域魅力を向上させる、という戦略。

○今までの「映画鑑賞、劇場へ何回行ったか」といった指標ではなく、「料理が好きで週3日食材にこだわって作っている男性」や「お稽古事をさせている子ども」がたくさんいるとすれば、これは非常に他都市に比べて文化的。この文化力というのは目に見えないが、すごい大阪のパワーになる。これまでと全然違った切り口で、社会の質みたいなものを統計的に表していくことが必要。

○こうした生活文化・地域文化のエンパワーメントを、お金を使わずにどう工夫して伸ばしていくのかが、これからの21世紀型の経済のベースになる。黙っていても大阪へ行きたい。何か文化的な匂いのするドキドキワクワクした大阪へ、世界の人・全国の人が集まって来る仕掛けが必要。

○現場でアーティストの育成を見ていると、最初から市場性がありこれは売れるだろうというのと、非常に技術・才能があり芸術性が高いがそんなに市場性がないものの2つがある。ある程度育っていくまでは時間がかかるので、才能を見極めてどう育てていくか。単に公益性と市場性で分けるのではなく、行政が育成し、育った後は民間に引き継ぐ。そういうシステムが出来ると育成にも希望が持てる。

○優れたアーティスト、一流のアーティストを決める客観的な基準はないと思う。責任を持って決定するための府民もアーティストも入った協議機関を研究する必要があるのではないか。

○予算制約の中で、今年度はこれを選択しようということのコンセンサスが得られるような政策選択を決定する、そういう審議機関を作るべきではないか。

構成は、優秀性の評価が可能となる直接当事者としてのアーティストは絶対必要。次に税金負担者。三つ目に事業の利用者,サービスユーザー。それから行政。 

○海外で多いがモデル地域の設定を検討して欲しい。お金を投入するという話ではなくて、規制緩和などソフトインフラの整備。

○これまでの行政、何か大海に餌をまくような感じ。モデル地域を決めて実験をしていくのはどうか。

このページの作成所属
府民文化部 文化・スポーツ室文化課 文化創造グループ

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