第3章 基本方針及び施策の方向性 1.基本方針  視覚障がい者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進することにより、障がいの有無にかかわらず、すべての府民が読書活動を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することをめざし、5つの方向性を定め計画を推進します。 <方向性1>アクセシブルな書籍等の充実(読書バリアフリー法第9、10条) <方向性2>公立図書館等の人材育成・体制整備       (読書バリアフリー法第9、10、11、15、17条) <方向性3>利用しやすい施設・設備(機器)、サービスの充実       (読書バリアフリー法第9、14、15条) <方向性4>図書館サービスに係る情報発信(読書バリアフリー法第9、10条) <方向性5>国、市町村との連携(読書バリアフリー法第5、9、17条) 2.施策の方向性と取組内容 <方向性1>アクセシブルな書籍等の充実 (読書バリアフリー法第9、10条関係) 【基本的な考え方】  利用者のニーズに応えるため、引き続き、アクセシブルな書籍等の収集及び製作を行うとともに、製作されたアクセシブルな書籍等を国立国会図書館やサピエ図書館と共有するなど、利用しやすいアクセシブルな書籍等の充実に取り組みます。 (取組内容) ○ 公立図書館、点字図書館における点字図書や録音図書、LLブック、拡大図書、デイジー図書等の収集・製作を継続します。 ○ 公立図書館、点字図書館で製作した点訳・音訳資料データ等について、国立国会図書館、サピエ図書館への提供を継続することにより、アクセシブルな資料やデータが全国的に利用できるネットワークの充実に寄与します。 ○ 公立図書館、学校図書館、点字図書館、国立国会図書館、サピエ図書館の連携による相互貸出を引き続き実施します。 ○ 府立図書館では、電子書籍の活用に関する調査・検討を行うとともに、無料コンテンツの紹介等の取組を進め、より良い読書環境が整備されることをめざします。 <方向性2>公立図書館等の人材育成・体制整備 (読書バリアフリー法第9、10、11、15、17条) 【基本的な考え方】  公立図書館、学校図書館、点字図書館間での連携を図るとともに、アクセシブルな書籍等を提供する図書館等の職員が利用者ニーズに沿った適切な応対スキルを身に付けるための研修の実施、アクセシブルな書籍等を製作する点訳者や音訳者の養成に取り組み、視覚障がい者等の読書環境整備を担う人材の確保に努めます。 (取組内容) ○ 利用者と接する公立図書館、学校図書館、点字図書館職員を対象に、障がい者サービスを理解し、支援方法を習得するための研修や読書支援機器の使用方法を学ぶための研修を実施します。 ○ 司書教諭や学級担任、通級による指導を担当する教員、リーディングスタッフ(特別支援教育コーディネーター)※30等の教員間連携、地域のボランティアなどの協力者との連携を図り、学校図書館の活用を支援します。 ○ 公立図書館、点字図書館において、点訳者や音訳者等の養成講座を開催し、アクセシブルな書籍の継続的な製作支援に努めます。 ○ 公立図書館、点字図書館における特定書籍※31や特定電子書籍※32等の製作を支援するため、ノウハウや基準等の情報共有を図ります。 ○ 府立中央図書館において、障がい当事者でピアサポート※33ができる人材の確保に取り組みます。 ○ 点訳・音訳資料の製作過程や、それらを用いて読書を行っている視覚障がい者等の声を広く府民に紹介することなどにより、多様な読書方法があることを知り、興味や関心を抱くきっかけとなるよう取り組みます。 <方向性3>利用しやすい施設・設備(機器)、サービスの充実 (読書バリアフリー法第9、14、15条) 【基本的な考え方】  手すりやスロープの設置など施設のバリアフリー化、拡大読書器等の機器整備、インターネット等を利用した貸出申込などの障がい者向けサービス等の周知、読書支援機器等の給付事業や使用方法に関する支援等を引き続き行うことにより、ハード・ソフトの両面から視覚障がい者等の読書環境の充実を図ります。 (取組内容) ○ 図書館施設の段差解消、利用者に配慮したトイレやエレベーターの設置、点字やピクトグラム※34を使用したわかりやすい表示をはじめ、対面朗読室や拡大読書器等の読書支援機器の整備について、引き続き取り組みます。 ○ 公立図書館の窓口で障がい者向け利用サービスを紹介するリーフレットを配布するなど、情報提供体制の充実を図ります。 ○ 市町村における日常生活用具給付等事業について、国と大阪府による市町村への費用の一部負担を継続します。 ○ 公立図書館、学校図書館、点字図書館、地域のICTサポートセンター※35等において、アクセシブルな電子書籍※36等を利用するための読書支援機器の利用方法や入手方法について案内します。 ○ 読書支援機器の操作方法を習得するための講習会等が身近な地域で受講できるよう、市町村や機器製造メーカーと連携した使用体験講習会の実施に向け、検討します。 <方向性4>図書館サービスに係る情報発信 (読書バリアフリー法第9、10条) 【基本的な考え方】  公立図書館、点字図書館、サピエ図書館等が視覚障がい者等に提供しているサービスについて、その内容や利用方法等が十分に周知されるよう、あらゆる手段を用いて広報し、潜在的利用ニーズの掘り起こしを進めます。 (取組内容) ○ 利用しやすいアクセシブルなホームページを作成します。 ○ 公立小・中学校、義務教育学校、高等学校及び支援学校※19において、学校図書館をはじめ公立図書館や点字図書館の利用方法について周知を行います。 ○ 公立図書館や点字図書館、サピエ図書館及び国立国会図書館で実施されているサービスについて、その内容を周知します。 ○ アクセシブルな書籍等を「見て、聴いて、触れる」体験型イベントの実施に向けて取り組みます。 ○ かかりつけ医などの身近な医療機関等を通じた情報発信方法について検討し、読書支援サービスの周知に取り組みます。 ○ 地域において住民生活を支援するボランティアや視覚障がい者等の当事者団体、家族会等の支援団体に対し、情報発信に係る協力を依頼し、アクセシブルな書籍等の利用の拡大を図ります。 <方向性5>国、市町村との連携(読書バリアフリー法第5、9、17条) 【基本的な考え方】  書籍のアクセシブル化をはじめ、読書環境の整備の推進に必要な措置について、市町村等と連携し、大阪府内の現状を国へ伝えるとともに、要望を行います。また、電子書籍等の拡大や障がい等級による利用制限等については、国における制度改正の議論や研究成果の検証等を踏まえ、具体的に施策を実施するよう求めていきます。 (取組内容) ○ アクセシブルな書籍等を充実させるためには、一般書籍の出版と同時に電子書籍等が販売されることが最も効率的・効果的な方策であることから、国における取組が進むよう要望を行います。また、書籍の出版時に、そのデータが点字図書館に提供されるよう求めます。 ○ アクセシブルな書籍等の製作を無償のボランティア等に頼っている現体制について、その抜本的な見直しを国に求めていきます。 ○ 障がい者手帳の有無や手帳に記載された障がい種別・等級等による利用サービスの制約について、その対象範囲の拡大に向けた検討を国へ要望します。 ○ 国への要望にあたっては、利用者と身近に接している公立図書館や市町村と連携します。 ○ 大阪府、府立図書館及び大阪府点字図書館は、府内市町村における施策の推進を支援し、府域全体の読書環境整備を図ります。