第1章 はじめに(計画の策定にあたって) 1.策定の趣旨  令和元年6月21日、議員立法により、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(以下「読書バリアフリー法」という。)が成立し、同年6月28日に公布・施行されました。  本法は、視覚障がい者等(視覚障がい、発達障がい、肢体不自由その他の障がいにより、書籍(雑誌、新聞その他の刊行物を含む)について、視覚による表現の認識が困難な者をいう)の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進することにより、障がいの有無にかかわらず、すべての国民が等しく読書を通じて、文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的としています。  その実現のため、読書バリアフリー法第4条に、「国は、前条の基本理念にのっとり、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」こと、同第5条に、「地方公共団体は、第3条の基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する」と規定されています。また、同第8条においては、「地方公共団体は、(国の)基本計画を勘案して、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の状況等を踏まえ、当該地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画を定めるよう努めなければならない」として、地方公共団体における計画の策定を求めています。  大阪府においては、この規定に基づき、基本的な施策の方向性を示すとともに、取組を推進するための指針として、本計画を策定しました。  なお、「第4次大阪府子ども読書活動推進計画」や「第5次大阪府障がい者計画」など、関連計画等との連携を図りながら、施策を推進します。 2.計画の理念・役割  本計画は、国の計画と同様に、障がいの有無にかかわらず、すべての府民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的とし、視覚障がい者等の読書環境の整備を通じ、障がい者の社会参加・活躍の推進と、すべての人間(ひと)が支え合って生きるインクルーシブな社会の実現をめざしています。  読書は、一生涯にわたって、個人の学びや成長を支えるものであり、教養や娯楽を得る手段としてだけでなく、教育や就労を支える重要な活動です。  一方で、視覚障がい者等が利用しやすい書籍等は、一般書籍に比べると発行数が少ない状況にあります。障がい等の有無にかかわらず、誰もが読みたい書籍に出合い、触れるための環境整備は大変重要であり、大阪府においても、取組が求められています。 3.計画の対象  本計画は、視覚障がい者、読字に困難がある発達障がい者、寝たきりや上肢に障がいがある等の理由により、書籍を持つことやページをめくることが難しい、あるいは眼球使用が困難である身体障がい者を対象としています。  なお、読書環境の整備にあたっては、聴覚障がい者、知的障がい者、高齢者、外国人等、さまざまな状況により読書や図書館の利用に困難を伴う人へも配慮します。 4.計画期間  計画期間は、令和3年度からのおおむね5年間とします。