泉州普及だより 平成25年12月発行 第71号 ●みかん産地の新たな動き 体験・交流型農業による地域活性化をめざして  和泉市は府内最大のみかん産地ですが、みかん価格の低迷や生産者の高齢化等みかん 栽培を取り巻く環境の変化により生産面積は大きく減少しています。  そのため、当事務所では和泉市と連携・協力し、市南部の横山地区において5つの 農業団地を整備し、体験・交流型農業を進めてきました。体験・交流型農業を展開する なかで和泉市特産物のみかんを地域の住民に知ってもらうために、1.横山地区に足を 運んでもらう、2.みかんを使用した特産物の商品開発支援を行っています。  平成18年に開園し、3〜5月のレジャーとして人気がある「いちご狩り」に続けて、 みかんが開花する5月中旬に「みかんウォーク」、夏休みには地元産竹材を使用した 「流しそうめん」、秋には黒大豆の枝豆や落花生等の収穫体験ができる「味覚祭」を 開催するなど1年を通して横山に足を運んでもらうイベントが定着してきました。  また、道の駅「いずみ山愛の里」を拠点に活動する農産加工グループ有限会社いずみ の里では、みかんペースやみかん餡(あん)を使った加工品を特産品にしようと、地域の みかん生産者や加工業者と話し合い、試作を重ね、ようやく商品化に結びつけました。  和泉市もこれらの取り組みを支援するため、和泉みかんのロゴマークやゆるキャラを 活用しPRしています。さらに、昨年度から横山地区の若手柑橘生産者の栽培・経営 管理技術の向上をめざして定期的な学習会を開催し、担い手育成にも取り組んでいます。  当事務所では、今後は体験・交流型農業の拠点である「いずみふれあい農の里」と 道の駅「いずみ山愛の里」の双方で和泉みかんをはじめとする様々な地域農業の情報を 発信し、府民が何度も足を運びたくなる地域づくりを支援していきます。 ●軟弱野菜の安定生産に向けて こまつな周年栽培での根こぶ病防除試験  近年、施設栽培の大阪しろな、みずな、こまつなで根こぶ病の被害が問題となってい ます。アブラナ科野菜で発生する根こぶ病は、連作障害の一つで、軟弱野菜を連作する ほ場では安定生産を妨げる大きな課題となっています。  本病害は土壌のpHが7.2以上で発病が抑制されます。一方、石灰質肥料の施用で は、pHは上がるものの、pHの上昇により土壌中の有機物の分解が早くなり、ホウ素、 マンガン等の微量要素が流亡し、要素欠乏症が発生するなどの影響があります。  今回堺市で試験をした「てんろ苦土石灰」はpHをあげると共に、微量要素の欠乏が 出にくい資材です。「てんろ苦土石灰」を2作で10アール当たり500キログラム 施用したところ、土壌のpHは6.9程度への上昇でしたが、根こぶ病の被害軽減効果 がみられました。  今後、本資材に加え、客土、排水対策、オラクル粉剤の効果的な使用、発病株の 持ち出し等総合的な防除対策によって、連作障害回避技術の普及を進めていきます。 ●おめでとう&ありがとう ○表彰 おめでとうございます! 堺市の霜野繁治さんが、平成25年11月22日に公益社団法人大日本農会より 平成25年度農事功績者表彰において紫白綬有功章を受章されました。 ※紫白綬有功章は緑白綬有功章受章後、10年以上経過し、その功績が特に優秀な 農業者に授与されます。 ○農の匠退任 長い間ありがとうございました! 村木基純さん(堺市)、木下良三さん(岸和田市)、辻孫治さん(泉南市)が農の匠を 退任され、平成25年7月17日、知事感謝状を授与されました。長い間地域農業の 振興や農業の担い手育成にご協力いただきありがとうございました。 ●お知らせ ○大阪産(もん)6次産業化サポートセンター開設  平成25年11月11日、「大阪産(もん)6次産業化サポートセンター」が開設 されました。  来所及び電話相談を受け付けておりますので、6次産業化に興味のある生産者の 皆様は、是非ご相談ください! 連絡先:株式会社JTB西日本 法人営業大阪支店内(担当:大山、石川、秋口) 電話:06−6252−2540 受付時間:10時00分〜17時00分(土日祝日除く) ※6次産業化  農業者が自ら、または他業種と連携し、生産(第一次産業)から加工(第二次産業)、 販売(第三次産業)までを一体的に(1×2×3=6)行うこと。