泉州普及だより 平成30年12月発行 第91号 このたびの台風21号により府内全域で甚大な被害が発生しています。被災された皆様に対しまして心からお見舞い申し上げます。大阪府では一刻も早く復旧が進むよう、全力で取り組んでまいります。 ●夏季のしゅんぎくの安定生産に向けて 大阪府は千葉県に次ぐ全国第2位のしゅんぎくの産地で、平成29年(2017年)の生産量は3,410トンとなっており、なかでも泉州地域は、堺市、岸和田市、貝塚市といった主要な産地を有しています。 大阪府産のしゅんぎくは市場からも高い評価を得ており、旬である冬季だけでなく年間を通じて需要があることから、パイプハウスなどの施設栽培によって年中生産されています。 [写真]ハウスで栽培中のしゅんぎく 夏季における生産については以前から芯枯症などの障害が発生しており、農の普及課では、しゅんぎくの夏季安定生産に向けて、その原因の究明と対策に取り組んできました。しかし、近年は、夏の酷暑や日照り、空梅雨などの気象条件により、発芽不良、生育不良、病害などの障害の発生が顕著になり、夏季の栽培を断念する農家が相次いでいます。 そこで、夏季のしゅんぎくの栽培技術の確立と生産者の確保による生産量の安定を図ることを目的に、平成25年度から夏季の肥培管理、土壌改良資材の利用、適した品種の選抜、パイプハウスなど施設への遮光資材展張、かん水方法の工夫など様々な現地実証や聞き取り調査を行ってきました。 今年度は、篤農家の夏季のかん水管理について、計測機器を設置し、長年の経験と勘により培われてきた技術のデータを収集し、数値化しました。具体的には、7月には種する作型について、篤農家のほ場に土壌水分量を計測する機器(pFメーター)等を設置し、しゅんぎくの生育段階ごとにほ場の土壌環境、かん水管理、温度条件等を調査、記録しました。 [写真]pFメーター 上がデジタル、下がアナログ [写真]pFメーター設置の様子 [写真]現地での調査の様子 今回得られたデータを含む調査結果を検証し、過去の調査で得られた結果やポイントも踏まえた上で夏季のしゅんぎく栽培のための資料を作成し、今後、栽培に取り組む方の指導に活用して行く予定です。 ●若手女性農業者のネットワーク化を目指して 女性農業者は、農作業に従事するとともに、女性ならではの感性を生かした農産物の情報発信や、自家農産物を活用した加工品製造に取り組むなど、農業経営の一翼を担う重要な存在です。しかし、管内では若手女性農業者が点在していて、研修の機会や横のつながりを作りにくい状況にあります。 そこで農の普及課では、若手女性農業者が交流できるきっかけを作るため、10月17日に女性農業者研修会兼交流会を開催したところ、11名の方に参加いただきました。 講師に大阪府6次産業化プランナーの小財誓子氏を迎え、「女性の視点が、農の新たなマーケットを切り拓く 〜活かそう!女性ネットワークの力〜」と題し、講義及びグループワークを実施しました。グループワークでは3班に分かれ、「百貨店での催事」「地域イベントの開催」「商品開発」のテーマ別に自らの農産物を使った企画を検討してもらいました。 [写真]研修会の様子 参加された皆さんは初対面の方が多かったにもかかわらず、活発な意見交換が行われ、「ママ農家が作る新鮮野菜の販売イベント。ハロウィン等にあわせて家族で楽しめるものにしたい」等の企画が発表されました。最後に参加した感想を発表してもらったところ、「同じ立場の人と話ができて、楽しかった」「今後も交流をしたい」「考えた企画を実現したい」という意見が出されるなど、充実した研修会となりました。 農の普及課では、管内若手女性農業者のネットワーク化を目指し、来年1月頃に第2回研修会兼交流会を計画しています。女性の力で泉州地域の農業を盛り上げていけるよう、支援していきます。 ●各種お知らせ 〇簡易分析器による栄養成分分析制度のご案内  大阪府立環境農林水産総合研究所(環農水研)では、食品の熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量を簡易に分析できる機器をご利用いただける制度を始めました。費用は1検体あたり税込み3,500円(4検体まとめてお申込みの場合は4検体で12,000円)で、ご利用は毎週木曜日のみとなります。制度についてのお問合せ及びお申し込みは、環農水研 食品技術グループ(TEL 072-979-7063)まで。 〇災害に関する制度融資のお知らせ 大阪北部地震や平成30年7月豪雨、台風21号等の自然災害により被災された農業者の皆様が一日も早く経営を再開できるように、国はJAや日本政策金融公庫等の融資機関に対し、借入金の返済猶予や返済期間の延長など、被災された農業者の実情に応じた対応をするよう要請しています。返済猶予等には申請期限などの条件がありますので、お早めに融資機関にご相談ください。 また、台風21号により被災された農業者等を対象とした「大阪版被災農業者無利子融資事業」については、本年度の受付が平成31年3月29日金曜日までとなっています。ご利用を検討されている方は各JA窓口にご相談ください。「大阪府 農林漁業者向け制度融資」で検索してください。 ●台風21号による農作物・農業被害の状況および被害への支援策について 大阪府ホームページにて、農業被害への支援策等についてご確認頂けます。 http://www.pref.osaka.lg.jp/nosei/h30taifu21/index.html