泉州普及だより 平成30年7月発行 第89号 ●GAPであなたの経営を見直しませんか? 東京オリンピックの食材調達をきっかけにして、農業生産現場ではGAP(ギャップ:Good Agricultural Practice)に関心が高まっています。GAPは「農業生産工程管理」という意味で、食品安全、危害防止、環境保全、労働安全、生産性向上などに関する手順やルールを整備し、経営全般を見直し、管理する手法です。 大阪府では、平成29年度からGAPに取り組む農業者を支援するため、各種施策を実施しています。 ・GAPキックオフセミナーを開催! 大阪府はGAP推進の一環として、5月28日に岸和田市の浪切ホールで「GAPキックオフセミナー」を開催し、農業者、関係団体等120名を超える参加者がありました。 当日はGAP認証機関からの説明や、滋賀県のトマト生産者「農業生産法人 浅小井農園株式会社」の松村務氏によるJGAP(※)認証取得の具体的な流れ、認証を取得したことによる販路開拓、信頼の向上などについての講演がありました。 続いて府内で現在JGAP認証取得に向けて取り組んでいる富田林市のなす・きゅうり生産者「ナカスジファーム」の中筋秀樹氏と「乾農園」の乾裕佳氏の2者が認証取得に向けた現在の経過状況を説明しました。従業員と協力しながら「手順やルール(マニュアル)」を作成する作業の苦労話や、GAP管理点の確認を通じて、今まで気づいていなかった危険箇所の発見があったことなどについて紹介がありました。 ・GAPに取り組むことによるメリット GAPでマニュアルを整理することにより、これまで経営主が勘で指示していたことを数値化/規格化できます。また、農機具の整理整頓を徹底することで、従業員の作業効率が改善したり、従業員が検証や改善提案に参加することで自発性ややる気が高まったりするなどの効果があります。さらに、認証を取得することで取引先からの信頼が高まり、販路開拓につなげることができます。 ・GAPの取組み方 JGAPの場合、120項目の管理点(チェックポイント)があります。これら管理点に関する作業や自己点検のやり方などを自分たちで決めていきます。 個々の管理点は、農業者が日頃当たり前のように行っている作業です。項目ごとに文書化し、記録、検証、改善してマニュアルを更新というサイクルを回すことがGAPの基本です。 農の普及課では管理点の確認やマニュアルの作成への支援を行っています。 ぜひ、取り組んでみましょう。 (※)JGAP:日本GAP協会が運営する、食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証 ●泉南市に新たな担い手が誕生! 今回ご紹介する梶本昌稔さんは、(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所農業大学校や水なす農家の元で栽培や経営等農業に必要な技術を習得した後、昨年秋から泉南市六尾地区で泉南市初の認定新規就農者として、営農を開始しました。 就農当初からハウスで水なす栽培をしたいという想いがあり、青年等就農資金という融資制度を活用することにしました。農の普及課では融資を受けるのに必要な栽培・収支計画の作成を支援するとともに、販路開拓や雇用の活用についてアドバイスしました。その結果、ハウス6アールの導入につながり、今年から水なす栽培を始めました。 梶本さんは「初めはやるべき管理が遅れたり、資材の選定に時間がかかってしまって作業が追いつかなくなっていたが、今は先回りして栽培管理するよう心がけることで収量や品質が良くなってきた。今後は規模拡大し、地域を担う農家になりたい。」と意欲的に営農されています。当事務所では引き続き梶本さんが地域の担い手となるよう支援していきます。 ●農業用アシストスーツの検討会を行いました! 農業現場では、担い手が高齢化する一方、経営規模の拡大も進んでおり、農作業の負担軽減と効率化が課題となっています。泉州地域でも、重量野菜と呼ばれるキャベツやたまねぎなどは、収穫やトラックへの積み下ろしを人力で行っており、大きな負担となっています。そこで、これらの作業を機械で補助する農業用アシストスーツが解決策として期待され、各メーカーが開発にしのぎを削っています。 その実用性を検討してもらうため、農の普及課が支援し、平成30年1月26日に泉州管内の若手農業者の団体である泉南地区4Hクラブ連絡協議会が、メーカー2社の協力を得て、検討会を行いました。実際に装着してみることでその有効性が確認できた一方、スーツを着用した際の独特な動き方に慣れない、コスト面に課題があるといった意見が出されました。 今後も農業分野への先端技術を活用した高収益型農業を目指した取組を行っていきます。 ●あなたは大丈夫?『農薬の適正使用』 農薬を使う時に「慣れ」から、農薬のラベルを確認せずに「つい、うっかり」使用する可能性があります。もし、あなたの農産物から基準値を超える農薬が検出された場合、あなた自身だけでなく地域の方々にも多大な影響を与えてしまうことになりかねません。農薬の使用に際しては「ラベルを確認する」、「使用履歴を記録する」、「散布後は噴霧器を洗浄する」、「周辺への飛散に注意する」など当たり前のことですが、あらためて確認しましょう。 今年5月、6月に、生鮮野菜が原因と疑われる腸管出血性大腸菌O157の食中毒・感染症の発生がありました。食中毒・感染症をおこさないよう、葉物野菜などの衛生管理を徹底しましょう! webページから衛生管理の指針を見ることができます。ご自身の衛生管理の取組を確認&チェック! http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_yasai/