泉州普及だより 平成27年12月発行 第79号 ●シャインマスカットの品質向上を目指して 有色袋を使った黄化抑制技術 岸和田市を中心に大粒系ぶどうの生産が増加しており、現在約40名の生産者がJAいずみの愛彩ランドに出荷しています。特に、消費者から人気の高いシャインマスカットは、愛彩ランドの夏の目玉商品になりつつあります。 しかし、シャインマスカットは糖度が高くなるのを待っていると「黄化して『かすり症』を発症し、品質低下を招く」、「収穫適期が集中する」などの課題があります。そこで、収穫時期をずらし、高品質のシャインマスカットを長く出荷できるよう、黄化を抑える効果のある青色や緑色の有色袋を生産者に利用してもらいました。調査の結果、一定の効果が認められ、9月に現地研修会を実施しました。 来年は有色袋を利用した色の良いシャインマスカットが長期間味わえそうです。 ●高設いちごの研修会 今、観光いちご園が人気です 泉州地域では、観光いちご園が増えています。観光いちご園は、食べ比べてもらったり、長期間いちご狩りができるよう、2品種以上を組み合わせて栽培しており、各品種にあった病害虫防除、栽培管理に工夫が必要です。 今回、他産地で人気のある新品種「かおり野」などの特性と、「章姫」「紅ほっぺ」「やよいひめ」など泉州で栽培されている品種の栽培上の留意点、収穫期間を延ばすための品種の組み合わせ方について研修を行いました。 また、(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所が開発した「中空培地を利用した栽培システム」導入園(堺市)の協力を得て視察研修会を開催しました。 参加者からは「品種ごとの管理のポイントがわかり参考になった」と好評でした。 ●農の匠と青年農業者の意見交換会を開催 農の普及課では、9月1日に岸和田観光農園(農の匠の藤原克陽氏経営)で、「『農の匠』と青年農業者の意見交換会」を開催し、泉州地域の農の匠(OB含む)9名、青年農業者11名、市町・JA関係者9名の計29名が参加しました。 藤原氏からは「喜んで貸してもらえるだけの借地代を払う」「栽培は努力で向上できるが、販売では人のつながりを大事に」「ホームページなどの専門的分野はコンサル等を活用」「観光農園とすることで収穫から出荷の手間をお客さんが負担してくれる。その分の労働力を新規の観光果樹の導入に向けたい」など工夫点や今後の展開を説明していただきました。 その後、出席者から「5年、10年先の経営」についてスピーチを行いました。青年農業者からは「ハウスを建てたい」「面積を拡大したい」「販売戦略の重要性が理解できた」「新たな品目にチャレンジしたい」「多品目を目指したがうまくいかないので品目を絞った」などの意見が出ました。農の匠からは「誰でもできるよう農業の環境を整えたい」「買い手あっての生産。注文から逆算して生産すれば無駄がない」「作りにくい作目はできるだけ避ける。作りやすいものを作りやすいときに、いかに高く売るかを考える」「B品でも売り先次第で付加価値が発生する」「失敗の後、その真逆をやれば概ね成功する」などの経験やアドバイスが寄せられました。 閉会後、青年農業者からは「父親と同世代の人と話す機会が無く、参考になった」「他の地域・作目のベテランの方の話を聞く機会が無かったので良かった」、農の匠からも「後継者育成は匠の使命。今後も続けていきたい」との声が寄せられました。 農の普及課では平成28年2月に第2回の意見交換会を予定しており、農の匠と青年農業者との交流を深めていきます。 ●知っていますか 旬の泉州の大阪産(もん) しゅんぎく 関東では秋に咲く菊に対して、春に花が咲くから「春菊」。関西では葉を食べる菊なので「菊菜」と呼ばれています。大阪府のしゅんぎくの生産量は全国2位で、冬の鍋物には欠かせません。カルシウム等の無機質やビタミンAを多く含んだ緑黄色野菜です。 キャベツ 大阪では主力品種の「松波」があり、お好み焼きの食材として最適で、生食用としても市場で高い評価を得ています。「松波」の出荷最盛期は12月です。また「彩音」「冬のぼり」「春波」等の品種も栽培されており、泉州キャベツは10月から翌年の5月頃まで出荷が続きます。