泉州普及だより 平成26年3月発行 第72号 ●動き出す新しい力!貝塚市における新規就農者支援 農の普及課では、管内市町、大阪府みどり公社等と連携し、農業者以外の方が農業へ新規参入を 希望される際、相談を受け営農定着を支援しています。  貝塚市木積(こつみ)地区には、多くの新規就農者が農地の利用権設定を受けて耕作しています。 当課では新規就農者の営農定着化に向けた取組として、市及び木積土地改良区とともに、平成23 年から月1回「土づくり」「病害虫防除」「農薬の安全使用」等をテーマに研修会を開催してきま した。毎回、出席者同士での活発な議論や、日頃の農作業に関する疑問を解決する場となっていま す。出席者からは「土づくりの重要性がわかった」、「昨年は上手く栽培できなかったが、今年は 定植作業を早めにしたところ、上手くいった」といった声が聞かれるなど、勉強と農業実践による 経験とともに、栽培技術が高まっています。  昨年、就農を果たしたAさんは、「大阪府農の匠」である水なす農家において研修を受けつつ、 就農に向けて府、貝塚市に相談されました。市は、みどり公社と連携し農業経営基盤強化促進法に 基づく農地の利用権を設定し、府は、JA大阪泉州と協力し、ハウスを設置するために、無利子の就 農支援資金を認定就農者として借り入れることを支援しました。今春からAさんはハウス水なすを 生産する予定です。  また、複数の新規就農者が「青年就農給付金」(就農時、45歳未満等の条件を満たした新規就農 者に年間150万円を最長5年間給付)制度を利用し、農業者として自立を目指して頑張っています。  新規就農者の中には木積営農組合朝市部会員もおり、収穫した野菜を地元農家とともに、週に1 回日曜日に開かれる「木積農の里日曜朝市」で直売しています。このほか、4月にはたけのこ祭、 11月には秋の収穫祭も開催しており、多くのお客さんで賑わい、新規就農者と地元農家が一丸と なって地域を盛り上げています。 ●おめでとうございます!有限会社 阪急泉南グリーンファーム この度、平成25年度大阪府農業生産・経営近代化優秀農業者等選賞事業にて 「有限会社 阪急泉南グリーンファーム」が大阪府知事賞を授与されました! ●天敵に害虫を食べさせて農薬削減 土着天敵利用による露地水なす栽培におけるアザミウマ対策   漬け物や料理に今や引っ張りだこの水なすは、泉州地域が特産地です。水なす栽培では果実に傷 をつけ商品価値を下げる害虫(アザミウマ類)の防除が、農家にとって非常に大きな負担となって います。さらに薬剤抵抗性をもつ害虫の出現によって農薬も効かないものが増えてきています。  そこで、害虫を食べる虫で退治しようという天敵農薬の利用が始まっています。しかし、ほとん どの天敵農薬は施設栽培での使用に制限されています。この手法を露地栽培に取り入れることがで きないかを検討するため、普段から畑や草むらに生息する天敵(土着天敵)の利用を試みました。  具体的には、畑の隣に害虫を食べる土着天敵(ハナカメムシ)が好んで集まるマリーゴールドを 植えて天敵の密度を高め、畑の中にいる害虫を食べさせる簡単な方法です。ただ、天敵だけでは完 全に害虫を退治できないので、そのときは農薬を使いますが、天敵に影響の少ない農薬を必要最小 限に散布します。  この試みは始まったばかりです。これからも、農の普及課では継続した調査を行い効果を検証し ていきます。今回の取組について、興味を持たれた方はお気軽にお問い合わせ下さい。   ●続・ふき消費拡大へ向けた取組 大阪産(もん)「大阪ふき」PR試食会を開催しました  泉南地区特産の「大阪ふき」は今がまさにシーズンです。しかし生産者の高齢化、消費の減少に より存続が危ぶまれていることから、「大阪ふき」の復興を目指した取組を進めています。今シー ズンは多くの消費者に、生産地とふきのおいしさを知りもっと身近に感じてもらうため、熊取町農 業祭と泉佐野農協祭で試食会を開催しました。  試食会ではプロの料理人によるふき料理のふるまいに加え、手間がかかるため敬遠されがちな下 ごしらえを簡単にできる方法を実演したところ、非常に好評で、ふき料理のレシピも瞬く間になく なる盛況ぶりでした。  農の普及課では、今後も引き続き、消費者が手にとりやすいよう、ふきの鮮度保持包装や6次産 業化による加工品の開発等を支援していきます。