資料2 大阪府障がい者差別解消条例施行状況の検討について(本日の検討事項 資料1に示す論点以外)     広域支援相談員の権限強化(実効性の確保)について(第9回資料1−1より抜粋)  (補足)相談員の活動に実効性を担保する手法について  ・手法1 事業者が相談員の活動に正当な理由なく協力しない場合に府知事名による勧告・公表という仕組みを設ける。  現行の2段階構成での仕組み(広域支援相談員による対応、合議体によるあっせん・府知事名での勧告・公表)を設けている意味が失われ、また、相談員が有する裁量が失われる懸念がある。  ・手法2 事業者に対する協力義務(※)を新たに条例に規定する。  規定には法的効果はないこと、また、条例第5条の規定により、事業者には府施策への協力に係る努力義務が課せられている。    (参考)茨木市障害のある人もない人も共に生きるまちづくり条例  第8条 市内に居住し、通勤し、又は通学する障害のある人、その家族、後見人及び支援者並びに事業者は、市長に対し、前条各号に掲げることに関する相談を行うことができる。  2 市長は、前項の相談を受けた場合は、必要に応じて、次に掲げる対応を行うものとする。  (1)助言、情報提供その他の前項の相談に係る事案を解決するために必要な支援  (2)前項の相談に係る事案の当事者及び関係者に対する事実の確認及び調整  (3)関係機関への通知 (当事者及び関係者の協力)  第9条 前条第2項第2号の当事者及び関係者は、市長の同項各号に掲げる対応に対し、正当な理由がある場合を除き、必要な協力をしなければならない。  ※上記は、平成30年度「大阪府障がい者差別解消条例運用状況に関するワーキング」構成員の意見に基づいた整理である。     (事務局の見解)  相談員は、事業者から協力を得られない場合に、十分な調査を行うことができないケースが考えられるが、障害者差別解消法が、行政措置によって実効性を確保する行政法的アプローチを採用していることから、行政(相談員)が紛争解決を行うことにはそもそも限界がある。  この限界のなかで、府条例では、相談員が対応してもなお解決が見込めない場合に、合議体によるあっせん及び知事の勧告・公表という事実上の制裁措置により実効性を確保しており、現行の条例の2段階構成での仕組みがうまく機能していると言えるのではないか。    (第9回大阪府障がい者差別解消協議会での委員の主な意見)  相談員の活動に実効性を担保する手法として、一つに、事業者が相談員の活動に正当な理由なく協力しない場合に府知事名による勧告・公表という仕組みを設けるということが考えられるが、これは事実上の制裁措置であるため、相談対応について条例で細かに規定するといった手続きの明確化が求められる。このことにより、相談員が裁量の範囲で行っている柔軟な対応が困難となる懸念があることを認識しておく必要がある。  条例施行後3か年の間に、事業者が、広域支援相談員が行う調査に非協力的である事例もあったことを踏まえると、相談員の活動に実効性を担保する手法として、事業者に対する協力義務を新たに条例に規定することが考えられる。  条例第5条では、事業者には府施策への協力に係る努力義務が課せられているが、これは極めて一般的・理念的で原則的なルールを規定したものなので、「茨木市障害のある人もない人も共に生きるまちづくり条例」第9条のように、紛争解決に向けて有効に機能し得る規定を定めるべきではないか。  行政法的アプローチを採用していることから、行政が紛争解決を行うことには限界があることは事実であるが、だからこそ、広域支援相談員が円滑に調整等の活動を進めることができるための枠組みを設けることは必要である。  事業者が広域支援相談員の活動に非協力的であるがために解決が見込めない場合でも、あっせんでの紛争解決の仕組みを条例に規定していることから、事業者の協力義務規定は不要ではないか。  条例の2段階構成での仕組みは、条例施行後3か年の間にあっせんに至った事案がないことから、必ずしもうまく機能しているとは言えず、また、合理的配慮の不提供はあっせんの対象外である。紛争解決の機能が果たされるよう、事業者に対する広域支援相談員の相談活動に対する協力義務規定を設けることは必要ではないか。  相談員が活動しやすいよう、事業者の協力義務規定を設けることは一つであるが、規定には法的効果はないということも踏まえたうえで検討すべきである。