資料1 第10回大阪府障がい者差別解消協議会「大阪府障がい者差別解消条例施行状況の検討について」の主な委員意見  以下、論点、事務局の見解、主な委員意見の順に記載します。   【論点1】広域支援相談員の機能について  (1)広域支援相談員の対応力の向上に向けた取組みについて  (事務局の見解)  合議体による助言や分析は相談員の対応力向上につながっており、今後も現行の仕組みのまま継続することとしてはどうか。  (主な委員意見)  相談員同士の交流や事例研究による相談対応の質の向上に向けた仕組みづくりが重要である。  合議体は開催回数が限られることから、相談員OBによるスーパーバイズがあると良いのではないか。   【論点2】大阪府障がい者差別解消協議会の機能について  (1)支援地域協議会としての機能について  (事務局の見解)  合議体は、広域支援相談員が受け付けた相談事案に対する助言・検証を通じて事案を共有するとともに、あっせんによる紛争解決の機能を有しており、支援地域協議会としての機能の一部を果たしている。また、解消協は、障がい者差別解消に資する取組みの共有の機能を有しており、合議体とは異なる機能を有している。  ただし、解消協については、現在、十分に発揮できていないと考えられる機能があることから、今後は以下の視点で取組みを強化していくことが求められるのではないか。  〈視点〉  ・現在の解消協は、府への政策提言が中心であり、府内の地域の実情に応じた差別解消のための取組みを主体的に行うネットワークとしては、十分に機能できているとは言い難い。構成機関による周知啓発の取組み、必要な社会資源の開発・改善などの検討・実施に取り組むことができていない。  ・解消協委員各自が、支援地域協議会のメンバーであることを意識し、障がい者差別のない地域社会づくりに向けて、地域住民の意識を喚起し、新たなネットワークや社会資源を開発する社会的な活動を展開できるように、協議会組織のあり方を検討する必要がある。  ・合議体での事例検証の中で明らかとなる課題や施策の方向性に関して、解消協で意見交換ができるような会議運営を検討すべきである。  ※平成30年度「大阪府障がい者差別解消条例運用状況に関するワーキング」より抜粋  (主な委員意見)  大阪府では、他都道府県の障害者差別解消支援地域協議会と比較すると事例の共有はすすんでいるが、さらに1歩踏み込んだ取組みが求められていることが課題である。具体的には、府政に対して意見を述べるだけではなく、法の障害者差別解消支援地域協議会設置の趣旨を踏まえ、各団体が協議会のネットワークを活用して、行政と連携しながら、差別解消の取組みをすすめていくことが求められる。  大阪府障がい者差別解消協議会で、事務局が施策等の説明をし、意見を求める運営のあり方を見直し、グループディスカッション等により、委員等が差別解消の取組みなどについて意見交換し、それをまとめていくことも一つではないか。  障害者差別解消支援地域協議会としてのネットワークを活用し、市町村とともに積極的に差別のない地域づくりをしていくため、障がい者差別解消協議会に市町村が参画することを検討してはどうか。  法における障害者差別解消支援地域協議会は、構成機関として、国と地方公共団体を想定しているが、組織としてどのように設置運営するかは地方公共団体の裁量にある。  支援地域協議会の機能を有する大阪府障がい者差別解消協議会は、条例において、知事の附属機関として、障がい者団体などの関係団体が構成員として参画し、市町村などの関係機関は構成員として位置づけられていないことから、解消協議会において関係機関との情報共有は難しいという課題がある。      【論点3】合議体の機能について  (1)合議体が果たしてきた機能について  @あっせん実施型合議体について  (事務局の見解)  合議体が有する機能の一つであるあっせんは、当事者間で合意形成により紛争解決をめざすものであり、障害者差別解消法上、行政は裁判所のような実効的な紛争解決の権限を有していない。よって、以下の場合には、あっせんによって紛争事案の解決を図ることに限界があるのではないか。  ・当事者間の意見の隔たりが大きく、これ以上あっせんを継続しても進展が見込めない場合  ・当事者のうち一方と連絡がとれずあっせんの継続が困難である場合  (主な委員意見)  事業者は合議体に対する調査協力義務はなく、事業者が話し合いの場に出席しない場合は通常、あっせん終了となる。事業者に無理やり話し合いの場に出席してもらうことができたとしても、その状況では建設的対話は困難である。その場合に、条例第10条第4項に規定する、合議体があっせん案を作成するケースが出てくる。  障がい者、事業者の双方が話し合いで合意できない場合、合議体が解決策の案を作り、双方がその案で合意すれば、それがあっせん案になるのではないか。このことにより、広域支援相談員が行う当事者間の調整よりも、一歩踏み込んだ紛争解決が可能になる。    Aあっせんの対象に合理的配慮の提供(努力義務)を加えることについて  (事務局の見解)  あっせんの対象に合理的配慮の提供(努力義務)を加えることについては、以下の点を踏まえてどう考えるか。  ・現在も合理的配慮の不提供により不当な差別的取扱いに至ると考えられる場合はあっせん対象としていること  ・合理的配慮の提供が努力義務である以上、知事による勧告・公表規定の対象からは除外することになることから、あっせんの対象に加える実益があまりないこと  (主な委員意見)  合議体によるあっせんが知事の勧告・公表という事実上の制裁を伴うことから、努力義務である合理的配慮の不提供をあっせんの対象にすることは難しい。 なお、現行においても、合理的配慮の不提供により、不当な差別的取扱いに至る事例はあっせんの対象にすることとしている。  努力義務、法的義務にかかわらず、法の趣旨は建設的対話を行うことであり、あっせんの場はそれにふさわしい。広域支援相談員による対応には限界があることから、合議体があっせんの場で当事者双方に建設的対話を促すことは非常に効果的であり、合理的配慮の不提供をあっせんの対象に加えるべきである。  障がい者自身では事業者との建設的対話が難しい場合に、第三者による調整を望んでおり、合議体によるあっせんは、障がい者にとって「頼みの綱」である。そのことを踏まえると、あっせんの対象に加えるべきである。  努力義務である合理的配慮の不提供をあっせん対象にすることは、制度的になじまないのかの整理が必要。  努力義務のままであっせん対象に加えることができない、あるいは加えることに意味がない場合に、合理的配慮の不提供をあっせんの対象に加える必要があるならば、合理的配慮の提供の法的義務化を検討する必要がある。  努力義務であってもあっせんの対象に加えることができる、あるいは加えることに意味があるのであれば、その手法を検討することも一つ。  <第11回、第12回大阪府障がい者差別解消協議会で予定している「事業者による合理的配慮の提供について」の議論を踏まえ、再度審議>  B助言・検証実施型合議体について  (事務局の見解)  合議体が有する機能の一つである、広域支援相談員が行う職務に関する助言については、立場や専門性を異にする解消協委員や専門委員が集まり意見交換を行うことにより、広域支援相談員の対応力向上につながり、また、将来のあっせんにも備えることができ、有意義な取組みであることから、今後も継続して実施することが必要ではないか。  ただし、あっせんに備えて、合議体の判断の安定化や助言機能の向上も求められるのではないか。  (主な委員意見)  議論なし      【論点4】府民の障がいに対する理解の促進について  (1)障害者差別解消法及び大阪府障がい者差別解消条例施行後3か年の啓発の取組みについて  (事務局の見解)  大阪府では、法及び条例施行に伴い、大阪府障がい者差別解消ガイドラインなどの啓発冊子を作成し、配布するとともに、ふれあいキャンペーンなどの障がい理解の取組みにも適宜、法の内容を追加するなどの啓発に努めてきた。  しかし、広域支援相談員が受け付けた事案からは、障がいのある方への偏見や無関心が依然伺えることがあるので、引き続き障がい理解の浸透に向けて努めていくものとする。  また、今後の府民の障がい理解の浸透に向けて、特に以下の取組みを進めていくことが求められるのではないか。  1 関係機関が有するネットワークを活用した啓発活動の推進(障がいのある方に対する啓発活動の推進を含む)  2 市町村における啓発活動の促進に向けた取組み  (主な委員意見)  府民の障がい理解が十分ではないと考える。障がい者差別解消協議会が有する障害者差別解消支援地域協議会の機能強化が課題であり、障がい者差別解消に向けて、地域と連携しながら、教育での取組みなど啓発のあり方を考え、取り組んでいくことが必要ではないか。  教育のカリキュラムにおいて、インクルーシブ社会や共生社会の考え方、障がい理解の促進に向けて取り組んでもらいたい。また、地域の回覧板レベルでの共有もすすめていくべきである。  学齢期から発達段階に応じた「障がいの理解」に関する学習が大切である。その際に、様々な障がいについての知識を学ぶだけでなく、疑似体験やディスカッションを通して、子どもたちが主体的・体験的に学んでいくことが重要である。そして、子どもたちの学びを深めるためには、指導する教員が障がい理解・啓発に必要な最新の知識と方法を習得しておく必要があり、教員への研修等の機会の充実が求められる。