参考資料1−2 平成28年度から3か年の合議体の意見について   1 相談状況の整理と検証(平成28年度)  1.分析等の対象とする相談事例の範囲  (1)合議体での主な意見  「差別的発言」などは、法上の差別の類型には、直接該当しないとの意見もあるが、法の趣旨の周知を図っていく対象と考えられることから、検討の対象範囲とすべき。  障がい者間の異なる取扱いは、法上の差別に当たらないとの見解もあるが、共生社会の実現に資するとする法の目的に照らし、差別的取扱いに準じたものとすべき。  (2)府における整理と検証  差別の温床となると思われる「差別的・不適切な言動」等の事例についても、分析等の対象としていく。  障がい者間の異なる取扱いにおいて、不当な差別的取扱いに当たるおそれがあるものについては、差別的取扱いに準じて取り扱っていく。  2.広域支援相談員の相談対応  (1)合議体での主な意見  相談があった際、相談窓口における初期対応が重要。差別にあたらないとしても、否定から入るのではなく、本人の気持ちを汲み取り、傾聴や関係機関につなぐべき。  他法の相談であったとしても、単に相談窓口ではないと回答するのではなく、内容を伺い、権限を有するところに適切につなぐ必要がある。  相談者は適切な相談窓口がわからないこともある。こういった相談についても、丁寧に対応する必要がある。  (2)府における整理と検証  円滑な解決に向けては、初期対応が重要。相談者の申し出を適切に確認しながら内容を整理することは、権限のある機関での円滑な対応につながり、結果的に解決に向けた近道となると考える。   対応の対象範囲外の相談であっても、差別解消を可能な限り迅速、円滑に図る観点から、相談者に寄り添う姿勢を持つなど、特に初期対応を丁寧に行うよう努める。  3.相談の分類と整理  (1)合議体での主な意見  「不当な差別的取扱い」かどうかの分析は、「差別的取扱い」に当たるのか、当たりうる場合は、「正当な理由」の有無の確認という流れで分析してはどうか。  合理的配慮が提供されなかったために、不当な差別的取扱いに結びついたとみなすことができる場合は、「不当な差別的取扱い」で整理すべき。  (2)府における整理と検証  正当な理由の有無が確認できない場合であっても、「不当な差別的取扱い」に当たる可能性があるものとして、取り扱う。同様に、過重な負担の有無を確認できない場合であっても、「合理的配慮の不提供」に当たる可能性があるものとして、取り扱う。    合理的配慮が提供されなかったことが要因となって、サービス等の提供拒否、制限、条件付けがなされたと考えられるものについては、「不当な差別的取扱い」とする運用を図る。  4.合議体による「あっせん」の考え方  (1)合議体での主な意見  「不当な差別的取扱い」と明確に判定するにいたらなくても、話し合いや解決方法の模索を促すといった実質的な調整を図ることはできないか。  「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮の不提供」の両方の可能性がある事例については、条例上の要件を満たせば、あっせんの対象とすることが可能ではないか。  事業者側の利益とも調整しなければならない。社会的に納得できるラインを考える必要がある。  どのようなあっせん内容を書くかは事例によるが、その合理的な根拠が必要となるのではないか。  あっせん内容を書くにあたり、必要な情報を事業者側から得られない場合もあるのではないか。  あっせん後に事故が起これば、賠償を求められることが想定される。  具体的なあっせん事案の取り扱いについては、一方的な内容ではなく、当事者双方が一定納得できる解決策を図る必要があるのではないか。  (2)府における整理と検証  障がい者が「不当な差別的取扱い」を受けたと認める場合、断定できないものについても、法の趣旨の実現のため、条例に基づくあっせんを活用して解決することも考えられる。    合議体があっせん案を作成するにあたり、合理的配慮を促す内容が含まれることもあると考えられるが、対外的に説明可能な合理的な根拠を求められると考えられる。  客観的な判断を行うことが難しい場合等において、事業者側とどのように調整していくか、一つひとつの事例に対応しながら検討していくこととなる。  あっせんを履行した後の社会に及ぼす様々な影響を勘案しつつ、あっせんを求めた障がい者本人の意向に十分留意するとともに、共生社会の実現に資することを基本的なスタンスとして、検討する必要がある。  5.府の役割  (1)合議体での主な意見  個別の事例から、今後の障がい理解の促進にあたっての府の取組み方策を検討していくべきではないか。また、府民全体に対し共通理解を作っていくことが府の役割ではないか。  相談対応を広く捉え、法上の差別の類型に該当しない差別的・不適切な言動等に関する相談にも対応し、可能なものは調整していくことを市町村とも共有を図るべき。  どういったことが差別的取扱いや合理的配慮にあたるかについて、まだ十分理解が浸透していないと考えられる。具体的な事例をもとに、Q&Aを作るなど、理解促進を図る取組みを行ってほしい。「加害者と被害者」という対峙の仕方ではないあり方を模索すべき。  啓発活動は差別解消をはじめとする共生社会を達成するための最も基礎的な取組みであることから、啓発に関しても、合議体において検討すべきではないか。  (2)府における整理と検証  府民全体で差別解消に向けた取組みの一層の浸透を図るため、分析等の成果を踏まえ、ガイドラインの改訂等も視野に入れながら、府民や事業者が障がい理解を深められるよう、工夫した啓発活動を展開していく。  企業等向け出前講座事業の充実を始め、合理的配慮の実践や差別解消の取組みに関する好事例を広く示すなど、差別解消に向けた事業者の自主的な取組みを支援していく。  相談への対応姿勢等について、市町村への情報伝達を積極的に行うとともに、相談対応力の向上に向け、市町村の個々の状況を踏まえた意見交換の場を設定するなど、市町村への支援に取り組んでいく。  広域支援相談員が対応した相談等については、引き続き、合議体での分析と検証などを踏まえ、事例の蓄積と課題や対応等の整理を行い、広域支援相談員の対応力の強化を図っていく。また、あっせんが効果的に運用できるよう、あっせんの求めがあった場合を想定しながら、合議体での検討等を進めていく。  合議体での検討等の成果を事業者等への啓発に活かすなど、府域における障がい者差別の解消に向けた取組みの充実に努めていく。ガイドラインをはじめとする各種啓発は、広域支援相談員の活動に密接に関わるものであることから、広域支援相談員の活動への助言の一環として、合議体での助言を得ていく。   6.まとめ  差別のない社会を実現するためには、社会全体の理解と関心を深めることが非常に重要。引き続き法の趣旨の普及や障がい理解を促進する啓発活動の充実を図っていく必要がある。  条例の附則に規定する「見直し検討」については、引き続き具体的な相談事例を収集し、分析・評価を積み重ね、その結果を踏まえることが必要であると認識。特に、合理的配慮の概念は社会に定着しているとは言えず、「建設的対話」を通じた「合理的配慮」の取組みを広く社会で共有し、浸透させることが重要。  積み重ねた分析等を踏まえ、ガイドラインについて、具体的な事例を盛り込む等、内容の充実を図ることも必要。  障がい者差別解消協議会や合議体等で幅広い意見をお聴きし、合理的配慮等の差別解消に関する認識が社会的に共有されるよう、必要な取組みを進めていく。   2 合議体における助言・検証の実施(平成29年度)  1.広域支援相談員の相談対応  (1)合議体での主な意見  当事者間の言い分が異なっても、相談員の役割はジャッジではなく紛争解決につなげること。そのため、事業者側に対して法の趣旨の理解を促し、解決を図ることが重要ではないか。  差別に該当するか否かを判断するにあたって、その事案の具体的な状況について、深く調査をする必要があるのではないか。  (2)府における整理と検証  相談員は、中立・公正な立場で、解決の方向を示すもの。そのため、障がい者の意向を確認した上で対応方針を検討し、事業者側が法の趣旨を理解し、円満解決を図ることが第一義的な目的であると認識し対応する。  差別の当否について曖昧な情報だけで判断しないよう、詳細な事実確認や情報収集を行う。特に、正当な理由や過重な負担の判断にあたり、合議体の助言をふまえ調査を行う。  2.相談の分類と整理  (1)合議体での主な意見  不当な差別的取扱いについて、障がいを理由とするか否か、正当な理由があるか否かの判断ができない場合でも、障がい者差別の可能性がある事例として考える必要があるのではないか。  合理的配慮の不提供について、事業者がどのように対応すべきか悩ましいことも考えられるが、互いに話し合って合意形成を図ることが望ましいと思われる。  (2)府における整理と検証  事実確認が十分でなく、障がいを理由とするか否かや、正当な理由があるか否かが判然としない場合でも、不当な差別的取扱いに当たる可能性を鑑みて対応していく。  合理的配慮の不提供については、その当否の判断を主眼とするのではなく、障がい者の立場に立ちながら、双方の話し合いや考える姿勢を培うべく対応していく。  3.合議体による「あっせん」の考え方  (1)合議体での主な意見  あっせんの申出の取扱いについては、拒否・制限・条件付けのみに限らず、不当な権利侵害の観点から具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断する必要があるのではないか。  合議体は、柔軟に紛争解決の調整をする機関。このため、正当な理由の判断が難しい場合も、その取扱いについて検討するものと思われる。  (2)府における整理と検証  拒否・制限・条件付けのみに限定して判断するのではなく、「諸事情が同じ障がい者でない者より不利に扱うこと」に該当するか否かという観点から、あっせんの申出の取扱いについて検討する。  合議体は、柔軟に紛争解決することを目的とした機関であるという認識のもと、正当な理由の当否が難しい場合でも、合議体の助言をふまえ、その取扱いを十分に検討する。  4.今後の課題  合議体からの助言により広域支援相談員の対応力も向上していることから、合議体に求められる広域支援相談員への助言の在り方について、より一層有効に機能させていくためのしくみの検討が必要。  さらには、解消協が「支援地域協議会」の機能も兼ね備えていることから、ネットワークを活用し、相談員のみでは対応困難な事案の紛争解決の後押しを行うことが考えられる。このため、相談員のみならず、協議会・合議体の役割や在り方を検証する必要がある   3 合議体における助言・検証の実施(平成30年度)  1.広域支援相談員の相談対応  (1)合議体での主な意見  「指導型の調整」を行う必要がある事案については指導監査権限のある機関と連携するなど、様々な関係部局と協力して対応することが必要ではないか。  条例では、相談対象となる障がい者や事業者の範囲について規定がないため、他府県が関わる事例について、どこまで広域支援相談員が実効的な調整ができるのか、整理が必要。  (2)府における整理と検証  「指導型の調整」が必要な相談対応において指導監査権限のある行政機関等と協力するなど、様々な関係機関と情報共有や連携を図り、事業者に働きかけていく。   他府県に渡る事例の対応も想定されるが、事例に応じて柔軟に調整を図りながら、広域自治体としての役割を果たせるよう、他府県と連携を図っていく。  2.相談の分類と整理  (1)合議体での主な意見  不当な差別的取扱いについて、障がいを理由とするか否か、正当な理由があるか否かの判断ができない場合でも、障がい者差別の可能性がある事例として考える必要があるのではないか。  合理的配慮の不提供について、事業者がどのように対応すべきか悩ましいことも考えられるが、互いに話し合って合意形成を図ることが望ましいと思われる。  (2)府における整理と検証  事実確認が十分でなく、障がいを理由とするか否かや、正当な理由があるか否かが判然としない場合でも、不当な差別的取扱いに当たる可能性を鑑みて対応していく。  合理的配慮の不提供については、その当否の判断を主眼とするのではなく、障がい者の立場に立ちながら、双方の話し合いや考える姿勢を培うべく対応していく。    3.合議体による「あっせん」の考え方  (1)合議体での主な意見  合議体は「不当な差別的取扱い」と認定する機関ではなく、解決策を見出だすことが目的であるため、差別の当否の判断が困難でも、あっせん案を作成できるのではないか。   あっせんの申出があり、さらなる事実確認が必要な場合には、広域支援相談員による調査に加え、合議体による調査を行うことが考えられる。  (2)府における整理と検証  合議体は解決策を提示することが第一義的な目的であるという趣旨を鑑み、不当な差別的取扱いの疑いがあると考えられる場合は、あっせん可能なものとして対応する。  あっせん案の作成に当たっては、さらなる具体的な事実を確認する手続きが見込まれることも想定して、事例検証を行なっていく。  4.今後の課題  広域支援相談員の「調整」の在り方や他機関との連携、障がい者差別に関する考え方が深まってきたことから、今後も継続して合議体での議論を重ねることが大切。特に、「合理的配慮」に関して、個別具体的な事例を通して議論し、考え方の整理が必要。   「あっせん」については、具体的なスキームの検証や、あっせん案を作成するにあたって想定すべき事項などについて、議論と検証が必要。  広域支援相談員、合議体、解消協議会の役割・機能やしくみについて、課題や今後の取組みを検証することが求められる。