参考資料 事業者団体・障がい者団体に対する合理的配慮の提供に関するアンケート結果の概要   1 主な意見  1.事業者による合理的配慮の提供の義務化への賛否  ()以下、事業者による合理的配慮の義務化への賛否について、事業者団体と障がい者団体の回答数を記載します。また、事業者団体は事業、障がい者団体は障がいと略して記載します。()  (1)賛成である  事業 8、障がい 20  (2)どちらかといえば賛成である  事業 14、障がい 4  (3)どちらかといえば反対である  事業 2、障がい 1  (4)反対である  事業 0、障がい 0  (5)回答なし  事業 2、障がい 1  2.義務化賛否の理由(一部抜粋 回答を要約して記載)  (1)事業者団体  ・合理的配慮の提供は事業者として取り組んでいくべきものだが、義務化には、合理的配慮の内容や過重な負担の基準を具体的・明確に示すことが必要であり、抽象的表現での義務付けは慎重に扱うべき。  ・努力義務規定でも対応している。むしろ、義務化により、義務違反時の罰則や処分規定が必要となり、それを意識するあまり日々の活動が委縮するおそれがある。  ・障がい者への対応は事業者の自主性を最大限引き出すための政策誘導を推進すべきであり、行政が一律なルール化により矯正することは慎重であるべき。  ・SDGsで障がい者への配慮が掲げられていることから義務化は妥当ではあると考えるが、障害者政策委員会での議論を踏まえた慎重な検討が望ましい。  ・義務化により、(社会の法等に対する)関心と理解を深めることにつながると考えられる。一方、事業者も様々であり、状況によっては円滑なコミュニケーションが図れない場合等もあることから、双方に考慮した検討が必要。  ・過重な負担のない範囲で合理的配慮を提供することは、法の趣旨に沿った対応である。  ・義務化の検討にあたっては、事業者への合理的配慮の概念の浸透状況や義務化されている他都道府県での運用状況等を勘案した慎重な検討が必要。特に、過重な負担の基準が不明確であることや、事業への影響、係争に発展する可能性や義務違反に伴う社会的信用の失墜の恐れなど、事業者が抱える懸念、リスクが大きいことから、具体的・慎重な検討が必要。  ・既にできる範囲内で対応していると思うが、過重な負担の基準が不明確であることから、紛争に至る事案も懸念される。  ・義務化により障がい者の意見ばかりが通るようになると、今まで積極的に取り組んできた事業者との間に壁ができ、逆効果になることも想定。慎重に検討すべき。  ・努力義務規定でも対応しており、義務化により、設備改修や増設、スタッフの増員等が考えられ、その対応ができない施設が多く出てくる。  ・障害者権利条約批准国であり、府としては、障がい者差別解消にしっかり取り組む姿勢が求められる。  ・努力義務では具体的な社会変化が見られないことから、法的義務の検討は必要であるが、過重な負担の基準の明確化や補助等も含めて全体的なコンセンサスを得る努力が求められる。  ・法の趣旨の浸透が十分とはいえない段階であり、義務化により大きな負担を求められるのではないかと懸念。共生社会の実現には、努力義務のままがいいという考え方もある。  ・現行法上でも取り組んでおり、義務規定でも特段支障はない。ただし、施設整備に関して過度の負担を求めず、条例に反した場合の罰則規定は定めないでいただきたい。  ・国の対応指針により基本的な考え方や具体例等が示されており、義務規定での対応も可能。  ・努力義務規定では事業者の理解・取組みが進まない現状に鑑み、義務化により更なる進捗が図られると考える。  ・過重な負担のない範囲での対応であることや建設的対話の意識を常に持つ必要があること、他都道府県でも条例で義務化されていることから、府条例での義務化も自然な流れ。ただし、義務化には、正しい理解への啓発や相談体制整備が不可欠であり、慎重な検討が望ましい。  ・義務化には、事業者が客観的に判断可能な、具体的事例を含むガイドラインの作成が必要。  ・努力義務規定の方が現実に相応するが、条例をさらに進んだ内容とすることは評価。ただし、過重な負担のない範囲という考え方は必要。  ・合理的配慮の解釈や理解が十分社会に浸透しておらず、過重な負担の判断に懸念がある。  ・合理的配慮の事例の蓄積と内容分析をしっかりと行い、事業者・障がい者双方への十分な情報提供が不可欠。また、法見直し検討の動向を見た上での検討でも遅くない。  ・合理的配慮を強制するのではなく、その概念を認識することで当然に配慮ができる社会が望ましい。  ・合理的配慮を念頭に置いた場合の対処法に設備改修が必要となれば大きな負担になる場合があり、事故発生時の対応や、すべての障がい者の特性を理解したうえで配慮を行うことは難しく、紛争に至る場合の影響などが懸念される。  ・義務規定に抵触しないことのみを目的とする、又は委縮し、心の通わない形式的な配慮になることを懸念。  ・合理的配慮にあたり、事業者の規模や業務内容等への配慮も必要となる。環境が整わないまま強制的に進めることで、事業者が罰則を逃れることのみに終始し、条例の趣旨に反して差別を固定化してしまう恐れがある。  ・過重な負担の定義が曖昧で一線を引くことは困難であるため、十分な検討が必要。  ・官民一体で取り組むことに賛成するが、義務化が難しい場面も想定されるため、更なる事例の検討と提示が必要。  ・社会での障がい者への対応は十分とは言えず、努力義務規定のなかで更なる浸透を図るべき。また、配慮に当たっての補助が必要。  ・義務化には、経過措置や財政的な援助、技術的な指導体制等が必要。  (2)障がい者団体  ・義務化により事業者の合理的配慮の理解や具体的な内容把握への姿勢が変化する。そのうえで、当事者間が建設的対話をし、共に課題を解決しようと考え、努力することが重要。  ・努力義務では実効性が担保されない。  ・努力義務では事業者の努力だけに依拠し、合理的配慮が有名無実化する。義務化によって法の理解が広がる。ただし、事業者が負担を感じては何も解決しないため、過重な負担のない範囲という規定は必要。  ・社会的障壁の除去を積極的に進めるためには重要。  ・義務化により、「合理的配慮の不提供は差別である」という認識のもとで改善を求めることができ、条例で分かりやすく定義付けされる。「過度な負担」の基本的な考え方もしっかりと判断され、結果的に差別解消につながる。  ・義務化により意識は高まるが、合理的配慮という概念が不明瞭で伝わらない。  ・過重な負担の基準が曖昧であり、その前提での義務化は理解しにくい内容になることを懸念。  ・障害者権利条約の規定から義務化は必要。その際、義務規定である行政機関での対応の検証と事業者への情報提供や、義務化が実質的に機能するため事業者への支援策も必要。雇用促進法における過重な負担の基準なども参考にしながら、具体的な基準を示すべき。  ・合理的配慮がより一層行われるために義務化が必要。  ・努力義務では配慮しなくてもよいという意識になる。地域から徐々に合理的配慮を広めるために、府条例での義務化は有効であり、義務化は事業者が法や合理的配慮について考えるきっかけとして大きな効果。ただし、合理的配慮の範囲や過重な負担の基準を明確化することが必要。  ・曖昧な「努力」に委ねることは、障害者権利条約の掲げる差別の禁止の主旨にふさわしくない。障害者差別解消法の制定目的は、障害者権利条約に定める「差別の禁止」の基本的な精神を追求することにあり、その理念を誠実に実行するためには、条例による義務化が必要。  ・過重な負担のない範囲という規定があるため、努力義務である必要性は少ない。  ・義務化により合理的配慮の提供が広がることが期待。  ・障害者権利条約では合理的配慮の不提供も差別の一つの形態であり、障害者差別解消法は障がいに基づく差別の禁止を担保するための措置として制定されているため、義務化には賛成。だし、過重な負担の妥当性をどう判断するかの課題が残る。  ・義務化により合理的配慮の取組みを進めることは一つの方法だが、国・自治体からの経済的な支援が必要。事業者の主体的対応を促進するため、「合理的配慮とは何か」から始めて政策に関する議論が必要。その上で、国・自治体からの経済的助成も勘案した合理的配慮への対応があたりまえにできる社会を構築していくことが望ましい。  ・障害者権利条約では合理的配慮の不提供が差別にあたることが明記されており、障害者差別解消法では行政機関等は義務とされていることから、事業者に対する義務化は望ましい。その際、義務規定である行政機関等が重ねてきた努力・対応や義務化による変化を明確に示すことで、事業者が具体的にイメージできる環境の整備が必要である。また、合理的配慮の提供は、事業者としての社会的責任を果たすうえで当然であるとの認識が前提であり、その認識は自主的な努力と経験に裏打ちされて形成・深化していくものであることを踏まえる必要がある。そのうえで、相談対応体制の充実や、合理的配慮措置への補助制度の創設など、事業者への必要な支援策を講じていくことが必要。義務化は即時的な効果を及ぼすものではないことを踏まえ、義務化にかかわらず、合理的配慮を浸透させるための各種条件を整備することが課題であり、条例が意図する効果を上げるための施策を重層的に講じることで、義務規定が空文化しないように配慮することが必要。  ・合理的配慮の提供が過重な負担に該当する場合は免責されるため、努力義務により2重の免責要件を設ける必要性はない。条例で義務化している都道府県でも支障が発生しておらず、合理的配慮の提供が当たり前として検討・実践される環境整備が必要。努力義務は、事業者の間違った理解と対応を助長。義務化は、障がい者に対する拒絶感が強く、建設的対話を拒否する事業者に毅然とした姿勢を示し、合理的配慮や差別についての理解が乏しい事業者には対話を重ね、理解を深めていくことができるなど、有効に働く。また、差別を許さないという府の姿勢や考え方をはっきりと示すためにも義務化は必要。義務化により、事業者、府民、他自治体等にも合理的配慮の理解を広め、合理的配慮の実践が広がっていく社会の実現につながる。  ・義務化により多くの事業者が法を再認識し、理解を深めることにつながるとともに、障がい者にとっても、配慮の申し出にあたっての心理的バリアを取り除くことができる。    3.合理的配慮の概念の浸透に必要な取組みなど(一部抜粋 回答を要約して記載)  ・合理的配慮の範囲や方法が社会に浸透していないことから、合理的配慮の提供や過重な負担の基準に関する具体的な事例の積み上げや情報発信など、多様な主体と連携した継続的な啓発。手法:ホームページ、広報誌のほか、障がい者団体と連携したキャンペーン等の実施や動画作成、マスメディアの活用、漫画やイラストを多用したポスターなどの啓発物、マーク・ステッカーの作成や配布、研修や説明会の開催、教育現場、大学や入社、企業監査でのe-ラーニングの推奨、自己点検チェックリストの作成・公表、事業者団体を通じた個別事業者への啓発など  ・インクルーシブ教育の推進や体験学習等を組み込んだ教育カリキュラムの実践、道徳教育などによる、幼少時からの教育による障がい理解の推進  ・ユニバーサルデザイン・心のバリアフリーの推進。  ・障がい者との交流機会の創出などによる障がい理解の推進  ・府民の法・条例の認知度が低いことから、障がい当事者も含めた府民への啓発。  ・行政による支援体制の整備。手法:専門部署の設置・拡充や相談員の増員など、事案に即時対応できる相談体制の整備と窓口の周知、事業者への顕彰制度、合理的配慮のための環境整備等に対する補助制度の創設など  ・悪質事案に対する知事の勧告や事業者名公表などのペナルティの明確化。  ・障がい者自身による社会への啓発・理解の促進に向けた行動。  ・「誰もが大切にされる社会」を大前提としながら、合理的配慮は社会にとって特別なことではなく、社会全体にとって大切であり、社会に還元されることを実感してもらえるような取組み。  ・合理的配慮の義務化による事業者や行政機関等の取組みの促進。     4 広域支援相談員による調査協力義務規定への意見(一部抜粋 回答を要約して記載)  (1)事業者団体  ・義務付け範囲を好事例や間違った事例紹介のための事例収集に絞るなど、慎重な対応が必要。  ・一律的な義務規定は慎重であるべき。  ・調査が事業者の過度な負担にならないよう配慮が必要。  ・検討にあたっては、事業者の個別の状況(人的、時間的制約など)を踏まえた配慮が必要。  ・必要性や影響(目的や内容、対象範囲や負担、効果等)などの精査が必要で慎重に対応すべき。  ・義務規定に特段の支障はないと考えるが、調査内容を十分見極め、一方的な調査協力を求める規定とならないよう配慮が必要。  ・広域支援相談員の相談対応業務の円滑化のためには、義務規定は不要。  ・合理的配慮の提供の義務化に伴い、調査協力の義務規定も想定され、茨木市で義務規定があることから、府内で取扱いが統一されることは理解しやすい。ただ、過重な負担の判断や、財政・人的負担、業務への影響に対して十分な配慮が必要。  ・義務付ける必要性はない。  ・現行条例において、事業者が非協力的で解決が見込めない場合に、あっせんや知事の勧告・公表の仕組みが規定されていることから、義務規定は慎重に検討すべき。  ・調査協力の基準を定めなければ調査範囲にばらつきがみられる可能性がある。また、調査協力できない場合の罰則の有無を検討することが必要。  ・義務付けにあたっては、調査対象を選定する基準の明確化と開示が重要。調査協力が事業者の規模や業務内容によっては大きな負担になることも考えられるので、配慮が必要。  ・事業者が対応しているにもかかわらず、一方的な指摘がなされること等がないようにしていただきたい。   ・調査事項の対象を包括的なものではなく、限定することが必要。      (2)障がい者団体  ・現行では、広域支援相談員が事業者に対し対話の働きかけを求めても、拒否された場合、それ以上強く対応を求められない。規定により、相談員が一歩踏み込んだ対応が可能になる。  ・条例の実効性を高めるためには必要。  ・協力義務規定までは不要であり、理解や対応が不十分ななかでは、啓発・広報や研修会開催等に取り組むことで意識と理解を高めることが必要。また、調査にあたっては、法等の理解の周知と守秘義務の徹底や、専門性を有する広域支援相談員の確保も必要。  ・調査協力義務規定は必要だが、事業者に十分に説明し、理解してもらうことが必要。前提として、広域支援相談員の理解も必要。  ・事業者における相談員の役割等の認識と、調査協力がしやすい仕組みづくりも必要。  ・合理的配慮の提供の義務化に伴い、義務規定の有効性を確保するため、行き過ぎない範囲で事業者の調査協力義務を規定することは必要。  ・事例の収集や、問題を明らかにするなど相談対応の円滑化のためには必要。合理的配慮の提供の義務化に伴い、調査協力も義務化すべき。  ・規定には賛成だが、方法や手続きをきちんと整備することが必要。  ・条例の実効性を高めるためには必要だが、相談員の力量も必要。  ・義務を課す調査内容には慎重であるべき。現状把握の基本的なものに止めるべきで匿名とすべき。  ・規定によって問題解決の可能性が広がるのかを相談員の意見を聞くとともに、茨木市条例の当該規定に基づく運用状況などの実態も注視したうえで判断すべき。  ・事業者の対応には多様な事情がありえることから、相談員のみで対応するのではなく、合議体の機能を適切に活用し、当事者の言い分をしっかりと受け止めつつ、前向きな改善につながるよう努力が必要。  ・相談員が正確な情報を元にして相互の建設的対話が有効に行えるようにするため、効力ある規定を策定すべき。一般的責務だけではなく、具体的に調査・調整への協力を求めることは、府の姿勢を示す意味で非常に重要。  ・規定することにより、事業者が配慮できない理由等が明示され、対策を講じやすくなる。  ・障がい者の差別解消や合理的配慮を広めるため、必要な調査協力を行うための規定なら良い。  ・事業者には会社や店舗以外のボランティア団体等も含まれるため、調査協力義務が事業者の負担にならないか懸念。  ・具体的な相談状況・内容を精査し、更なる活動の内容の具体化を条例に規定する必要性を検討すべき。一律の義務規定では効果が発揮しにくい場合も想定されるので、個別の義務規定を検討する必要も考えられる。      5.障がい者差別解消に関する意見や要望(一部抜粋 回答を要約して記載。他項目と重複する回答は省略)  ・建物等のバリアフリー化への補助制度の検討が必要。  ・障がい者虐待防止の実態調査結果の公表のように、国、都道府県で実態調査結果を示すことが必要。  ・どのような配慮が最も適切か、障がい者と事業者の対話による相互理解が何よりも肝要。  ・処罰や罰則規定によって差別解消をめざすのではなく、社会全体が、障がい者差別のない、合理的配慮が当然となる社会になり、意識しなくても差別のない社会になるよう、今後も慎重に検討していくことが必要。  ・意思の表明をしやすい環境づくりが必要。  ・合理的配慮が当然になり、合理的配慮という言葉が必要でない社会になることを期待。  ・法律や条例に頼らない差別のない社会が一日も早く実現することを望む。  ・発達障がい、知的障がいのある人は、自分の意思を伝えること、コミュニケーションが難しいので、何らかの具体的な支援が必要。  ・差別解消法が有効的に活用されるため、市民の監視や行政のチェック・指導の強化が必要。  ・事業者の具体的な範囲を明確にすべき。  ・府条例は、本来差別禁止条例とすべきであり、罰則規定がないことや、過重な負担のない範囲での合理的配慮の提供としていることから、障害者権利条約の趣旨から後退。  ・広域支援相談員及び市町村相談窓口での相談対応や経過、結果を公表すべき。  ・市町村が差別に関する相談対応が十分に行えるよう市町村支援のあり方を検討すべき。  ・広域支援相談員のノウハウ等を継承するための手立てを講じることが重要。また、将来的には府内数か所に広域支援相談事務所を設置し、必要に応じて市町村職員を派遣・配置することで、連携を図りながら市町村の課題解決能力を引き上げる検討も必要。  ・総則(目的・基本理念)、障がいの定義・範囲、差別の定義、分野ごとの各則等を規定している他府県の条例の効果などを検証しながら、抜本的条例改正の必要性を議論すべき。特に、防災や住宅分野など、部局連携が必要な課題は条例前文や各則規定を急ぎ設けるべき。また、条例改正時には、3年ごとの見直し規定を明記し、条例のバージョンアップをしていくことが必要。  ・障がい者も高齢者も生きやすい社会にするためどのような配慮が必要かなど、当事者とともに話し合える場が必要。