最近の消費動向(20年3月期、個別ヒアリング)
個人消費は、1月は前年より気温が低かったものの消費者の買い控え傾向が強く、2月はうるう年の影響で前年を上回り、3月は中旬から暖かくなったことから春物商品が動き出し、1〜3月の大型小売店全体の売上高は前年を上回った。
当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、外食産業、ホテルを対象にヒアリング調査を行った。
今回ヒアリングを行った百貨店A社の20年3月の売上げは前年同月を下回ったが、スーパーB社は前年同月を上回った。また、外食産業C社の20年1〜3月の売上げは前年同期を上回り、ホテルD社の20年1〜3月の宿泊者数は前年同期並みであった。
百貨店
A社 20年3月の売上げは前年同月を下回った。
これは、主力である衣料品が不調であったためである。
品目別にみると、衣料品は前年を下回った。紳士服・洋品は不調であった。リクルート活動向けの紳士服のバーゲンは好調であったが、元売場のヤング、ビジネスともに不調であった。婦人服・洋品は不調であった。婦人服は、中旬から暖かくなったためワンピースは好調となったが、単価の高いジャケットとボトムスが不調で、売上げは不調であった。婦人洋品は、タイツ、スカーフなどのコーディネートアイテムが好調であった。海外の有名ブランドを扱う特選ブティックでは、雑貨やアクセサリーが好調であった。
スポーツ用品は前年を下回っているが、ゴルフウェアは好調であった。 身の回り品は前年を下回った。婦人靴、紳士靴、ハンドバック、旅行かばんとも不調であった。
化粧品は前年を下回った。
宝飾・貴金属は不調であった。株価の下落から、富裕層が高額品を買い控えている。
家庭用品では、食器、家具とも前年を下回った。高級家具が不調であった。 食料品は全般に好調であった。特に野菜を中心とした生鮮食料品、和洋菓子が好調である。
ホワイトデー関連は菓子を中心に好調であった。 4月の売上げは、食料品は好調だが、衣料品は不調が続いていることから、前年を下回ると見込まれる。
スーパー
B社 20年3月の売上げは前年同月比2.2%増加した。
これは、前年より日曜日が1日多く、住関連商品の売上げが好調であったためと、3月中旬から暖かくなり、春物商品が好調となったためである。
品目別にみると、衣料品は前年をやや下回った。婦人衣料では、スプリングコート、ジャケット、ジーンズは好調であったが、カットソーやスカートが不調で、前年並みであった。紳士衣料では、スーツは催事の日程が昨年と変わったため前年を下回ったが、スプリングコート、ジャンパー、カットソーが好調で、紳士衣料全体では前年をやや上回った。子供服は、女児のジャケット、男児のジャンパーなど好調なアイテムもあるものの、全体では前年をやや下回った。肌着は、暖かくなったため春物パジャマは好調であったが、肌着は不調で、全体では不調となった。
服飾は前年並みであった。バッグでは、トラベルバッグの好調が続いているほか、スポーツバッグも好調であった。帽子やUVカット加工の手袋も好調であった。
食料品は好調であった。農産物は、野菜の相場高に加えて、国産品の売上げが良く、好調であった。果物は不調であった。畜産物は好調で、ミンチの増加が大きい。水産物は不調であった。
加工食品は好調であった。ナショナルブランド商品の値上げが続いているため、割安なプライベートブランド商品が好調である。ビールは前年割れとなったが発泡酒が好調で、酒類は好調であった。バターなどの値上げがあり、乳製品の売上げが増加している。アイスクリームは好調であったが、冷凍食品は不調であった。パンの売上げも前年より増加している。
その他の商品では、家電製品と化粧品等が好調で、全体でも前年を上回った。
余暇・ホビーは不調であった。トレーディングカードは好調であったが、キャラクター玩具、TVゲームが不調であったため、玩具全体で不調であった。新年度向けの文房具等は、ビジネス向けが好調であった。また、自転車の好調が続いている。
家電製品は、日曜日が増えた影響が大きく、好調であった。薄型テレビは好調で、デジカメ等の記録メディア類も好調であった。携帯電話は不調であった。エアコンは省エネ効果の高い製品への買い替えが続いている。
化粧品は好調であった。シャンプー、リンスなどのヘアケア用品が再び活気づいている。薬品は、花粉症の鼻炎薬が好調で、風邪薬は不調であった。
住居関連では、行楽用品が好調であったが、寝具類、家具は不調であった。
日用消耗品は好調であった。紙類が値上がりしているほか、洗剤などもプラスチック容器のものは特売の回数が減り、売上げは増加した。
ホワイトデー関連商品は、菓子のブランド品が好調であった。
4月の売上げは、雨の日が多かったほか、前年よりも日曜日が1日少ないため、前年を下回ると見込まれる。
外食産業
C社 20年1〜3月の売上げは、前年同期を上回った。
これは、自社店舗数が増えてきた地域で新聞広告を行うようになり、認知度が上がり、来店客数が増加したためである。特に、3月は前年より日曜日が1日多かったため、増加率が大きかった。
当社の業態は回転寿司であり、土曜日、日曜日、祝日は家族連れの利用が多い。平日の昼間は営業の合間のサラリーマンや、サークルなどの主婦の利用が多い。
当社では、親、子、孫三世代が楽しめる店舗作りをしている。定番の寿司から旬の食材を利用した寿司、うどんやデザートなどのサイドメニューを充実させ、ここに来たら毎回新しいものがあると顧客に感じてもらい、リピート率を高めている。
持ち帰り寿司の売上げも前年より増加している。料金がお得なセットメニューの種類を増やし、好調である。
世界的な魚の需要増から、魚の価格が高騰している。また、ガソリン価格上昇から、物流コストも増加している。一方、利益率の高いアルコール類は、飲酒運転厳罰化から低調が続いている。寿司ネタ、寿司飯の質は落とさずに利益を上げられるよう、利益率の高いサイドメニューを増やしたり、事務所内でのコスト削減などに努めている。
当社では、自分が安心できるものをお客様に提供する、という姿勢を大切にしている。10年以上前から化学調味料などの四大添加物無添加に取り組んでいるほか、原材料の原産地についても、以前より自社ホームページで公表し、お客様に提供している。
4〜6月期の見通しは、前年同期を上回ると予想される。
ホテル
D社 20年1〜3月の大阪地区の宿泊者数は、前年同期並みであった。
これは、当ホテル主要顧客であるビジネスマンの宿泊はいく分減少しているが、減少分を観光客などで補ったためである。
平日の宿泊者は、ビジネスマンが多い。大阪では、この1〜2年で、ビジネスホテルの客室数が2,000室以上増加し、競争が激しくなっているほか、出張の際の大阪での連泊が少なくなっている。大阪と他の都市で1泊ずつ宿泊する利用者が増えているため、新幹線や私鉄特急のターミナル駅である新大阪や難波のホテルについては稼働率が高い。
これに対し、アジアからのビジネスマンの宿泊は増加している。大阪の取引先との商談などによる宿泊のほか、関西で開催される国際会議やイベントの参加者の宿泊も増えている。
また、当ホテルは清潔、安全、ぐっすり眠れることをコンセプトにしており、今までのビジネスホテルには満足できなかった女性の宿泊が増加している。女性の宿泊に関して、ホテルによっては、女性専用ルームや女性専用フロアを設定しており、稼働率が高い。
当ホテルは、宿泊特化型ホテルとして、上記のような特徴がある上に低価格であることから、土曜日、日曜日、祝日は家族連れやスポーツ団体の宿泊、アジアからの観光客の宿泊も増えてきている。また2月、3月は受験生対象のプランが好調であった。
当ホテルは旅行会社との提携はしておらず、宣伝は自社ホームページにより行っている。低価格と宿泊の快適さが両立していることから、リピート率は高く、口コミによる宿泊者も多い。自社ホームページからのインターネット予約は、現在では4割を占めるようになっている。今後も、当ホテルの価値観を認めてもらえる人の利用を増やしたいとしている。
当ホテルの料金設定は、朝食料金込みとなっており、最近の食料品の価格の上昇で、利益率は下がってきている。宿泊料金を値上げできる状況の地域では、値上げとともに、質を高めることによって、顧客に受け入れてもらいたいとしている。
4〜6月の見通しは、前年同期並みと予想される。ビジネスマン以外の宿泊者の増加に努めているほか、梅田や堺で再開発の動きがあり、今後はビジネス利用も増加させたいと考えている。
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商工労働部 商工労働総務課 企画グループ
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